漫才39～犯罪予告ブーム、北京オリンピック、北京パラリンピック～

「最近、犯罪予告がブームになっているらしいな」
「まぁブームと言うのはどうかと思うけど、そういうことがネットの掲示板に書き込まれる事件は多発しているんだよね」
「『明日、○○駅を爆破します』みたいな」
「そうそう」
「『今から万引きします』」
「まぁあるかもね」
「『……君の心を』」
「バカか！　勝手にやってろ！」
「『明日、僕は必ずホームランを打つ。だから君も病気に負けるな』」
「そういう予告はいいだろ！　よくある美談なんだから」
「『明日の試合は初球から積極的に振っていきます』」
「だからいいんだって！　ただの意気込みじゃねぇか！」
「『ニイタカヤマノボレ』」
「それはまずいんじゃないか？　真珠湾攻撃の時の有名な暗号だから」
「でも掲示板にこれを書いて逮捕されたら不憫だな。かたやトルーマンなんて何の罰も受けてないんだから」
「まぁな」
「むしろ掲示板で予告してくれていたらなぁ」
「広島や長崎の犠牲者も減ったかもね」
「でも、なまじトルーマンが『明日、広島に原爆を落とします』なんて書いたら逮捕されていたかも知れない」
「脅迫罪とか威力業務妨害罪とかに当たるのかな」
「原爆を落としたことは無罪なのに予告すると有罪！」
「まぁすごい矛盾だよな」
「オレ、人を殺す時は絶対に予告せず実行するよ！」
「間違ってるよ！　そもそも殺人をするな！」
「しかし、いよいよ始まったね、北京オリンピック」
「開会式も実に華やかだったね」
「ただ、校長先生の話がちょっと長すぎたけどな」
「運動会じゃないんだよ！」
「中国らしく歴史を感じさせる良い開会式ではあったよな」
「うんうん。孔子の言葉を引用したりしてね」
「『モォ～～』」
「それは孔子じゃなくて仔牛だろ！　くだらなすぎるよ！」
「競技も順繰りに始まってゆくんだろうけど、個人的には水泳が楽しみだな」
「日本人のメダルも期待できそうだしね」
「スピード社の水着にも注目」
「着用した選手が軒並みベスト記録を更新しているからね」
「実は黒柳徹子の口もスピード社製らしいぜ」
「そんなわけないだろ！　確かにすごく早口だけど関係ねぇよ！」
「実はオレの股間もスピード社製でね」
「知るか！」
「５日くらいしてなくて溜まっている時に、好みの動画を見ながらオナニーすると、10秒くらいで射精しちゃうんだよ」
「だから知らねぇよ！　誰もそんなこと聞いてない！」
「しかしオリンピックもいいけど、オレはパラリンピックを早く見たいな」
「え？」
「何か問題でも？」
「いや、いいんだけどさ。珍しいなと思って。ちなみにどの種目が楽しみなの？」
「やっぱり何と言っても、全盲の人によるクレー射撃だな」
「怖いよ！　あるか、そんな競技！」
「来賓として長崎市長が呼ばれたりしてね」
「笑えないよ！」
「それから車椅子の水泳」
「だからないって！　沈んじゃうだろ！」
「あとは耳が不自由な人によるイントロクイズ」
「もはや五輪の競技ですらねぇよ！」
「問題自体は簡単でね。『Wo Wo Wo Wo Wo Wo』と清原のテーマ曲が流れてくる」
「はぁ」
「そしたら解答者が素早くボタンを押して」
「答えられないだろうけどな」
「『えっと長渕剛の……つんぼ！』」
「やめろ！　発言が不適切すぎるぞ！」
「ああ、今は『聴覚障害者』って言わなきゃならないんだったな」
「そういう以前の問題だ！」