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東京交響楽団 第707回 定期演奏会 ピアノ:アレクサンダー・ガヴリリュク 指揮:原田慶太楼

2023-02-20 11:16:14 | 音楽夜話(クラシック)
東京交響楽団 第707回 定期演奏会 ピアノ:アレクサンダー・ガヴリリュク 指揮:原田慶太楼


曲目:
小田実結子:東京交響楽団委嘱作品「カレイドスコープ・オブ・トウキョウ」(世界初演)
グリーグ:ピアノ協奏曲 イ短調 op.16
ソリスト・アンコール:ショパン ショパン:2つの夜想曲第8番 作品27-2


菅野祐悟:交響曲 第2番“Alles ist Architektur"-すべては建築である


ピアノ:アレクサンダー・ガヴリリュク 指揮:原田慶太楼
日時:2023年02月19日(日)14:00 会場:サントリーホール


小田さんの作品は10分くらいのコンサートはじめの序曲みたいな作品で初演。
メロディー・リズム・ハーモニーが明瞭で、東京の情景を映し出すように聴く者に
イメージを沸かせるが、途中からの中華風の音階を使ったような旋律は
耳に残るがどうだろうか。個人的には東京のイメージとはちょっと違うが。
原田さんは聴いてもらうこと楽しんでもらうことを中心に考えており、やはり
伝わる演奏を心掛けている。音楽が聴き手にしみていくことを意識していると
思う。拍手は大きかった。


グリーク。アレクサンダー・ガヴリリュク。初めて接するピアニストだけれど、なかなか
ロマンティックに弾いている。リリカルでもあり、作品に共感して演奏しているのでは
ないかと感じられた。いい演奏だった。 アンコールのショパンも、抒情的にまとめられ
聴き心地がよかった。


後半、4楽章形式の交響曲。菅野祐悟氏の名前は初めて聞くものの、商業音楽などでは
売れっ子で、サントラなども手掛けているという。クラシックの定期にかけられる作品となると
なかなかハードルが高いと思われる。
伝統的な作曲家の作品を聴いてきた耳には、このような作品はある意味物足りなく感じるのかもしれない。
しかしながら、「今」の会場に足を運んでくれる人の数も増やさなくてはならない。音楽家も日々努力されて
いると思うけれど、このような作品もかけて、意見をうかがわなくてはならない。
原田氏はその様なことも承知の上で、作品を提供し変化を促している。いつまでも古典派ロマン派ではないのだ
と言わんばかりに、確かに高年齢の視聴者だけでは先細りだし、観客の開拓にはやはり頭を悩ませることだろう。
チャレンジは続く。
メロディー・リズム・ハーモニーのはっきりした、現代音楽というよりは、聴取者向きのある意味わかりやすく聴きやすい音楽。
それが悪いということでもなく、聴きこんだクラシックファンには物足りないと思わせる何かがある。
個人的は形式云々しないのであれば、組曲を聴いているような感じもした。聴かせどころがところどころにあり、何分かに
1回はテレビドラマのように盛り上がる。その意味ではよくできた作品だと思う。
藤岡氏と関西フィルで初演。それを受けての再演になるのかもしれないが、これらの曲の評価はずっと後になって出てくるもので、
風雪に耐え年代を超えたところで評価が出てくるものだと思われる。再演され聴き継がれて残っていったものが評価されるのかも
しれない。そんな作品であってほしい。まずは手始め。



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