夜な夜なシネマ

映画と本と音楽と、猫が好き。駄作にも愛を。

『セレブの種』

2007年02月07日 | 映画(さ行)
『セレブの種』(原題:She Hate Me)
監督:スパイク・リー
出演:アンソニー・マッキー,ケリー・ワシントン,エレン・バーキン他

「種」は精子を指しています。
確かに精子を売らざるを得なくなった男の話ではありますが、
この邦題は映画の意図からは外れまくり。
監督は『マルコムX』(1992)の社会派、スパイク・リー。
邦題を疑いながらレンタルしてみれば、やはり社会派。
でも堅苦しくなく、笑いあり、法廷劇の醍醐味まで味わえて、幸せな満腹感。

ジャックはハーバードでMBAを取得、大手製薬会社に勤めるエリート。
会社は近々エイズの特効薬を発表する予定。
ところが、薬の研究開発を担当する博士が自殺する。

ジャックが博士の遺留品を調べてみたところ、
薬が認可されないと知った社長が大損を回避すべく、
証券取引詐欺を目論んでいたことが判明。

世間を欺きたくないジャックはそれを告発。
すると翌朝、待ち受けていたのは突然の解雇。
さらには会社の悪事を彼個人の罪と公表され、
銀行口座まで凍結される。

当面の生活費さえ失ったジャックのもとへ、昔の恋人ファティマが現れる。
数年前、自分がレズビアンかもしれないと思っていた彼女は
結婚を控えながら自身を確かめるために女性と浮気。
現場を目撃したジャックと破談した過去がある。
その彼女が同棲中の女性を連れてきて言うには、
「私たち、同時に妊娠したいの。精子を売って」。

倫理に反すると断るジャックだったが、
職も金もない状態であることを突っ込まれ、
1回1万ドルの報酬で引き受けることに。
やがて、ファティマを仲介役として
精子を求めるレズビアンが続々とやってくる。

本作にはこうした精子の売買問題以外にもあらゆる社会問題がてんこ盛り。
人種差別問題(ジャックは黒人)、同性愛問題、
家族の問題、内部告発者のたどる道。
邦題から連想する、エリートの種を求める女たちの映画ではありません。

とはいうものの、ひと晩に何人もの相手をして
ヘロヘロになっているジャックの姿は可笑しい。
「もう一滴も残っていない」とこぼす悲壮な顔は笑えます。
客の中にマフィアのボスの娘もいたりして、
話はもっと笑える展開に。

ジャックが飲み続けるのはレッドブル。
精力剤として本当に有効なんですかね。
レッドブルについてはこちらをご覧ください。

「女は排卵日に嘘をつく。
 男は生きているかぎり嘘をつく」。
でも、正直に生きればハッピーエンド。

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