前福井県議会議員 さとう正雄 福井県政に喝!

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福井県議会質問。TPP。原子力。旧林業公社の505億円もの県民負担・・・・・

2013年03月06日 | Weblog

 昨日は一般質問でした。

TPP問題では交渉参加にすすむ安倍首相を批判し、西川知事に見解をたずねました。知事は「現段階での評価は時期尚早。通商と農業の政策の両立を求める」などと答弁し、公約やぶりのTPP参加へすすむ政治を容認する姿勢です。

1133億円もの巨費を投じている坂井平野の農業パイプライン事業への影響について、農水部長は「力強い農業ができる」と答えたものの、TPP参加した場合の影響試算については答弁しませんでした。

 原子力防災訓練については、知事は「5キロ圏内の計画を策定し、住民の実働的な訓練を新年度の早い時期にやる」と答弁し、年度内訓練を事実上見送る態度です。全国で唯一原発再稼働を認めている県こそ率先して取り組まなくてはなりません。

 孤立死対策について具体的な研究と体制づくりを求めました。知事は「地域全体の見守りネットは1753自治会で、この2年で9906自治会が増えた。地域で孤立しないように整えていく」などと答弁しました。

 新幹線の前倒し建設による財政収支見通しについて総務部長は「県債発行の時期が早まり、償還時期も早まる。最終的な数字は変わらない」などと答弁し、影響ない、との態度です。

 旧林業公社の505億円もの県民負担については、「国策で推進してきた。いつまでもひきずるわけにはいかない。県民にていねいに説明していく」と答え、3セク債を活用して負債削減をはからなかった理由については、「単年度あたりの財政負担がふえる」などと答弁しました。

 中小企業金融円滑化法が打ち切られる問題では、産業労働部長は「金融機関役員も資金繰り支援はひきつづきおこなう、法律終了で影響ない、と述べている。」「中小企業再生支援協議会に500件の相談が持ち込まれている」などと答えました。現実には、不安感が広がっているのです。また、国の最賃引き上げの制度について、35事業所から申請があったこと、うち7事業所22人で最賃を800円以上に引き上げられたこと、を明らかにしました。

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以下、質問内容です。・・・・・


 日本共産党の佐藤正雄です。

一、    昨年末の総選挙で誕生した安倍政権の政策では、日本の国土と国民は大変なことになることについて質問いたします。TPPで日本の農業や医療を破壊することになります。消費税増税、年金引下げ、医療費引き上げで国民生活を破壊することになります。生活保護基準引き下げで保護受給者はもとより、就学援助や介護、国保、保育など国民生活をささえる各種制度に重大な影響がおよびます。集団的自衛権行使や憲法改憲で平和を破壊することになります。まさに美しい日本を破壊する政策のオンパレードです。

安倍総理のキャッチフレーズは「美しい国」だそうですが、逆から読むと「にくいし くつう」となり、ここに国民感情は早晩一致せざるをえないでしょう。



① まず、焦点のTPP問題について質問します。

自民党はTPP反対を公約に掲げて、関係団体の支援も得て勝利したのです。

しかし、オバマ米大統領との日米首脳会談後に発表されたTPPに関する日米共同声明は3つのパラグラフからなっていますが、その第一パラグラフは、「全ての物品が交渉の対象とされる」と「例外」がないことを明記し、「2011年11月12日のTPPのアウトラインにおいて示された包括的で高い水準の協定を達成していく」ことを確認しています。このアウトラインは、関税と非関税障壁の撤廃が原則だと明記したものであり、その「高い水準の協定」の意味について、外務省は「940品目について関税撤廃を求められる」と述べています。まさに、「例外なき関税撤廃が前提」です。

 安倍首相がそれをごまかし、「聖域なき関税撤廃が前提でないことが明確になった」と述べているのは、大うそにほかなりません。

 また、TPP交渉の特徴の一つは、徹底した秘密主義です。交渉文書や各国の提案などは、TPP発効後も4年間は伏せられたままになります。交渉に参加していない日本に、交渉の中身はわかりません。それなのに、交渉に参加しようとしたら、すでに合意された内容をそのまま受け入れなければなりません。何が入っているかわからないのに丸のみするなど、国民に責任を負う政府のすべきことではありません。

 知事は政治家として、このようにわずか2か月ほど前の選挙の時の公約を翻し、国民を欺きながらTPPにすすもうとしている安倍首相の姿勢をどのようにみておられるか、おたずねします。

 ところで、福井県農業にとっても壊滅的な打撃を与えることはJAや県庁も発表してきました。

知事は12月議会の私の質問に対して、「日本の農業に与える影響が極めて大きく、農林水産省の試算では、国境措置を撤廃した場合、国内の農林水産物の生産額は4兆5,000億円程度減少し、食料自給率は40%から13%となる厳しい見通しをしております。このため、具体的な農業・農村の振興策を提示することもなくTPP参加について議論を進めることは適当でないと考えております」と答弁されました。

 しかし、全国農業協同組合中央会(JA全中)の萬歳(ばんざい)章会長も「自民党の政権公約すべてをクリアしなければダメだというのが全国のJAグループの声だ」と述べ、JAグループとして交渉参加に強く反対することを総理や与党に申し入れている緊迫した状況にあるように、安倍政権の下で参加の議論だけが一方的にすすめられようとしています。

県内コメ生産の9割ちかくが打撃をうけるTPPでは、H28年完成目指してすすめられている坂井平野の農業パイプライン事業の効果にも甚大な影響をあたえかねません。

 そこで質問します。この事業の事業費と農業生産にあたえる費用と効果についておたずねするとともに、かりに、TPP参加となると、この事業の効果はどの程度影響をうけることになるのか、答弁を求めます。


② つぎに、3月末での打ち切りが予定されている中小企業金融円滑化法について質問します。

我が国の景気動向指数は低下しており、中小企業の資金繰りは厳しさを増す一方です。

そのもとで、同法は、中小企業等にとって大きな役割を果たしています。

 2009年12月末から2012年9月末までの間で、同法に基づく、中小企業への元本支払い猶予等は、全国で約343万件、対象となった中小企業向け債権額は約96兆円に達しています。また、住宅ローンの元本支払猶予等は、同時期に約23万件、対象債権額は3兆6千億円にのぼります。

福井県でも、申し込みが30691件、7669億円余り、うち実行が27837件、7193億円余りという状況です。同法が打ち切られれば、多くの中小企業が、廃業・倒産の危機に瀕する恐れがあります。

県内中小企業を円滑化法打ち切りによる倒産や廃業から全力で守るのが県庁の責務です。そこでおたずねします。県として国に最後まで延長をつよく求めつつ、打ち切られた場合でも各金融機関に円滑化法の趣旨どおり変わりなく対応することを要請すること、また、貸し渋り・貸し剥がし対応の臨時の相談体制などをとることを求めますが、見解をおたずねします。


③ さて、労働者の福井県の最低賃金は690円と極めて低額であることはご承知のとおりです。これでは、年間1800時間働いても124万2000円にしかなりません。年収200万以下がワーキングプアといわれていますが、働いても貧困のどん底です。

  そこで、使い勝手の悪い制度ではありますが、国は最低賃金700円以下の地域の事業所を対象に800円以上への賃金引上げ計画と労働能率の増進に資する設備器具の導入をおこなう中小企業にたいし助成制度をもうけています。そこでおたずねしますが、県内でのこの国の制度の利用実績と、800円以上に賃上げした事業所数、労働者数をおたずねします。

また、日本共産党が提案してきましたように賃金の上昇が個人消費と景気回復の道であり、ようやく安倍政権になり、財界団体に賃上げ要請をおこなっていることもご承知のとおりです。

 知事として、県内経済界への働きかけをおこなうこと、また最低賃金を800円以上、さらには1000円以上にひきあげるよう具体的な行動をとられるよう、つよく求めておきます。


④ アベノミクスの悪影響は福井のような地域に早くも顕著です。家計の消費支出を項目別に見てみると、福井では全国平均に比べて、ガソリン代・灯油代の負担が重くなっています。

消費支出に占めるガソリンと灯油の割合は全国平均では、ガソリン2パーセント、灯油 0.62%。福井市ではガソリンは2.35%、灯油は0.83%です。

ガソリン、灯油のこの間の急激な値上がりは、アベノミクスの影響であり、車社会の福井県民、寒冷地の福井県民の生活や営業を直撃しているのです。

要因は、アベノミクスがつくりだした金融緩和への「期待」から、円安がすすみ、原油等の輸入価格が上昇しているからです。

 みずほ総研の研究員も、「円安になった分、原油の輸入価格は上がり、灯油などの価格を押し上げている」と指摘しています。

一方、安倍晋三首相の経済政策「アベノミクス」への期待感などで株高傾向が続いていますが、株を保有している安倍内閣の閣僚と家族自身が7200万円以上の資産を上積みしています。庶民には痛みを押し付けながら、自分たちは濡れ手に粟とはゆるされません。

 この円安傾向は継続するでしょうし、来春からは消費税増税の直撃をうけかねません。そこで、県として福祉灯油、福祉ガソリンなどの低所得者・障害者向けの支援策を創設すべきではありませんか、おたずねします。また、石油製品や食料品・日用品などの便乗値上げの監視をつよめるべきではありませんか、おたずねします。


二、原子力

 つぎに、原子力行政について質問します。

 安倍政権は、原子力規制委員会が7月に策定する原発の「新安全基準」をテコに、原発の再稼働を強行しようとしています。しかし、「新安全基準」骨子案の中身を見れば、「世界最高水準の安全」をうたいながら、原発の危険から国民の安全を守れないものです。

 規制委が先月6日に了承した「新安全基準」骨子案は、福島の事故を踏まえたかのように装っていますが、その中身は、消防車や電源車など、持ち運び可能な機材で対応するなど、対症療法的な対策を並べたものです。

 事故の進展が速いケースに対して、「絶対に間に合わない」「難しい」と、「新基準」を検討する専門家さえ疑問符を付けていました。

 安全を置き去りに、「安全基準のもとで再稼働を判断する」という安倍首相の態度は無責任です。

 このような抜け穴だらけの新基準では県民国民の安全を守ることはできないのではありませんか。

 とくに福井県は全国で唯一再稼働を認めている県であり、県民の安全に負うべき責任は重大です。であるにもかかわらず、重要な時期に県の専門委員会も開催しない、また、住民参加の原子力防災訓練も実施しない態度は県民の安全に無責任ではありませんか、見解をおたずねします。



三、つぎに、福祉行政について質問します。

① まず、提案されている福井県医療計画案についてです。

 今回提案されている福井県医療計画案では、医療提供体制の抑制がきわだっています。なんと5年後には一般病床・療養病床数で、現在の9001を6471へと3割も減らそうというべらぼうなものです。精神病床は2342を2116へと1割削減です。

政府による診療報酬や負担増による患者追い出しをやめさせ、慢性期患者の医療についても生存権保障の立場で確保されなくてはなりません。

 率直におたずねしますが、このような計画で県民は安心でき、福井県の健康長寿政策は維持・発展できるとお考えなのでしょうか。また、この数字では病院数の減少も見込まれるのではありませんか、その医療圏ごとの見込みをおたずねします。


② さて、いま、孤独死・孤立死が社会問題化しています。

福井県内の世帯数は27万4800世帯余ですが、65歳以上の高齢単身世帯は21,356世帯、7.8%、高齢夫婦世帯は22,444世帯、8.2%です。しかしこれは、平成22年の国勢調査の値であり、現況はさらに高齢者のみの世帯は増えているでしょう。

このような世帯構成の反映もあり、毎年のいわゆる異状死、変死の数も増えており、最近では年間1000人を超えました。

 東京では、監察医務院が平成19年から、「一人暮らしの者の死因」「一人暮らしの者の死亡における発見者」「65歳以上の一人暮らしの者の死亡場所」「65歳以上の一人暮らしの者の自宅で死亡した時の発見者」の統計表を公開し、行政の対策にいかしています。

そのまとまった資料として、平成23年に「東京都23区における孤独死統計、世帯分類別異状死統計調査」を公刊しています。

この報告のまとめでは、「単身世帯者の自宅死亡は高い発生率を認めています。孤独死率では地域格差が認められたり、中年男性でも高い発生率が観察されるなど、大変興味深い結果が得られています」と述べています。

 そこで、福井県として、10年後、20年後の福井県の高齢のみ世帯はどのような数になっていると推計しているのか、おたずねするとともに、孤独死・孤立死についての調査体制を整備し、今後さらに増大が見込まれる孤独死を抑制していく調査研究をおこない、行政施策にいかすべきではありませんか、提案し、答弁を求めます。

 このような孤立死・孤独死が増え続ける背景にあるのは、貧困問題の急速な進行です。雇用が不安定にされ、社会保障が切り下げられ、高齢者や病気を抱える人にとってますます暮らしにくくなっています。

 地域の人たちによる見守りやネットワーク、通報体制づくりは当然重要です。しかしそれだけでは限界があります。社会保障制度がしっかり機能し、人間らしく暮らせる社会の実現が急務です。

 年金削減、医療費値上げ、介護や入院の体制は悪くなる、そして生活必需品もふくめて消費税増税という安倍政権の方向では、ますます高齢者や病気をかかえる人が暮らしにくい国になります。

大型公共事業中心に13兆円もの大型補正を組みましたが、そのつけはますます高齢者や弱者に重くのしかかることになり、日本の国が壊れていく恐れがあるということをつよく指摘しておきます。


四、最後にその他で2点質問します。

① 今回議会にしめされた財政収支見通しについてです。

  いま、県は平成37年度末完成予定の新幹線工事の前倒し完成を国に要求し、政府与党内にもそのような動きがあります。これまで私の指摘にたいして県は「負担を平準化して影響があまりでないように工夫していく」と答弁し、今回だされた見通しもその方向でしょう。それでもかなり厳しい数値であるわけです。

 そこで仮に、県が要求しているように新幹線工期の短縮がおこなわれ、仮に3年短縮したとすると、今回しめされた数値はどのように変わるのか。

30年度、35年度、40年度について、基金残高、県債残高、実質公債費比率の数値見通しをお答えください。


② つぎに、今回提案された505億円もの巨額債務となっている分収造林事業の失敗についてです。

 知事は提案理由説明で、「国には、引き続き責任ある対応を求めてまいりますが、これ以上債務が累増することを防ぎ、今、改革に着手し、林業政策を新たな方向に転換していくことが、県民の皆様の将来負担を抑える最善の方法であると考えます。ご理解をいただきますようお願い申し上げます」と述べましたが、県民の税金で尻拭いをすることに県民理解をえるために、かかる失政についてのまず知事の県民への丁寧な説明が必要ではないでしょうか。国策とは言うものの、福井県庁に責任はないのでしょうか。県民はすっきりしないでしょう。四半世紀ちかくにわたり福井県政中枢に責任をもってこられた西川知事の県民への誠意ある答弁を求めます。

 また、今回の提案のように巨額負担をまるまる福井県民に押し付けるのではなく、第三セクター等改革推進債を活用しての、特別交付税措置などによる県民負担の軽減、日本政策金融公庫への弁済財源としての活用を選択しなかった理由についてもおたずねし、私の質問を終わります。