goo blog サービス終了のお知らせ 

MOBU'S MUSIC MAZE

音楽のこと好きなことなどよしなにほどほどに・・・

アンドレイ・ガジェヴ ピアノリサイタル 2025年3月8日 神奈川 海老名市文化会館

2025-03-09 06:32:28 | 音楽夜話(クラシック)


アンドレイ・ガジェヴ ピアノリサイタル 2025年3月8日 神奈川 海老名市文化会館


ドビュッシー 前奏曲集 第2巻 より

月の光が注ぐテラス
オンディーヌ
ピクウイッグ卿を称えて
花火


「アデス:Traced Overhead」(コリリア-ノに変更)


コリリアーノ
オスティナートによる幻想曲


バルトーク 戸外にてSz81


笛と太鼓
舟歌
ミュゼット
夜の音楽



休息20分


ショパン(プログラム追加)
マズルカ ヘ短調Op63ー2 ホ長調Op6-3 変ロ長調 Op24-4
ポロネーズ 第6番 変イ長調 Op53「英雄」


ラフマニノフ ピアノソナタ第2番 変ロ長調Op36「ホロヴィッツ」版


文化会館のそばを通ったときに、何気にポスターストックを見たら、
「アンドレイ・ガジェヴ・ピアノ・リサイタル」のポスターが貼ってあった。
来るんだ。と思った。やっと、1位のブルース・リウが終わったかと思ったら
2位が来た。これは行っても面白いかなと思い、チケットを買った。
今日はみぞれが降っていたけれど、会館内は暖房が効いていて快適だった。


このリサイタルの前に他の方の演奏集を作ってプログラムを流してみた。
ドビュッシーは第2集。「花火」くらいしか聴いたことがなかった。
導入としては、ピアノ好きが好むというか、掴まれる感じがした。
ドビュッシーの音楽は独特だし、リピートしてある程度入れていかないと
何がどうなのかわからないまま終わってしまう。今回はそれを避けるために
予習っぽいことしてみたが、ステージで展開されたものは、もっとある意味
刺激的だった。やっぱり生はその時に起こる何かがあり面白い。


当初はアデスの現代曲だったが、コリリアーノに変わった。
これは、自身で曲の長短を決められるという、現代作曲家の考える音楽だった。
不覚にも寝落ちした。


また、バルトークは刺激的な音を出していて、1部の終わりには弾けていた。
こんな曲も書いていたのだという驚きがあった。
ピアニスティックな演奏が、この曲には合っているのかもしれない。
実力は十分ある。余裕で弾いてる。


インターミッション20分。


後半は、主催者からのリクエストでショパンが加わった。
始めのチラシにはラフマニノフの2番のソナタだけだった。それだと
かなり、ピアノ好きの渋いプログラムに落ち着かないかと思った。
集客にはちょっと弱いかもという感じだったが、当日知らされて、
来た方はラッキーだったかも、ショパコンを思い出す。
席はほとんど埋まっており、女性が多く、ピアノ学習者も結構
来ているのではないかと思った。


サラっと、マズルカを弾き、続けて「英雄」ポロネーズを弾いた。
さすがにこれは盛り上がるだろう作りで、山を後半一つ作った。
2つ目の山はラフマニノフだけれど、2番のソナタは初版と改訂版が
あり、そのほかにホロヴィッツが編曲構成したホロヴィッツ版というのが
ある。これはだんだん認知されてきて、録音も増えてきたということ。
ガジェヴは今回はこれを選んで演奏した。20分近い演奏だったけれど、
ダイナミックに弾ききった。ラフマニノフは手も大きく技巧派だったので
難しい演奏もあるだろうけれど、自分も弾くためかテクニック的には配慮され
弾きやすくなっているそうだが頑張って弾いていた。聴衆賞をとるだけのことは
あり聴き手の心の掴みはよくできている。
終演したが、拍手が鳴りやまず、アンコールになった。


ソリスト・アンコール


フレデリック・ショパン
マズルカ第1番 嬰ヘ短調 Op. 6, No. 1
ロベルト・シューマン
暁の歌Op133‐1Im ruhigen Tempo(落ち着いたテンポで、ニ長調)
スクリャービン
12の練習曲Op8ー第12番嬰ニ短調「悲愴」


ショパンの落ち着いた短調のマズルカ。後半終曲のラフマニノフのソナタの
余韻を持ちながらも、トーンを落として高揚感を覚ましていく。
短調なのがみそかも。


拍手に答えて、二曲目はシューマンの二長調のコラールの様な色合いを持つ宗教的色合いのある
落ち着いた曲。こういう引き出しを持ってるのはやはり専門の音楽家。シューマンの曲よく知ってる
ということか、それをTPOに合わせて弾けるという凄さ。


アンコールは最後は、矢張り盛り上がって終わろうということが、短調だけれど
カロリーの高い曲。2時間近く弾いてきてまだまだ弾けます的な力を見せる。若いだけでなく、
音楽に集中するプロの力はすごい。終わった後は、スタンディング・オヴェーションになった。


楽友協会のチラシからのエピソードには、プログラム追加にショパンをお願いしたそうだ。
矢張り華はほしい。
そして、使用ピアノだったが、文化会館のピアノはスタインウェイのコンサートグランド(1980)で、
45年物、それを話したところ、彼にも考えがあったのか、カワイ楽器製造の担当者に連絡して、
ショパンコンクールで使った、シゲルカワイフルコンサートピアノSK-EXと同等のものを
用意搬入して演奏していたとの事。クラシックではエンドースみたいなものがあるのかどうか、
彼が電話一つで調達できるなら、立場的には広告塔的な動きもあるのかもしれない。
電話1本でピアノが来る。カワイピアノ+ショパンコンクール第2位の
力か。3月12日にもミューザ川崎で同じようなプログラムのコンサートが予定されている。
そこでも使われるようだったら、神奈川公演自体をサポートしている可能性はある。
ガジェブ・ショパンコンクール・シゲルカワイ、ブランドになってきている可能性はある。
ピアニストはそのホールのピアノにあてがいぶちというのが一般的だけれど、ごく一部の
マイ・ピアノをホールに搬入できるピアニストもいるもの、メーカーとタッグを組んで、
活動するやり方も少ないながら昨今はいる様だ。


この流れで次回は11月にマルティン・ガルシア・ガルシアが、今度はファツィオリのピアノと
一緒に来館公演する。ショパンとリストのセットリストのプログラム。楽しみではあるけれど
半年以上先の予定は立たないから、また近くになったら、空いてるところでホールまで行って
購入か。相変わらずアナログな買い方に戻っている。聴けたらいいな。


話は変わるけれど、文化会館の楽器は45年もの。果たしてコンサートグランドの寿命は
どれくらいのものなのか・・・。ネットの平たい情報でも、30-100年とある。それも
メンテナンスやオーバーホールを入れて。以前、ピアニストの宮沢明子さんが、
ホールのピアノについてコメントしていたことがあったのが懐かしい。
それほど頻回に使われるものでないが、維持には気を遣う。そこまでの予算は組まれて
いるのだろうか。一時期、新しいホールには、新しい海外製品を入れる風潮があった。
スタインウェイはその意味で、割とホールピアノになっていることがある。その楽器の
特性維持にどれくらい配慮されるか、ホールや自治体の意気が試される。音楽もお金が
かかるものなのだろうな。勉強になった。

コメントを投稿