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スペースXの新型ロケット“スターシップ”が打ち上げ成功! 多数のタイル消失やフラップ損傷でも大気圏再突入・軟着水を成功

2024年06月07日 | 宇宙へ!(民間企業の挑戦)
日本時間2024年6月6日、アメリカの民間宇宙企業スペースX(SpaceX)社は、開発中の新型ロケット“スターシップ(Starship)”による第4回飛行試験を実施しました。

第1段の“スーパーヘビー(Super Heavy)”は海上への軟着水に成功。
第2弾の宇宙船“スターシップ(Starship)”本体は宇宙空間を飛行後、機体が一部破損しながらの大気圏再突入を経て海上への軟着水に成功しました。
図1.スターシップは第4回飛行試験のため、アメリカ・テキサス州ボカチカにあるスペースX社の施設“スターベース(Starbase)”を離床。第1段に搭載された33基のラプターエンジンのうち1基が停止したが、スターシップは無事宇宙へ向かった。(Credit: SpaceX)
図1.スターシップは第4回飛行試験のため、アメリカ・テキサス州ボカチカにあるスペースX社の施設“スターベース(Starbase)”を離床。第1段に搭載された33基のラプターエンジンのうち1基が停止したが、スターシップは無事宇宙へ向かった。(Credit: SpaceX)
“スターシップ”は、第1段の大型ロケット“スーパーヘビー”と第2段の大型宇宙船“スターシップ”で構成された、全長121メートルの再利用型の新型ロケット。
打ち上げシステムとしても“スターシップ”の名称で呼ばれています。

今回の無人飛行試験は、2023年4月、2023年11月、2024年3月に続く4回目のもの。
計画では、スターシップ宇宙船は最終的にインド洋へ発射約1時間5分後に着水することになっていました。

スターシップ宇宙船は、日本時間2024年6月6日21時50分(※1)にアメリカ・テキサス州ボカチカにあるスペースX社の施設“スターベース(Starbase)”を離床。
スーパーヘビーは33基搭載するラプターエンジンの1基が早々に停止したが、他のエンジンには波及せず順調に高度と速度を上げています。
※1.発射からの時刻などの情報はスペースX社のライブ配信を参照している。
打ち上げの約2分50秒後には、第1段のスーパーヘビーを分離。
第2段を点火しながら第1段を切り離すことで、推力の損失を抑える“ホットステージング”に成功しています。

その後、スーパーヘビーはブーストバック燃焼(飛行経路に対する逆噴射)を行って落下へ。
高度を下げて行き海上スレスレでエンジンの着陸噴射を実施し、打ち上げの約7分30秒後に計画通りメキシコ湾への軟着水に成功しています。
“スターシップ”は第1段と第2段の両方を再使用する計画で、一連の軌道打ち上げ試験では初の軟着水成功となりました。
図2.第1段のスーパーヘビーは、おなじみの“垂直着陸”により海上への軟着水を成功させた。(Credit: SpaceX)
図2.第1段のスーパーヘビーは、おなじみの“垂直着陸”により海上への軟着水を成功させた。(Credit: SpaceX)
一方、上昇を続けるスターシップ宇宙船は、打ち上げの8分30秒後に高度約150キロでエンジン燃焼を停止。
慣性飛行に移行したスターシップ宇宙船は順調に飛行し、高度約190キロの宇宙空間を巡行しています。
図3.宇宙空間を巡行するスターシップ。(Credit: SpaceX)
図3.宇宙空間を巡行するスターシップ。(Credit: SpaceX)
打ち上げの約45分後、スターシップ宇宙船の高度が100キロを下回り大気圏への再突入が始まります。
時速2万6000キロという猛スピードでの降下により、機体が前方の大気を圧縮することで生じるプラズマに包まれていました。
図4.猛スピードの機体に前方の大気が圧縮されて超高温になることで生じるプラズマ。(Credit: SpaceX)
図4.猛スピードの機体に前方の大気が圧縮されて超高温になることで生じるプラズマ。(Credit: SpaceX)
前回の試験では、機体がすぐに不安定化しましたが、今回はしばらく安定していました。
でも、大気が濃くなる高度60キロ付近から機体の一部が破損し始めることに…
ライブ映像に映し出されていたのは、フラップの一つが高熱によって損傷していく様子でした。

それでもスターシップ宇宙船は、姿勢制御を失うことなく大気を利用した減速を継続。
海面付近で機体を水平姿勢から垂直姿勢に起こして着陸噴射を行い、打ち上げの約1時間5分後にインド洋へ着水しました。
図5.機体の一部(おそらくフラップ)が破損されている様子。(Credit: SpaceX)
図5.機体の一部(おそらくフラップ)が破損されている様子。(Credit: SpaceX)
スペースXは公式X(旧Twitter)アカウントで、「着水が確認された。4回目の飛行テストを達成したチーム全員に祝福を」とコメント。
イーロン・マスク氏は「多くのタイルが失われ、フラップが損傷したにもかかわらず、スターシップは海に軟着陸した」と投稿しています。


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