Dying Message

僕が最期に伝えたかったこと……

I ♡ Eテレ

2014-03-31 16:54:32 | Weblog
 あたしはEテレ大好きっ娘。三度のご飯よりEテレ万歳っ娘。

 Eテレは何でも教えてくれる。政治に経済、囲碁将棋、時にはちょっとマニアックな情報さえも。人生に必要な全てが手に入る。あたしのバイブルEテレ様。怪しい情報なんて一切ないの。なぜならあたしはEテレが好き。

 Eテレのためなら学校を休むことさえ厭わない。Eテレのせいでデートに遅刻? No, No, No. あなたは所詮Eテレ以下の存在。身の程を弁えなさい、バカ男。あたしもEテレも悪くない。なぜならあたしはEテレが好き。

 あたしはゆく。今日もお台場を練り歩き、眠らぬ街に朝日が昇る。眠気MXの気怠さをひとつ背負って、燃え盛る炎を眺めつつ、焼けたてのお芋を頬張る。焦土と化したこの世界、弱きを挫き強きを助け、あたしは踊る、Eテレとともに。

 お母さんと一緒にアンチEテレを攻撃しながら、いつかはあたしも天才テレビさん。なぜならあたしはEテレが好き。そう、Eテレが好き。

ラブホと火葬場

2014-03-29 10:29:31 | Weblog
 昨日の夕方、とある公園で桜を撮ってきた。
 
 28年前俺を産んだ人に写真を見せたところ「(現在5分咲きで)これから咲いていく桜と沈む夕陽の対比が面白い」と。正直そこまで考えていたわけではないのだけど、言われてみれば確かに。つまりあれか。ラブホの隣に火葬場があるようなものか。違うか。全然違いますね。

 もっとも、あえて夕陽との対比で語らずとも、桜はそれ単体で強烈なコントラストを描いている。月並みな言葉ではあるけれど、桜の散り様は美しく、儚きままに生死を表現するからこそ日本人に愛されるのだろうし、出不精の俺がわざわざ撮影に出掛けるのもそういうことだ。

 桜に己の姿を重ねて、ふと物思いに耽る。いつになったら俺は花開けるのか。自分にもきっと何かの才能はあるはずで、このまま枯れゆくことは本意ではない。じゃあ何が俺に花を咲かせるんだ。念ずれば花は開くのか。開花を待ってくれる人がどこかにいるとでも言うのか。

 そんなことさえ分からず、いくら周回遅れを食らっても未だ「たいへんよくできませんでした」な俺がここにいる。

上書き保存

2014-03-27 18:07:33 | Weblog
 自分の人生を顧みたとき、ターニングポイントなっているのはやっぱり高校を辞めたことなんだと思う。

 多分以前にも書いたことはあると思うけど、ある日、俺の友達のAって奴が虐められるみたいなことになってさ。
 そいつは良く言えば真面目すぎるところがあって、すごいウジウジしちゃってるのね。
 で、一番仲の良かった俺に色々相談してくるんだけど、学校から家に帰ってくるとすぐ電話が掛かってきて17時から20時くらいまで話して、ご飯やお風呂を済ますとまた電話が鳴って今度は22時から夜中の2時3時まで話すっていう。
 色々誤解を受けてる面もあると思うけど、俺は自分がすごい取っ付きづらい人間だということも分かってるし、誰にでもいい顔をできるわけじゃないから、その分仲の良いの友達にはほんと自分の全てを擲ってでも尽くしたいと思ってる。
 だから、最初はそんな毎日も負担とは思わなかったし、あいつを虐めてる連中とも仲が良かったんで自分なりに仲裁めいた行動を取ったりもした。
 だけど、それが毎日が続いたらやっぱりしんどくなってくるわけで、ただでさえ話は気の滅入る内容だし、何より通話中は他のことのことができないというのがあって、だんだん俺の中で苛立ちが募るようになっていた。
 だから、そんな生活を1ヶ月続けた頃、A本人に言った。「お前のそのウジウジした性格が火に油を注いでるんじゃないか」と。
 すると翌日A君は学校に来ず、俺は朝一で職員室に呼び出された。呼びに来たのは確か体育の教師だった。

 と、ここまでは割と鮮明に覚えているのだけど、その先はなぜかふたつの記憶が混在していて。
 反省文を書かされたことだけははっきりと覚えているんだけど、ひとつめの記憶は、その場で渡された原稿用紙に大きく「すみませんでした!」と書いて学年主任に首を絞められた、というもの。
 もうひとつは、普通に反省文を書いた翌日、抗議の意味で髪を染めて登校して学年主任に首を絞められた、というもの。
 いずれにせよ首は絞められるんだけど、どちらだったのか全然分からないし、どういうわけか両方の記憶が情景として浮かぶんだよね。

 人間てのは振り返るために生きているんじゃないかと思うことがある。
 要するに、例えば旅行に行くとして、その瞬間に楽しむことはもちろん大切なんだけど、それ以上に重要なのは後から思い出に浸ることなんじゃないかと。
 だからこそみんな写真やビデオに記録を残すわけでさ。

 そう考えると、人生って一体何なんだろうと思う。
 後から記憶を改竄できるなら、極端に言えば、どう生きようが関係ないということになってしまう。
 高校時代のことはネガティヴ系の記憶だけど、これが例えば女の子と初めてセックスした時の記憶を上手いこと修正すれば「こんな大きいの初めて」と褒められたことにもできるし、超絶テクで相手を満足させたことにだってできる。
 自分がそう思っていたら、少なくとも自分の世界ではそれが真実になるんだから。

 時々何もかもが幻のように思えることがある。
 人生の中で生きている手応えを得たことなんて一度もないし、まるで長い夢の最中にでもいるかのように、日々の悲しみや苦しみさえもリアリティを持たず、何もかもがフワッと感じられたりもする。
 それは決して妄想でも何でもなくて、俺が今やっていることは未来の自分が行う回想の手伝いに過ぎないのかも知れない。

 10年後の自分が「20代後半の無職時代も結構楽しかったよな」なんて言ってくれることに期待して、俺はどこまでも甘ったれた今を生きてやろうと思う。

プロ野球順位予想2014

2014-03-26 16:35:14 | 野球
★パシフィックリーグ
1位 東北楽天ゴールデンイーグルス
そりゃ田中将大の抜けた穴は大きいに決まってる。ただ、去年の彼が強力な援護点に恵まれていたのも事実。そして田中の登板翌日は打線が沈黙傾向にあった。そのマイナスが解消して、さらに松井裕樹がオープン戦の好調を持続して、さらにさらに塩見か永井あたりが復活すれば連覇の目は十分あるはず。条件多すぎだけど。でも、マジな話、田中の24勝を差っ引いて「マー君がいなけりゃ借金1」という計算はおかしいよね。代わりの投手は全部負けるのかって(笑)。

2位 福岡ソフトバンクホークス
普通にやったら優勝はこのチームだと思う。でも何か怖いんだよなぁ。オープン戦で絶好調だった打線もどこかで反動が来そうな気がするし、先発投手も攝津・スタンリッジ・ウルフ以降がやや手薄。最初に2個くらい勝って「オープン戦から15連勝!!」と騒がれつつ、その後一気に4連敗くらいする絵が浮かぶ(笑)。心配は尽きないけど、全て杞憂に終わることを祈ります。

3位 北海道日本ハムファイターズ
一昨年リーグ優勝しながら昨年最下位に沈んだのは先発投手陣の不調によるところが大きい。その点、吉川もオープン戦を観る限りではやや復調傾向にある印象。そして何より高卒3年目の上沢はかなりやるはず。去年までは名前を聞いたことすらなかったけど、GAORAのキャンプ中継で見てひと目惚れした。あと、大谷君は何としても二刀流を成功させてほしいよね。彼の挑戦は最高にエキサイティングなはずで「最近の野球はつまらない」云々って結局そいつの感受性の問題だと思う。野球に限らず言えることだけど。

4位 埼玉西武ライオンズ
オフに選手がごっそり逃げていったのがなぁ。元々リリーフに難のあるチームだけにサファテの移籍は特に痛く、代わりに獲ったボウデンも未知数。あと不安なのが監督ね。伊原は去年の日本シリーズ前に「美馬はロッテには通用しても巨人には通用しない」という迷言を残したし、オープン戦で熊代が凡退したとき「打ったら調子に乗るから打たなくてよかった」とか言ったらしいじゃん。選手の士気が下がらないか心配。まぁ裏では色々フォローもしているのかもだけどさ。

5位 千葉ロッテマリーンズ
去年の躍進は今江の復活が大きかったと思うのだけど、彼は数年に一度しか頑張らない選手だからなぁ。アジャ井上をアテにするのは違うと思うし(大砲系の新人がいきなり活躍するのは難しそう)、FA加入の涌井も結局は微妙っぽい。まぁ成瀬や唐川がバリバリに活躍して藤岡が覚醒すれば面白いかも知れないけどね。

6位 オリックスバファローズ
ここも選手の流出がなぁ。李大浩とバルディリスが抜けてペーニャとヘルマンが加入。どう見ても収支は赤だろう。ペーニャはともかくヘルマンはいい選手だけど、糸井がチャンスに弱い以上、このチームに必要なのはポイントゲッターだから。安達・川端・宮崎・駿太・山本和作・三ツ俣らの中から何人か覚醒すれば去年の楽天イーグルス的なミラクルが起こらないとも限らないけど、イーグルスの若手は2012年の段階で「育ってきてる」感がもう少しあったような。新外国人のベタンコートはシーズンに入ったら意外と打ちそうな気がする。あくまで「気がする」(笑)。

★セントラルリーグ
1位 読売ジャイアンツ
まぁ普通に強いっしょ。セントラルの中では。頑張れ、杉内。終わったと思っている連中を見返したれ。

2位 横浜DeNAベイスターズ
頑張れ、バルディリス&梶谷。ていうか梶谷はいつの間に長距離打者になったのさ。自分がベイスターズファンだった頃とはまるで別人だ。血行障害を患っているらしく俺の観たオープン戦の内容は散々だったけど。セントラルの中ではフロントにやる気がありそうだということでの2位予想。

3位 広島東洋カープ
若いチームだからね。セ5弱の中ではまだ魅力のある方。庄司っていう選手は俺の知り合いの知り合いなんだけど、今年あたり、そろそろ出てこないかなぁ。

4位 東京ヤクルトスワローズ
このチームのことは全然詳しくないけど、去年のファーム日本一選手権でホークスと戦ったくらいだから若い選手はいるんでしょ。確か西田っていう選手がよく打ってた気がする。あと、こないだフジテレビONEで観た「スワローズTV」という番組が面白かったんで順位は若干贔屓込み(笑)。八木投手、モノマネ上手すぎ。

5位 中日ドラゴンズ
プレマネは古田でさえも微妙だったからなぁ。監督としては優秀だった落合もGMという立場でどこまで影響力を行使できるかは疑問。コストカットだけなら蓮舫でもできる(笑)。

6位 阪神タイガース
オープン戦、ホークスはバファローズ以外の10球団と戦ったんだけど、最も怖さがないのがこのチームだった。ドラゴンズにも言えることだけどチームの高齢化が著しくてほんと何の魅力もない。ファンは何を楽しみに応援するんだろうな。掛布はコーチ(ではないんだっけ?)としても借金をこさえちゃったりして(笑)。

 最後に毎年恒例(?)の「オープン戦で俺が気になった投手たち」をどうぞ。

・上沢直之(ファイターズ)
・東明大貴(バファローズ)
・伊藤和雄(タイガース)
・森唯斗(ホークス)
・一岡竜司(カープ)
・石川歩(マリーンズ)
・田中靖洋(ライオンズ)
・秋吉亮(スワローズ)
・カーペンター(スワローズ)
・九里亜蓮(カープ)
・松井裕樹(イーグルス)

 良いと思った順。イーグルスの松井君は素材こそ抜群だけど、ハマスタの試合を観たとき、セットでも足を大きく上げていたのが気になった。

10年後の僕予備軍

2014-03-23 17:06:12 | Weblog
 僕はバカです。九九言えません。漢字読めません。なぜなら僕はバカなんです。

 僕はどこまでもバカです。生き方が分かりません。ハローワーク行けません。道に迷います。やっとたどり着いてもパソコンいじって帰ります。ハローワークには10年後の僕がたくさんいます。僕は10年後の僕予備軍です。僕はきっとみじめでみすぼらしいおじさんになります。

 午前2時です。近所の犬がわんわん鳴いています。とてもうるさいです。僕は「うるせぇ」って怒鳴ります。やり場のないやるせなさをぶつけるように加湿器を蹴ります。とても痛いです。心なしか足の甲が腫れてきました。足の裏で蹴れば身長が伸びたのにって後悔しています。

 僕はベッドに入ります。眠れません。僕の後頭部にはスイッチがあります。次々に悲しいことを考えます。分からないのに考えてしまいます。僕はどうなってしまうんでしょうか。このまま消えてしまいたいです。死んでしまいたいです。もう悲しい気持ちにはなりたくないです。

 知らない間に東の空が明るくなりました。小鳥のさえずりが聞こえます。「おやすみ」って言ってます。僕は眠ります。僕が起きるまでどうか誰も僕を起こさないでください。

阿部コミュニケーション

2014-03-21 09:22:05 | Weblog
 脈絡のない紙芝居をめくるように日替わりの思いを抱いて日々過ごす僕がいる。

 僕は棄ても失くしもできぬ人間で、どこまでも一途な人間で。きっと狂おしいほど愛しているはずなのに、天邪鬼が悪事を働くかのように、気持ちと裏腹なる言葉が口をつく。僕の「死にたい」は「生きたい」で、あべこべの阿部コミュニケーションが君の背中を遠ざけてゆく。

 自転車のカゴに憂鬱を乗せ走りながら、僕は思い出の欠片を拾い集める。三つ編みの彼女はもう後ろに乗っていないのに、風の中に君の香水の匂いを見つけたようで、僕はペダルを止める。だけど、振り返ればきっと胸が痛むから、僕は今日もまた君の影から逃げ回ってる。

 移り気なる春の空模様のように毎日違った自分がいる。昨日の俺は君を嫌いで、今日の僕は君が欲しい。冷徹な目で拳を振り上げる俺がいて、涙を浮かべ心の中でそっと詫びる僕もいる。分かってもらいたい俺もいれば、そこに存在してくれるだけで満足な僕もいる。

 風に吹かれてしまおう。タンポポの綿毛に成り果てよう。想えば想うだけ気持ちは空回るようで、僕が頭で考えることなんて1ビットコインの価値さえないのだろう。巡りゆく季節にその身を任せ、悪霊が跋扈する俗世間に背を向けながら、僕は永遠に平安なる人生を送りたい。

 あの日、涙の止み間に眺めた桜は記憶の彼方にて枯れ散ったようで、僕は今日も葉桜の中に次のストーリーを探してる。

進みたくない未来

2014-03-17 18:47:45 | Weblog
 先週の金曜日、ちょっとした用事で静岡に出かけてきた。

 基本的に俺は西に下る習慣がないので、静岡駅に降りるのは予備校生時代以来だったのだけど、街並みは微妙に変わっていた。
 109なんて当時はまだなかったし、駅前のデパートの中にはいつの間にかタワレコが入っていた。場所の記憶が若干あやふやではあるけれど、あの頃よく利用したマクドナルドも見当たらなかった。

 それでも地下街に足を踏み入れると一気に時計の針を戻された。

 当時の俺は予備校の授業をさぼって本屋で時間を潰すことが多かった。
 単純に勉強が嫌いだったこともあるけれど、それ以上に友達を作れず予備校に行くのが気まずかったというのが大きかった。
 俺は必ずしも円満ではない形で高校を辞めていて、当時はまだ心の傷が癒えておらず、その高校で仲の良かった女の子に話しかけられた時もまともな返答ができず、かなり凹んだりした。
 何もかも信じられなくて、最後は自分自身さえも疑うようになって、生きていることの価値を見失ったままに自暴自棄になっていた時期もある。
 それでも当時の自分はこの苦しみが永遠でないことを知っていたし、その先にきっと明るい未来があると信じて疑わなかった。
 なかなか行動が伴わなかったとはいえ、何とかどん底から這い上がるんだという、熱い気持ちだけは持っていたように思う。

 時は流れて9年後、当時の俺は今の俺に何を思うのだろう。

 海岸線を走る電車から見る夕陽はあの日と同じ色なのに、今やまるで別人のように成り果ててしまった俺がいる。
 車窓に映る自分は目が死んでいるようで、漏れくる溜め息さえも車内の喧騒に溶けていく。

 何をしていても俺の中には常に寂しい自分がいる。
 満たすことも満たされることも叶わぬままに、どこまでも拭い去れない憂鬱をひとつ背負って、意地と妥協の狭間で惑ってる。
 にも関わらず、頭のどこかで万能の預言者の降臨を願っているようで、幸せに生きることなんてとっくに諦めているはずなのに、一方でそんな人生に全力ですがる自分もいる。

 人が誰しも戻りたくない過去を持っているように、俺には進みたくない未来がある。
 なのに、今この瞬間も俺は確実にそこへと向かってる。

 電車は刻一刻と速度を増すように俺をどこかへ連れ去っていく。

可憐な乙女の儚き思い

2014-03-15 01:44:06 | Weblog
 僕は躁鬱の波が波浪警報なう大津波警報うぃるで、同じ波はきっともう来ないから、僕は今にも波乗りマーシーしてしまってる。

 心が健康な時の俺は今にもフリーザをぶち殺しそうになるし、心が不健康な時の僕は横浜DeNAベイスターズにさえも勝てそうな気がしない。メランコリーはいつも自殺願望と背中合わせのご近所さんで、僕はいっそ回覧板にザーメンを塗りたくってお隣の女子大生と受精してしまいたい。いつしか生まれくる赤子の名前をシンキングタイムするかのように、今やお坊さんが僕の新しい名前を考えてくれ始めてる。

 僕の声はいつも菜種梅雨の午後5時に紛れるようで、僕は西の空を赤らめることすらできずにいる。誰かの心の動かしたり誰かの共感を得ることなど夢のまたドリームで、僕はただひっそりと地平線のその向こうへと消えていく。どこのオルフェーヴルの骨かも分からぬのっぺらぼうのクズ野郎に大事な人を奪われるかのように、僕は妾の地位さえ確保できず、僕は自分の処女膜で作った湯葉を夜ごと頬張っている。

 夜の街は今日も不条理のネオンに照らされる。今宵も僕の涙がキラリ煌めくようで、あの日の笑顔を雑踏の奥深くに押し込みながら、今の僕は自分自身と分かち合うことさえもできずにいる。抱えきれない悲しみはきっと背中の十字架となって、隠れキリシタンもとい隠れアルカイダたちの目覚まし時計となることを心から願っているのに、可憐な乙女の儚き思いは理想と裏腹なるがままに12位へと沈みゆく。

 ここから先は死にたい人生。頭の中であの日の寂しさがリフレインするようで、僕はいっそ死んでしまいたい。カルマはいつも自らの分身で、高崎にて僕はきっとダルマを買う。手足を出すことさえ叶わぬままに、別れの歌がこだまする春空の下、今にもオッカムの剃刀で全身を赤く染めてしまいそうな僕がいる。

「花言葉は“叶わぬ恋”」

2014-03-12 00:06:17 | 小説
 草木さえもまどろむような穏やかな日差しが降りしきる桜咲くある春の日、満面の笑みを浮かべながらゾウさんのじょうろに水を汲む男の姿があった。
 パンジーやビオラに話しかけながら水をやる様子は、花を擬人化しているというより、もはや花を本当の友達と見ている風であった。

 男は近所でも評判のバカだった。小学生の頃からテストはいつも0点で、九九も満足に言えなかったし、英語では関係代名詞の非制限用法さえ理解できずに挫折した。彼の在籍する学校の校長が盗撮で逮捕されたとき、警察の取り調べに「デキの悪い生徒がいて心労が募っていた」と動機を述べるほどだった。
 やがて高校に進学したものの、県下で最も偏差値の低い学校でも落ちこぼれ、3年生にならずして中退。なだれ込むようにフリーターになり、単発の派遣アルバイトで最低限の食い扶持を稼いだ。しかし生来の物覚えの悪さがここでも仇となり行く先々で叱られる日々。心の花はいつも悲しく枯れるばかりだった。

 そんな男に転機が訪れたのは、いつものようにある派遣先に出向いた時のことだった。一緒に働く女性にひと目ぼれしたのである。
 声を掛け、あわよくば電話番号を交換したいと考える彼であったが、自分に自信が持てず、また奥手な性格でもあったため、淡い恋心は淡いままに、花びらは涙に濡れた。

 男は来る日も来る日も女性のことを想い続けた。いつしか再会できることを願って、自らの茎をひたすらに擦った。受粉の夢叶うことを願いながら必死に子供の名前を考える毎日だった。

 セミさえも熱中症になってしまいそうな特別暑い夏のある日、男はベビー用品を買い揃えるべくホームセンターに向かった。すると、途中で偶然にも愛しき女性の姿を見つけたのである。
 ――この機を逃したら本当にもう会えないかも知れない。
 そう確信した彼は、一瞬躊躇したものの、勇気を振り絞って彼女の元に駆け寄った。

「お久しぶりです」
「え? 失礼ですけど、あの……」
 男は精一杯気取った声色を使って言った。
「花子を!僕の花子を!産んでくれませんか!?」
「あの、そういうのは、ちょっと……」
 ハイヒールの音は急速に遠ざかっていった。

 ひぐらし鳴く夕暮れ時。男は普段と変わらぬままに花に水をやっていた。西日に照らされた横顔で、おしゃぶりがきらりと光った。

社会のwindow

2014-03-10 01:15:45 | Weblog
 体長140mmの僕はいつも臆病で、自分の世界から飛び出せずにいる。

 だけど、僕はそろそろ次のステージに進みたい。僕はきっと寂しがり屋で、僕はきっとみんなに見られたい。縮こまった弱い姿すら衆目に曝すかのように、ありのままの自分を見られたい。時にこぼれくるひと滴の涙さえも親愛なる人々に飲み干されたい。

 僕はやがてきっとビッグになる。EDはいつも過去形で、天空目がけてこの青空を駆け昇る。誰も手の届かない未知なる世界を目指し、青筋立てて僕はゆく。やる気に満ち満ちたさわやかな朝の勢いそのままに、僕は入道雲をTENGAに絶頂する。

 なのに、その刹那、やる気のグラフが放物線を描くかのように、僕はまた昨日の僕に逆戻る。心のファスナーを下ろし、いつもいつまでも自分の皮に閉じこもる僕がいる。