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映画と本と音楽と、猫が好き。駄作にも愛を。

『さよなら歌舞伎町』

2015年02月15日 | 映画(さ行)
『さよなら歌舞伎町』
監督:廣木隆一
出演:染谷将太,前田敦子,イ・ウンウ,ロイ,樋井明日香,我妻三輪子,忍成修吾,
   大森南朋,田口トモロヲ,村上淳,河井青葉,宮崎吐夢,松重豊,南果歩他

私にはまったくムリだった『100回泣くこと』(2014)をはじめとして、
廣木隆一監督はこのところお涙頂戴路線に走りすぎている感が。
もういいですという気になりかけていましたが、
実は私、ラブホを舞台にした映画が大好きなんです。
しかも群像劇と来ればやっぱり観たくて、先週の日曜日にテアトル梅田へ。

徹(染谷将太)は歌舞伎町のラブホテルで店長として働いているが、
同棲中のデビューを目指すミュージシャン・沙耶(前田敦子)には、
お台場の一流ホテルに勤務していると嘘をついたまま。
徹以外の従業員も客も、ラブホにやってくるのはそれなりにワケあり。
そんなラブホを舞台にした一日。

韓国人のヘナ(イ・ウンウ)は、母親とブティックを開くのが夢。
デリヘル嬢をして金を貯め、明日には韓国へ帰る予定。
韓国料理店に勤める恋人のチョンス(ロイ)にはデリヘルのことを隠しているため、
ホステスとはそんなに儲かるものなのかと思い込んでいたチョンスは、
今になって偶然ヘナの本当の仕事を知ってしまう。

ラブホの清掃員、里美(南果歩)は、ある事件の犯人・康夫(松重豊)を匿いつづけ、
ようやく時効を迎えるところまで来た。
今日一日、たった一日を乗り切れば、息を潜めた生活に終止符を打てる。
康夫には絶対にアパートの部屋から出ないように言い聞かせ、里美は出勤する。

主にこの3組について描かれていますが、ほかにも客いろいろ。
フロア貸切のAV撮影の中に、徹が自分の妹(樋井明日香)を見つけたり、
沙耶がどこぞのプロダクションの偉いさん(大森南朋)と来店したり。
恋人が目の前で枕営業しようとしているのに、それを止められない徹。
家出娘(我妻三輪子)をデリヘルに売り飛ばすつもりで声をかけるチンピラ(忍成修吾)。
ダブル不倫中の刑事カップル(宮崎吐夢&河井青葉)。
ヘナにすっかり惚れ込んでしまったデリヘルの客(村上淳)などなど。
デリヘルのオーナー役・田口トモロヲの穏やかさにも癒やされます。

それぞれの挿話はかなり魅力的。
家出娘の話だけは、お涙頂戴路線に走る最近の廣木監督色が出てやや興醒めでしたが、
あとはもともとピンク映画出身である監督の本領発揮といったところ。
徹の妹が話す「素人を起用したロードムービーで、ハメ撮りで有名な監督」とは
カンパニー松尾のことでしょうか。興味津々。

ラブホのフロント裏も興味深く、とても楽しめました。
ラストシーン間際に前田あっちゃんが歌う『月のあかり』はインパクト不足。
歌ってもいいけど、そこに桑名正博兄さんの歌声をかぶせてほしかったような。

廣木監督、できれば今後もこっちの路線でお願いできないでしょうか。
たのんます。

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