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『囚われ人 パラワン島観光客21人誘拐事件』

2013年09月02日 | 映画(た行)
『囚われ人 パラワン島観光客21人誘拐事件』(原題:Captive)
監督:ブリランテ・メンドーサ
出演:イザベル・ユペール,カティ・ムルヴィル,マルク・ザネッタ,
   ルスティカ・カルピオ,マリア・イサベル・ロペス,ココ・マルティン他

高校時代の友人が十三のギャラリーでおこなわれる写真展に出品していると聞き、
ほならその写真展と第七藝術劇場をハシゴしようかと。

十三といえば、ナナゲイに行くしか用がないものですから、
ナナゲイより向こう側まで歩くことはほとんどありません。

ラブホ街を抜けて淀川沿いの道まで歩くと、
どこにしようか検討中のカップルを複数見かけて楽しい。
ちょうどお昼時、入室してからお食事なのか、
みんな近所のコンビニの袋を提げています。

ギャラリーは13時オープンで、ちょっと早めに着いたため、
すぐ隣の“mt.cafe(マウントカフェ)”でコーヒーを注文。
荻原浩の『オアイウエ漂流記』を読みながらふきだしそうに。

ギャラリーで写真を拝見、さまざまな顔を持つ空と河原の写真に和んで、
来た道とは1本ちがう道を選んでナナゲイへ戻ります。
途中、3桁の番号のみ扉に書かれた建物に「18歳未満の立ち入りをお断りします」とあるのを発見、
また、木戸に丸くあけられた穴があり、「覗いちゃ嫌よ」と書かれたお店も。
いったい何のお店で、何があるの~。

フランス/フィリピン/ドイツ/イギリス作品。
前述の『ディアトロフ・インシデント』と同じく、実在の事件が基となっていますが、
こちらはレニー・ハーリン監督のように暴走しません。(^^;

フィリピン南西部のリゾート地、パラワン島。
2001年5月、この島を訪れたフランス人ソーシャルワーカーのテレーズは、
到着早々、ほかの観光客20名とともに誘拐される。

犯行グループはイスラム原理主義組織“アブ・サヤフ”。
彼らは人質を船に乗せると、それぞれの出身地や職業の聴き取りを始める。
それによって、各国政府に身代金をいくら要求できるかを検討するようだ。

一所に留まることなく、犯行グループに連れられて、あちこちを引き回される人質たち。
その間に政府との交渉がまとまれば解放されてゆく。
しかし、フィリピン政府は人質が犠牲になることを何とも思っていない様子で、
地上から空から、犯行グループへの攻撃を開始する。
ジャングルを転々とする潜伏生活に、人質らは体力も精神力も奪われていくのだが……。

ほんの数日間の話かと思ったら、なんと377日間におよぶ誘拐事件。
娯楽性を求めていいような作品ではなく、ただただ辛いです。

犯行グループにとっては、自分たちの活動の資金となる金を要求できるのであれば、
相手がどこの国の誰でもいいわけで、そこに主義主張はありません。
暴力的ではあるのに、妻以外の女性に触れることを自分たちにも人質たちにも禁じたり、
女性が水浴びをするさいに人前で肌を見せなくて済むようにアドバイスしたり、
寒さに震えていたり履くものがなくて困っていたりすると見繕ってきたり。

一時の潜伏先として病院を選んだときは、平気で銃をぶっ放すのに、職員への依頼は丁重。
小学校では子どもたちが明るく挨拶、教師らにも恐れる様子はありません。
近所の女性たちが料理を持って集まり、犯行グループと人質をもてなすのです。

過酷な生活を強いられている人質たちが、
解放されるさいに犯行グループと握手するシーンといい、実に不可解で、
理解することはできそうにありません。
長時間のニュースを見たような感じで、どう受け止めればいいのか。

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