ベストオブクラシック選▽ベルリン放送交響楽団 演奏会
「交響曲第7番 イ長調 作品92」
ベートーベン作曲、マーラー編曲
(37分02秒)
(管弦楽)ベルリン放送交響楽団
(指揮)ウラディーミル・ユロフスキー
~2019/3/26東京・サントリーホールで収録~
今回のユロフスキ氏のテーマはマーラー。
ベートーヴェンの交響曲をマーラーが
編曲した版を使っての演奏。
16型で管楽器はトランペットを除き倍管。
その狙いは何か。
ジャパンアーツのインタビューで
・マーラー編曲版という新たな視点を通して、その新しい魅力を紹介したい。
・マーラーはベートーヴェンの通常の編成よりも楽器を増やし、大編成のオーケストラ向けに
編曲し直す。
・音は一切変えておらず、ベートーヴェンが作曲したまま、オーケストレーションを
徹底的に見つめ直している。そこが他の編曲版との大きな違い。
・マーラーの編曲により、音楽のスケールが格段に豊かになっている。
・私たちは今、ピリオド楽器による速いテンポの演奏に慣れているが、
マーラー版はテンポがより遅く、重厚な印象を与える。
・大編成のオーケストラであるからだけではなく、マーラーが指定した
ボウイングによるところが大きいと思われる。
・音楽の本質は、ベートーヴェンであることに変わりないが、
より豊かな響きを持つ、ロマン派よりの音楽になっている。
・ベートーヴェンの交響曲であることに変わりないが、マーラーに
よって色彩感がぐっと増している。
豊潤な音色。マイルド感ある。ピリオド奏法のソリッド感のあるものとは違い、
温故知新を感じさせるものがある。20世紀の演奏文化を取り入れながら
当時の演奏をたどっていくとマーラーに回帰するというユロフスキ-の
考えが根底にあり、そこからの提案で演奏が構築されている。
こういう演奏、以前聴いたことある。というような演奏に感じられる。テンポは
煽られることはなく、きっと馬車の速度でイメージされてる気がする。
もしかするとマーラーによって慎重に画策されて、演奏されるようにスコアに
びっちり書き込まれているのかもしれない。個人的な妄想だけれど。
巨匠の堂々とした演奏とも違う部分はある。
サントリー・ホールの音響は中低音をまろやかに聞こえさせ耳に優しい。
べートーヴェンやマーラーのころにはこのようなホールはなかっただろうが、
このような演奏は、作者ベートーヴェン編曲者マーラーにはどのように聞こえるのだろう。