夜な夜なシネマ

映画と本と音楽と、猫が好き。駄作にも愛を。

今年観た映画50音順〈な行〉

2015年12月26日 | 映画(な行)
《な》
『流し屋 鉄平』
2015年の東映Vシネマ
監督は俳優としても活躍する榊英雄、音楽は監督の奥様である榊(橘)いずみ。
ギター片手に夜の街を歩く「流し」の鉄平(寺島進)。
いまどき流しなんて流行らないが、鉄平の歌に勇気づけられたのが朱美(夏菜)。
朱美は歌手になるのをあきらめて郷里に戻っていたところ、
たまたま鉄平の歌を耳にして、ふたたび歌手を目指そうと上京する。
新宿でばったり朱美と再会した鉄平は、朱美が働くショーパブへ。
そのショーパブは大人気音楽プロデューサー・金杉(名高達男)が経営する店だった。
金杉が主催するオーディションで優勝すればメジャーデビューできる。
しかし実は金杉はオーディションの出演者から曲を盗み、
自分の曲として世に出しつづけている悪徳プロデューサーだった。
鉄平と朱美は金杉のゴーストライターを務める光太(高岡蒼甫)と出会うのだが……。
昭和な香り溢れる人情ドラマはいいものです。Vシネマ、万歳!

《に》
『ニューヨークの巴里夫(パリジャン)』(原題:Casse-tete Chinois)
2013年のフランス/アメリカ/ベルギー作品。
セドリック・クラピッシュ監督による青春三部作、
『スパニッシュ・アパートメント』(2002)、『ロシアン・ドールズ』(2005)に続く完結編。
40歳になった作家のグザヴィエは、妻ウェンディ、息子トム、娘ミアとパリに暮らす。
平穏な毎日を送っていたが、親友でレズビアンのイザベルに頼まれ、精子を提供
その過程でウェンディに正直に相談した辺りから夫婦の関係が怪しくなる。
ニューヨークへ出張だったウェンディは、「好きな人ができた」と言い、グザヴィエに別れを宣言、
さっさと子どもたちを連れてニューヨークへ旅立ってしまう。
子どもたちと会いたくて仕方のないグザヴィエは、自分もニューヨークへ。
グリーンカード取得に向けて奔走するのだが……。
言うなればこれも『6才のボクが、大人になるまで。』(2014)同様、
十数年の歳月をかけて同じキャストの成長を見守った作品ですよね。
グザヴィエがニューヨークのとある交差点で、
離婚した両親がその昔に彫ったという落書きを見つけるシーンがとてもよかったです。
「僕が望まれてこの世に生まれてきたのだという証がここにある」。
観終わってしみじみ「よかったなぁ」と思える作品でした。

《ぬ》
なし。
「ありません」というのは悔しいのですが、ホントになかったんです。
劇場公開された作品にはもちろんのこと、DVDにもありません。
今年発売されたDVDのうち、「ぬ」で始まる作品は、『濡れた貴婦人』(1984)の再販のみでした。
これは今年DVD化とは言えないから対象外。
AVにだったらいっぱいあるのかしらん。

《ね》
『眠れる森の美女』(原題:Dornroschen)
2008年のドイツ作品を今頃DVD化。
アナ雪やらシンデレラやらのディズニー人気に便乗したのか。
不妊に悩んでいた国王夫妻に、待望の王女ローザが誕生。
祝宴に13人の魔法使いを招待するが、
おもてなしの絶対的ルールである揃いの金の皿を12枚しか用意できず、
最後に到着した13人目の魔法使いツェータを、遅刻を理由に帰すことに。
憤慨したツェータは、「15歳の誕生日に糸車の錘(つむ)が刺さって死ぬ」という呪いをローザにかける。
ほかの魔法使いによって呪いの力は弱められたものの、
「錘が刺さって死なない代わりに、100年の眠りにつく」にとどまる。
国王は全国の錘を没収するが、15歳の誕生日当日、ローザに錘は刺さり、
ローザのみならず、城壁の中にいたすべての者が眠りについてしまい……。
100年が経とうとする頃、隣国の発明好きの王子フレデリクがドローンならぬ鳩にカメラをくっつけ、
空を飛ばしているときに眠れるローザを発見。
みずから発明した気球に乗り、いばらだらけの垣根を越えて城内へ。
王女と見事結ばれるという、なかなか楽しい展開。
王子の護衛や家庭教師など、キャラも際立っていてそこそこ楽しめました。

《の》
『ノンストップ・バディ 俺たちには今日もない』(原題:Nicht mein Tag)
2014年のドイツ作品。劇場未公開。WOWOWで放映記録あり。
見たことのある出演者はW主演の片割れ、モーリッツ・ブライブトロイぐらい。
でも観てよかったと思える痛快ムービー。
前科者のナッポは、68年式マスタング“ファストバック”をどうしても手に入れたくて、
銀行に2万ユーロの融資の相談に行く。
見るからに不良中年で定職のないナッポがそんな金を借りられるはずもなく、
生真面目な銀行員ティルに丁重に断られる。
納得できないナッポは、後日その銀行に押し入って2万ユーロ弱を強奪するが、
逃走車の運転手が恐れをなし、ナッポを残してスタコラサッサ。
足のなくなったナッポはティルを人質に取って銀行から脱出。
ティルは自分の車にナッポを乗せるはめになり……。
ミュージシャンになる夢をあきらめて家族のために働いてきたのに、
ナッポに解放されて自宅に帰ってみれば、妻ミリアムは浮気の真っ最中らしい。
自暴自棄になってナッポとともに悪事に首を突っ込みます。
ところがティルは酒癖最悪。ナッポのほうがティルの尻ぬぐいをして回らねばならぬほど。
おきまりのタイプの作品ではありますが、笑えて、少々胸も熱くなります。

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今年観た映画50音順〈た行〉

2015年12月25日 | 映画(た行)
《た》
『多重人格ストリッパー フランキー&アリス』(原題:Frankie & Alice)
2010年のカナダ作品。
劇場公開時は『フランキー&アリス』だったのに、DVD化されたらこんな邦題に。
そのおかげでこうして「た」の欄に書けるのですけれど。
驚愕の実話を基に、主演のハル・ベリーが自ら製作にも名を連ねています。
1973年のロサンゼルスに暮らす売れっ子ストリッパーのフランキー。
しかし、たびたび不可解な言動に走り、しかもその間の記憶がまったくない。
ある日、彼女は傷害事件を起こして逮捕されるが、やはり身に覚えなし。
精神病院に入るなら刑務所入りは免れると知り、入院を選択。
以前にたまたま彼女を診た研究医のオズは、彼女の症状に興味を持つ。
やがて彼女の中に知能指数が天才並みの少女と、人種差別主義の白人アリスという、
フランキーとは別人格の二人が生まれていることに気づき……。
しぐさ、声色で別人格を見事に演じ分けたハル・ベリー。
慈愛に満ちた医者役ステラン・スカルスガルドも素晴らしい。
いかがわしい邦題だけど、脱ぎも絡みもゼロです。念のため(笑)。

《ち》
『チワワは見ていた ポルノ女優と未亡人の秘密』(原題:Starlet)
2012年のアメリカ作品。劇場未公開。
文豪アーネスト・ヘミングウェイのひ孫ドリー・ヘミングウェイの主演デビュー作。
邦題のセンスもなければ、副題も気を惹きたいだけの馬鹿さ加減。
原題は主人公が飼っている犬の名前で“スターレット”。
21歳のジェーンは、親友メリッサとその恋人と3人でルームシェア。
女優志願のジェーンとメリッサの目下の仕事はポルノばかり。
ある日、ジェーンは独り暮らしの老婦人セイディー宅のガレージセールで魔法瓶を購入。
花瓶として使おうと水を注ぐと、中から1万ドルの札束が出てくる。
降ってきた札束に心が躍り、ひとりで買い物三昧。
しかし、気が引けてセイディーを訪ねたところ、
品物に難癖を付けられると勘違いした彼女から門前払いを喰らう。
以降、ジェーンは偶然を装ってセイディーに近づき、世話を焼こうとするのだが……。
悪くはないけれど、「言わなくてもわかる」とばかりの中途半端さが鼻につきます。

《つ》
『妻への家路』(原題:歸来)
2014年の中国作品。
文化大革命のなか、知識人のルー・イエンシーは、右派分子として強制労働送りに。
そんな夫が解放される日を待ちつづける妻のフォン・ワンイー。
一人娘のタンタンは中学生で、幼い頃に生き別れた父には思い入れがない。
あるとき、イエンシーが強制労働から脱走したとの情報が。
イエンシーはフォンにこっそり会おうとするが、タンタンの密告により、
イエンシーの出現を待ちかまえていた警官隊に拘束されてしまう。
1977年、文化大革命が集結。名誉を回復したイエンシーが20年ぶりに帰宅。
ところが、フォンはイエンシーのことがわからない。
あの日、目の前でイエンシーを拘束されたフォンは心が壊れ、
夫を愛する気持ちは変わらないのに、夫の顔の記憶をなくしていたのだ。
フォンはイエンシーのことをまるで他人扱い。
イエンシーはフォンの向かいに家を借り、自分を思い出してもらおうと奮闘するが……。
最後まで思い出してもらえることはありません。
毎月、夫を迎えに港へ出向くフォンに付き添うイエンシー。
夫は自分なのに。ここにいるのに。胸がしめつけられるラストシーンでした。

《て》
『天才スピヴェット』(原題:The Young and Prodigious T.S. Spivet)
2013年のフランス/カナダ作品。
大好きなジャン=ピエール・ジュネ監督がライフ・ラーセンの異色冒険小説『T・S・スピヴェット君 傑作集』を映画化。
10歳の少年T・S・スピヴェットは、二卵性双生児の弟レイトンを事故で失う。
やんちゃなカウボーイ気取りだったレイトンは、牧場主である父親の自慢の息子。
対照的に物静かで学問好きのスピヴェットのほうが死ねばよかったと思っているだろう。
昆虫博士の母親とアイドル女優を目指す姉。
家族の誰もが悲嘆に暮れているはずだが、レイトンの話はしない。
ある日、スピヴェットが年齢を明かさずに応募した発明が、
栄えあるベアード賞を受賞したとの知らせがスミソニアン博物館から届く。
スピヴェットは置き手紙を残すとこっそり家を出て、授賞式へと向かうのだが……。
弾ける色彩が美しい。劇場で3D版を観なかったことが悔やまれます。
窓をつたう雨滴を見たスピヴェットの言葉が心に残りました。
「水滴がすばらしいのは、最も抵抗の少ない経路をたどること。
人間はまったくもってその逆だ」。

《と》
『トレヴィの泉で二度目の恋を』(原題:Elsa & Fred)
2014年のアメリカ作品。
監督は『イル・ポスティーノ』(1994)のマイケル・ラドフォード監督。
長年連れ添った妻に先立たれて半年ばかりが経った80歳の偏屈老人フレッド。
娘夫婦の提案で住み慣れた一軒家を手放し、小さなアパートへ引っ越す。
隣家に住むのはおしゃべりで陽気な老婦人エルサ。
何かと声をかけてくるエルサに最初は迷惑顔だったフレッドだが、
エルサの可笑しな作り話に和まされ、これからの人生を楽しもうと思い始めるのだが……。
オバハンとオッサンの妄想に陥りがちなところ、
シャーリー・マクレーンクリストファー・プラマーという大ベテランコンビが可愛らしくて。
それでもシャーリー・マクレーンにはドン引きすること何度か。
しかし、熟年カップルがあちこちの作品で無銭飲食をやらかしたがるのは何故?

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今年観た映画50音順〈さ行〉

2015年12月24日 | 映画(さ行)
《さ》
『サスペクト 哀しき容疑者』(英題:The Suspect)
2013年の韓国作品。
“ジェイソン・ボーン”シリーズ顔負けの面白さ。
北朝鮮特殊部隊の凄腕工作員だったチ・ドンチョルは、妻子を殺される。
韓国へ逃げた同郷の犯人への復讐を誓い、自らも脱北。
ソウルの片隅で運転代行業をしながら犯人の行方を追っていたが、
ドンチョルの唯一の理解者で、韓国財界の大物であるパク会長が、
屋敷に忍び込んだ何者かによって暗殺される。
現場に偶然居合わせたドンチョルは、会長殺しの容疑者にされてしまう。
真の暗殺犯の狙いは、絶命寸前の会長がドンチョルに託したある品。
黒幕の対北情報局室長キム・ソッコは、ミン・セフン大佐にドンチョル追跡を指示。
黒幕が室長だとは知らぬセフンは、血眼になってドンチョルを追うのだが……。
『トガニ 幼き瞳の告発』(2011)の主役を演じたコン・ユがドンチョルを好演。
セフン役のパク・ヒスンと並んで渋いの何のって。
どうでもいい話ですが、コン・ユは鳥谷敬、パク・ヒスンは遠藤憲一に似てません?

《し》
『シェアハウス・ウィズ・ヴァンパイア』(原題:What We Do in the Shadows)
2014年のニュージーランド作品。
ルームシェアするヴァンパイアに密着してドキュメンタリーを制作する。
という、実に奇抜なアイデアのモキュメンタリー
ニュージーランドの首都ウェリントンの一軒家に暮らす4人のヴァンパイア。
ドキュメンタリー制作班を案内するのは379歳のヴィアゴ。
陽光を浴びれば焼け死んでしまう彼らの起床時間は日が暮れてから。
クローゼットや物置の中などで眠る仲間をヴィアゴが起こして回る。
ある日、長老ヴァンパイアのピーターがうっかり人間の大学生ニックに噛みつき、
ニックはヴァンパイアとなってしまう。
お調子者のニックはヴァンパイアのルールに無頓着でトラブルメーカー。
さらには人間の親友スチューを勝手にシェアハウスに招き入れる始末。
ところがこのスチューがものすごくいい奴で……。
最後は月夜の晩にスチューが狼男に襲われて無惨に死亡。
と思いきや、狼男となったスチューが狼男を大勢引き連れてシェアハウスへ。
ヴァンパイアと狼男の交流に一役買うというなんとも楽しいラストシーン。
とっても愉快なホラーコメディでした。

《す》
『ストロボ・エッジ』
2015年の日本作品。
咲坂伊緒の同名コミックを廣木隆一監督が映画化。
高校1年生の仁菜子(有村架純)は同級生の蓮(福士蒼汰)に恋をする。
蓮には年上のモデルの彼女がいたが、それを承知で蓮に告白。
公衆の面前でコクってフラれたため、学校中の注目の的に。
からかわれても仁菜子はメゲず、ひたむきに蓮のことを想いつづける。
そんな姿にやはり同級生の拓海(山田裕貴)が惹かれ、
また、蓮も自分の気持ちが変化していることに気づくのだが……。
有村架純はものすごくカワイイけれど、この仁菜子はちょっと良い子すぎ。
主人公たちと同世代なら胸キュンキュンしたかもしれませんが、私にはもうツライ。
廣木監督のこの路線はもうおなかいっぱいだぁ。

《せ》
『セシボン』(原題:C'est Si Bon)
2014年の韓国作品。
1970年代の韓国にフォークブームを巻き起こした店を舞台にした作品。
ソウルに実在する音楽喫茶“セシボン”がそのお店。
音楽鑑賞室“セシボン”は若い女性の間で大人気。
男子学生がフォークギター片手に歌を競うオーディションが客を呼び、連日超満員。
何週も連続チャンピオンに輝いたソン・チャンシク、ユン・ヒョンジュが
コンビを組んでデビューすることになるが、ふたりは喧嘩ばかり。
そこでプロデューサーは緩衝材としてオ・グンテを投入、トリオを結成させる。
しかし、3人ともが女優志望のミン・ジャミンを好きになり……。
数十年後のオ・グンテを演じるキム・ユンソクが良かったです。これぞ青春。

《そ》
『ソルジャーズ・オブ・フューリー』(原題:Chuzhaya Voyna)
2014年のロシア作品。劇場未公開。
1970年、泥沼化したベトナム戦争にひそかに派遣されていたソ連兵たち。
ソ連軍の特殊部隊に所属するパヴェルは、要人暗殺の極秘指令を受けて最前線に潜入。
ところが軍上層部の謀略によって、米軍どころかソ連軍からも追われるはめに。
途中出会った米軍脱走兵のエディ、北ベトナム軍のタンとともに行動、
ほかに味方皆無の状況で突き進み、なんとかターゲットに迫るのだが……。
歴史上存在しなかったはずのアメリカとソ連の戦争がこんな形で繰り広げられていたそうです。
ソ連は6,000名も派兵していたのに、それは歴史から消し去られているということに驚きました。
しかし、誰がどこの人で、どういう任務でこの地にいるのかが非常にわかりづらく、
頭の中を整理することができませんでした。
ありがちなサービスショットの濡れ場もあったりして、B級だなぁ。

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今年観た映画50音順〈か行〉

2015年12月23日 | 映画(か行)
《か》
『間奏曲はパリで』(原題:La Ritournelle)
2013年のフランス作品。
原題は英語で“routine”、すなわちルーチン。
『ウィークエンドはパリで』があったかと思えばこれも。
どうしてみんなこんなにパリが好き?
フランス・ノルマンディーの田舎町で畜産業を営む熟年夫婦。
無骨な夫グサヴィエとの日々を退屈に感じるようになった妻ブリジットは、
ある日、イケメンの青年スタンと意気投合。
久しぶりにときめいたブリジットは、夫に嘘をついてパリへひとり旅。
スタンが勤める店に偶然を装って押しかけるのだが……。
私が大の苦手なオバハンの妄想系で始まり、最初のうちはキモイだけ。
途中でやめようかと思ったら、ブリジットが序盤でスタンに見切りをつけたため、
それ以上キモくならずに済みました(笑)。
とはいうものの、大女優イザベル・ユペールとベテラン男優を配しておいて
こんなグダグダなだけかよというつまらなさ。ラストはちょっとだけ○。

《き》
『近キョリ恋愛』
2014年の日本作品。
やめておけばいいものを、熊澤尚人監督の名前に惹かれて観てしまいました。
クールな秀才・枢木ゆに(小松菜奈)は、英語だけが若干苦手。
他の教科は満点近く、成績は常に学年トップ。
そんなゆにの英語の成績も上げようではないかと、
赴任してきたばかりの英語教師・櫻井ハルカ(山下智久)から放課後に補習授業を受けることに。
イケメンの自信家で、モテモテだけど冷たい物の言い方をするハルカにゆには反発。
しかしいつのまにかハルカのことを好きになってしまう。
ゆにと同居する保護者代わりの数学教師・明智数馬(新井浩文)はゆにのことを心配するのだが……。
観なきゃよかったということはありませんが、山Pってもう30歳ですよね。
こんな台詞、よう言うわと見ているこっちが照れてしまう。
あまりに恥ずかしくて直視できないこと多数。目の保養にはなりました。

《く》
『靴職人と魔法のミシン』(原題::The Cobbler)
2014年のアメリカ作品。
『扉をたたく人』(2007)、『WIN WIN ダメ男とダメ少年の最高の日々』(2011)の監督で、
『ミリオンダラー・アーム』(2014)の脚本家、
トム・マッカーシーがアダム・サンドラーを主演に迎えて。
ニューヨークの下町にたたずむ小さな靴修理店の四代目マックス。
先代の父はずいぶん前に蒸発し、マックスは年老いた母と二人暮らし。
隣の床屋の主人が心配してくれるが、単調な毎日に張りはなく、人生投げやり。
ある日、愛用していた電動ミシンが壊れたため、
物置部屋に眠っていた旧式ミシンで客の靴底を張り替える。
客が引き取りに来るのを待つ間に、何気なく靴に足を入れてみてビックリ。
鏡に映るマックスの姿は、靴の持ち主の姿に変わっていた。
どうやらその旧式ミシンで修理した靴を履くと、靴の持ち主に変身できるらしい。
以降、ささやかな楽しみを見つけたかのように、
マックスはさまざまな客の靴を履いては疑似体験を試みるのだが……。
のほほんとしたファンタジーかと思いきや、下町の再開発に絡むトラブル勃発。
客の靴を履いて変身したマックスがそれを解決する過程が面白い。

《け》
『K2 初登頂の真実』(原題:K2: La Montagna Degli Italiani)
2012年のイタリア作品。
世界最高峰のエベレストよりも登頂が難しいと言われる、世界第2位の高峰K2。
1954年、イタリアの登山隊がこのK2の初登攀に成功、
それを果たしたのはアキッレ・コンパニョーニとリーノ・ラチェデッリの2名。
ところがイタリアでは「登頂は隊全体の名誉」として、長い間その名前を公表せず。
しかも初登頂の栄誉をめぐって裁判沙汰にまで発展。偉業の裏にいったい何があったのか。
アルピニストは人格者であると思っていますが、やはり人間。
リーダーに任命されたアキッレが、無鉄砲だけど実力は一番のワルテル・ボナッティに脅威を感じ、
自分が初登頂したいがためにワルテルを貶めようとしたと。
リーノは、仲間を裏切るなんてと思いつつ、アキッレの行為を認めます。
ちょっと抜け駆けとかではなく、未必の故意まであるんだから怖い。

《こ》
『コーヒーをめぐる冒険』(原題:Oh Boy)
2012年のドイツ作品。
親に内緒で大学を辞めてから2年間、そのまま仕送りを受けつづけ、
ベルリンでのんきな毎日を送る青年ニコ。
ある朝、恋人エリの機嫌を損ね、荷物と一緒に追い出されてしまう。
そこから運に見放されたかのように不幸ばかり。
飲酒運転で取り上げられた免許証は返ってこず、ATMにカードが飲み込まれ、
コーヒーショップに寄れば店員との不毛な会話に疲れ、
しかもたった1杯のコーヒーがバカ高く、結局コーヒーは飲めずじまいで……。
邦題からは美味しいコーヒーが出てきそうですが、原題のとおり。
ひとつ不運に見舞われるたびにニコはコーヒーを飲もうとしますが、
コーヒーマシンが壊れていたり、もう片付けたと言われたりして、駄目。
ラストでやっとコーヒーにありついたときもビミョーな空気。
だけど、その表情から、ニコは何かを見つけたと思いたい。

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今年観た映画50音順〈あ行〉

2015年12月22日 | 映画(あ行)
14回目となりました。恒例におつきあいください。

昨年同様、18日までに劇場で観た作品についてはすべてUP済みなので、
ここに挙げるのはそれ以外のDVDで観たものばかり。
この「今年観た映画50音順」も「今年DVDで観た映画50音順」に変えたほうがよさそう(笑)。

あくまで書きそびれていた作品を挙げているだけなので、
好きだったとか嫌いだったとかは関係なし。
どれも今年DVD化された作品です。ネタバレ御免。

《あ》
『明烏 あけがらす』
2015年の日本作品。
福田雄一監督が古典落語を下敷きにして。
ホストのナオキ(菅田将暉)はサラ金から借りた金が積もり積もって一千万。
明朝までに全額用意できなければ東京湾の底に沈められるという晩、賭博で大当たり。
借金を返しても余る金に大喜びし、店のドンペリを次々に空ける。
ところが目が覚めると金がない。ホスト仲間(城田優&若葉竜也)もそんな金は知らないと言う。
どうやら夢を見ていたらしいと悟ったナオキは大慌て。
そこへ、店での飲食代を踏み倒した明子(吉岡里帆)が捕まえられて放り込まれる。
明子の見張りを言いつけられたナオキだが、自分の借金のことでいっぱいいっぱい。
やがて借金取り(新井浩文)もやってきて……。
福田監督作品の常連、ムロツヨシ佐藤二朗が店長役とナオキの父親役で出演。
このふたりの演技が私にはまったく笑えませんでした。(^^;
元ネタの落語は故・八代目桂文楽の十八番。これは聴いてみたかった。

《い》
『インド・オブ・ザ・デッド』(原題:Go Goa Gone)
2013年のインド作品。
ゾンビと聞いては観逃すわけにいかず、なのに劇場では観そびれました。
ボリウッドといえば長い作品が当たり前のなか、これは2時間を切る107分。
バカばかりやっている青年ハルディクとラヴは、
唯一真面目に会社勤めをするバニーがリゾート地ゴアへ出張と聞き、色めき立つ。
バニーに航空券の払い戻しをさせて浮いた金でちゃっかり同行。
車の運転までさせられて、なぜ俺がこんな目に……と涙目のバニー。
ラヴがホテルのプールサイドで出会った美女ルナから誘われて、
その夜、離島で開かれたロシアンマフィア主催のパーティに参加。
乱痴気騒ぎを満喫するが、翌朝目覚めると事態は一転していた。
パーティーで出回っていた新型ドラッグを吸引した者は全員ゾンビに。
たまたまドラッグを買えなかったおかげでゾンビ化は免れた3人は、
同じくゾンビ化しなかったルナ、マフィアのボリスおよびその手下と合流。
決死の脱出劇が繰り広げられるのだが……。
キャラ良し、テンポ良し、おバカだけどとても面白い。
原題は「ゴアに行っちゃった」てな意味でしょう。わかりやすい邦題もまぁいいか。

《う》
『ウィークエンドはパリで』(原題:Le Week-End)
2013年のイギリス作品。
結婚30年目を迎えて倦怠感ありありの老夫婦ニックとメグは、新婚旅行の地パリを再訪。
しかし、想い出のホテルはすっかり当時の面影を失っていた。
腹を立てたメグはそのホテルを飛び出し、
必死で後を追いかけてきたニックとともに高級ホテルへ。
最上級スイートルームのみに空室あり、気を揉むニックを説き伏せてチェックイン。
枯れた夫婦を見せられつづけるのはかなり辛いものがありますが、
それでも耐えうるスレスレのところでとどまっていて、
不快感は抱かずに最後まで観ることはできました。
どうにかなるさ的なオチかと思いますが、中途半端な印象です。

《え》
『エアポート2015』(原題:Flight World War II)
2015年のアメリカ作品。劇場未公開。
『大空港』(1970)に始まる“エアポート”シリーズ。
最初の出演者の錚々たる顔ぶれを思うと、今やほぼ無名の面々で、
日本ではとことんDVDスルーというのは寂しい限りですが、
それにしたって45年も続いているって凄くないですか。
ダラスからロンドンへ向けて飛び立ったAI42便は、
突如現れた雷雲を無事に抜けたかと思いきや、地上は炎に包まれていた。
なんと第二次世界大戦中タイムスリップしてしまったらしく……。
乗客の歴史オタクが可笑しくて、意外に楽しめた1本。
無線で助けを求めると、応答したのは連合国軍の若き伍長。
感動的なオチのはずがそこはサラリ、そこにかぶせて流れるエンディング曲が今風で、
これがまったく合っていないものだから、感動するヒマはなく(笑)。

《お》
『想いのこし』
2014年の日本作品。
原作は岡本貴也の『彼女との上手な別れ方』。
口八丁手八丁で女をたらし込むにかけてはピカイチのガジロウ(岡田将生)。
定職に就かずともその腕前があれば生活に困らない。
その日もダフ屋の仕事を引き受けてオバサマ方に高値で売りつけることに成功。
報酬を受け取った帰り道、道路に飛び出して事故に遭う。
彼自身は軽傷で済んだが、彼を避けようとした軽自動車が大破。
乗車していた3人のポールダンサー、ユウコ(広末涼子)とルカ(木南晴夏)とケイ(松井愛莉)、
それに彼女たちのマネージャーを務めるジョニー(鹿賀丈史)が命を落とす。
それぞれこの世に未練があるため成仏できない。
4人の姿は生きている人には見えないはずが、ガジロウだけには見えているとわかり……。
平川雄一朗監督は、『世界の中心で、愛をさけぶ』や『JIN 仁』、
『とんび』、『天皇の料理番』など、人気TVドラマの演出を多く手がける人。
かなりTV的な作品ではありますが、メリハリが効いていて、
笑わせるところは笑わせ、泣かせるところは泣かせる術はさすが。

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