NPO法人美濃の森造隊だより

人と森林との最適な関係を探るため、岐阜県恵那市を中心に人工林の間伐をしながら森造りを行なうグループの活動報告です。

山姥恐るべし (11月27、28日)

2010年12月01日 | 間伐
友人が間伐材を使うと言うので、23日の現場で集材しようと朝8時過ぎ濃い霧の中を愛車スーパーカブで佐々良木に向いました。
途中の道路沿いの温度計表示は2℃、ヘルメットの風防の結露で霧は水滴だったんだと改めて気付かされつつ、待ち合わせ場所の「らっせいみさと」駐車場までのほんの20分のドライブで、体はすっかり冷え切っていました。
冬の朝にバイクに乗るのは相当気合が必要です。
待ち合わせ場所から現場に着くと、パレットを積んだ台車を押しながら坂道を登るおばあさんに出会いました。
人に会うのが意外だったので声を掛けると、少し上に畑があってそこに行くという返事でした。
何をしているのかと聞かれ間伐をしていると答えると、家の山もやってくれないかという話になり、集材に取り掛かる前に早速一緒に畑に隣接する森林を見に行く事にしました。
後から来た友人を集材現場に何も言わずに残してきてしまったので、おばあさんと連れ立って行ってしまう私の後ろ姿を見て、一緒に来ていた友人の娘は、私が山姥に連れて行かれたと言っていたそうです。
後で聞いたのですが、おばあさんは今日2度目の収穫で、収穫した野菜は道の駅「らっせいみさと」に卸していて、売上げは1万円ほどになると言う事でした。
休日のみの売上げかもしれませんが、1日1万円の売上げはたいしたものです。
弱者で一括りされがちな高齢者ですが、山里のおばあさんは違います。
人気の無い山道で小さな台車を腰を曲げながら押しているおばあさんを舐めてはいけません。
恐るべき山姥かもしれません。

おばあさんの山林を見て間伐を約束し、霧も晴れた現場に戻り集材作業に取り掛かりました。


今回必要な材の仕様は、元口の直径が10cm程、末口もそれ程変わらなく真っ直ぐな4mのヒノキというものですので、かなり厳しい条件です。
この条件を満たすのは、しっかり間伐が遅れて細いまま成長した50年程のヒノキの2番玉といったところでしょう。
間伐遅れの人工林で切捨てにされるこうした間伐材も、欲しい時にはなかなか手に入りません。
しかしこうして少ないながらも需要はあるわけですから、小さな需要をうまく吸い上げられれば間伐材ももう少し利用出来るでしょうね。


集材は午前中に終わったので、材を運んで行く友人を見送って、午後からおばあさんの山林で少し間伐をしました。

28日も引き続きおばあさんの山林で一人のんびり間伐をしました。
27日施工前の様子です。

28日施工後の様子です。




随分切っていますが、外からの見た目はあまり変わりませんね。
これを見るとまだもう少しという思いになります。
しかし、森の手入れは何年も時間を掛けてゆっくりと取り組むものなんでしょう。
慌てて結果を求めるには、森林が時間的にも面積的にも人のスケールでは測れない対象だという気がします。
また数年後にこの森に会いに来ます。

コメント
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