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建築を旅する

セタビ

2007-06-23 03:27:47 | Weblog
ちょっと前になるけれど、先月、世田谷美術館に行ってきました。

ここは、近いんだけど、非常に久しぶりで、なんだったら10年以上行ってないと思われる。
何気なく久しぶりに行ってみっかいと言う事で見学に行く。

学生時代は、こういうのが建築と言うものであるような気がしていた。
今の、うねうね、透明の自由自在さはやはり無く、真っ当に大地に立っているマッス感が建築だった。
まあ、環八の途中にある、隈氏のポストモダンってアホだろって主張する例のやつとかの自由さはあり。


キテる。東京起柱計画! そういえば、M2出来たとき、中で展示観たよ!東京起柱計画!

手前の丸窓とかもよく見るとすっげえ。バーーッドデザイン炸裂!
悪いけど、この頃は、ほんと世の中なめとる東大生って感じがする。


セタビ。
学生時代に観に行きましたよ。
友達が1階にある市民ギャラリー的な所で、グループ展やってたってので小平から繰り出して来たってのもあったけど、お目当ては建築だった。
用賀で降り、用賀プロムナードを通る。用賀プロムナードも当時は新鮮で、かなり影響を受けたように思う。
ああいう、親水広場的なものが大好きで、絶対ああいうものがやりたいと思ったもの。
象設計集団。今だからこそ、いいんじゃないでしょうか。そういえば、そこにも同期が一人入ったけど、今何やってるんだろうか。
竣工:1986年4月ってことだから、これはまさにセタビに続く道な訳です。


世田谷美術館。
設計:内井昭蔵(Shozo UCHII)建築設計事務所
建築家内井昭蔵の代表作であり、内井はこの作品で毎日芸術賞・日本芸術院賞を受賞。

当時観たときより、小さく感じる。
あった、あの三角の意匠。
完全にライトだなあと思ってたけど、今観てもやはりその感じ。
天井の形状、低く伸びる軒のライン。マヤ的な感じの装飾。
やはり、ライトがやりたかったのか?
印象的な渡り廊下、それと、建物の周りに適時空間にアクセントをつける伸びやかな軒。
二次的な建築というか、庭作りのような建築というか、なにもない所に忽然とある建築を自然と調和させる手段としてうまくいっているなと思う。学生時代に好きだった事を思い出した。

今回気づいたのだけど、セタビの渡り廊下の逆三角形の意匠って、東京現代美術館(ゲンビ)のエントランスに似てる。
柳澤孝彦氏。ちょっとばれた?

セタビ。昔は屋根がグリーンで、今は赤だってことだったけど、自然にグリーンが赤になるんだ?
てっきりグリーンは緑青だと思ってた。
素材はなんだろう?

時代なのか、装飾が凝っている。
撮ってないけど、80年代テイストバリバリの手すりとかもあり。ダサっでは片付かない完成度があった。
真鍮がめちゃきれい。
当時はポストモダンの嵐だったろうから、こういう世界に向かったのだろうか。
とはいえ、非常に好きな建築家の一人ではあります。

展示は岡本太郎。うーん、やはりこちらもかなりキテます。時代を切り開いた天才であったなと思う。
特に、同時代の作家の作品もあったのだけど、やはり頭ひとつ出ている。
森の掟とか傷ましき腕とか初めて実物観た。いや、すごい。
二科展・太郎部屋が再現されてる。(間所(芥川)紗織、吉仲太造、村上善男、ジャン・アトラン)。
アンデパンダン展。
勅使河原宏の絵もあり。油描いてるんだ、時代を感じる。

熱き時代。
静かなセタビで熱く燃えました。















砧公園はいいすね。かめもごきげん。



住所:世田谷区砧公園1-2
用途:美術館
施工:1985.10
述床面積:8,223500m2



那珂川町馬頭広重美術館

2007-06-23 03:26:03 | Weblog
那須。
那須に行ったら是非とも行っときたい所は、やはり馬頭。
馬頭広重美術館。
設計は、もちろん隈さん。

石の美術館とロケーションはそんなに変わらないんじゃないかと思われる、古い街並。
ただ、ちょっとだけ山際にあり、すこし高台風で、気持ちいい。

やはり、これも唐突に写真でよく見る風景が現れる。
うーん、渋い。というか、なんだろう、この謙虚な感じ?
なんというか、機能的なというか、装飾が無いというか、なんか、養鶏場?

グレイッシュになってしまっている木がそうさせるのか。

しかし、やはり、そんな訳は無く、近づくとそれは繊細で可憐な構造物であった。
浮世絵の美術館。木と、和紙。風と空気と光が抜けて行く。
浮世絵は世界でもまれな、物理的に儚くも弱々しい芸術作品であるらしい。
たしかに、ごく薄い紙に版を重ねているだけである。

それにしても、ちょっとあっさりしたものだった。
雑誌等で見ていた複雑に光と反射が綾なす空間というよりは、単純な平面に軽い建築。
供え物の様な、ふっと置いただけのような空間。



藤森氏がガラスよりも軽い感じと言ってた木のルーバー。
たしかに、ガラスが重い固まりに見える軽さがある。
皮膚感覚的な軽さというか、弱さというか、脆さというか。
儚い建築ですな。
儚い軽さというのがあるんだなあ。

光が美しい建築であったし、天井からの光が、大谷石の採石場の様に、印象的であった。
やはり好きな建築。

しっかしやりきってますな。

ここもソフト面がいまいち。地元っこも、いいアートショップとか、カフェとか観て勉強しないと。
それにしてもソフトクリームのオブジェ(看板)の存在感がすさまじい!
イケイケの建築物ときっちりタイマンはれてます。














隈研吾氏ホームページより。

『安藤広重の大量の肉筆画・版画を中心とした4300点あまりのコレクションを収蔵・展示するための美術館。』

『美術館は、町のシビックコアを結ぶ「広重街道」をまたいで計画される、81m×27mにわたる大きく単純な切妻型の建築のボリュームである。そのボリュームを徹底して細かい断面のルーバーで構成した。これは、建築をルーバーという細かいスケールに粒子化することで、柔らかく包み込まれながらも外に開かれた公共空間を実現させる試みであり、かつ広重の浮世絵世界に近づく試みでもあった。ルーバーは地元産の八溝杉を遠赤外線燻煙乾燥+不燃防腐処理したものを使用した。ルーバーの断面は30×60mmの断面形状でピッチは120mmとし、建物の各部位(屋根/外壁のフッ素鋼鈑のハゼピッチ、床の芦野石、内壁の手漉き和紙スクリーン等)の基準寸法はルーバーとの取り合いを考慮し全て120の倍数で構成されるように決定した。
広重の作品に見られる、細い線と小さな点による自然の織りなす繊細にして曖昧な表情とその流動を、建物全体に徹底して表現し、建築自体を自然環境の中に浮遊する粒子の雲のようなものにしたいと考えた。』





作品名 那珂川町馬頭広重美術館
期間 1998-2000
所在地 栃木県那須郡那珂川町馬頭
主用途 美術館

敷地面積 5,586.84