宇宙のはなしと、ときどきツーリング

モバライダー mobarider

8世紀の強力な宇宙線は、ブラックホールの衝突が原因?

2013年02月02日 | 宇宙 space
屋久杉に刻まれた年齢の分析から、8世紀に強力な宇宙放射線が地球を襲ったことが分かりました。
この発生源として、「天体同士の合体による瞬発的なガンマ線バースト」だとする研究成果が発表されているんですねー





瞬間発的なガンマ線バーストは、
ブラックホールや中性子星などの
衝突合体で発生する?




発表されたのは、西暦775年に形成された屋久杉の年輪に、炭素14とベリリウム10が急増していること。
これは、774年か775年に地球が宇宙放射線の直撃を受けたことを示すもので、
炭素14とベリリウム10は、宇宙線が窒素原子と衝突してできる、通常の炭素やベリリウムよりも重い原始です。

放射線が直撃した原因としては、比較的近くで起きた超新星爆発が考えられます。
でも、目撃記録も跡に残るはずの超新星残骸も見られないんですねー
なので、この可能性は無いとする研究結果が発表されています。

原因が太陽フレアとも考えられるのですが、検出されたほどの炭素14の要因としては威力が足りないようです。
巨大なフレアはコロナからの質量放出を伴うことが多く、それによって地球では活発なオーロラが見られるのですが、そのような記録も見当たりません。

また、英国最古の歴史書“アングロサクソン年代記”には、日没後に見える“赤い十字架”の記述があります。
これについても、776年では時期が遅すぎること、やはり超新星残骸が見つかっていないので可能性は低いんですよねー

高濃度の炭素14は検出されけど、その現象の記録はない…

これらを両立するものとして、
2つのコンパクトな天体同士(ブラックホールや中性子星、白色矮星)が、
衝突合体して発生したガンマ線バースト説が提案されてました。

こうした現象で発生したガンマ線バーストは、強力なんですが短く、たいていは2秒以下しか続かないそうです。

この説なら現象の記録がないのもつじつまが合うのですが、こうした短いガンマ線バーストは可視光も発するという別の研究もあります。
見えたとしても、わずか数日間なので見逃す可能性もあるのですが、当時の記録を再度調査してみる価値はあるようです。

炭素14の計測から、ガンマ線バーストは3000光年~1万2000光年の距離で発生したとみられています。

もっと近かったら、地球の生物圏に甚大な被害が…
現在なら、数千光年離れた場所で起こったとしても、先進社会が依存する電子機器などへの影響があるかもしれません。

なので課題は、そのような現象がどれくらいの頻度で地球を襲うのかを探ること。
今は、「過去3000年の間に1度だけ起こったようだ」っとしか言えないんですよね。