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映画と本と音楽と、猫が好き。駄作にも愛を。

『俺はまだ本気出してないだけ』

2013年06月24日 | 映画(あ行)
『俺はまだ本気出してないだけ』
監督:福田雄一
出演:堤真一,橋本愛,生瀬勝久,山田孝之,濱田岳,水野美紀,石橋蓮司,
   指原莉乃,賀来賢人,ムロツヨシ,村松利史,池田成志,佐藤二朗他

ダンナの出張中はほぼ毎日、最低1本は映画を観ていたため、
こうして連日更新しないと書ききれない状態ですが、ためたネタもあと数日分になりました。
これはちょうど1週間前、月曜日がレディースデーのワーナー・マイカル・シネマズにて。

心を鷲掴みにされた『HK/変態仮面』の福田雄一監督。
変態仮面の父親役や敵役だった人がちょっとずつ顔を出していて嬉し。
また、“勇者ヨシヒコ”シリーズつながりで山田孝之も。

この監督の作品を観ると、必ず三木聡監督を思い出すのですが、
本作には村松利史が出ていたために、より強く思い出しました。
で、三木監督も言われていることですが、
どうもこの監督たちの作品は小馬鹿にされているようだと、嫌いな人も多いよう。
けれども私はこのなんとも言えない間(ま)が大好きですねぇ。

大黒シズオ(堤真一)、42歳。
高校生の娘である静子(橋本愛)と、父親の志郎(石橋蓮司)の3人暮らし。
突然会社を辞めて自分を「模索中」らしいが、
家でごろごろ、TVゲームに熱中、散歩して鳩に餌をやる日々。

ところがある日、本屋で立ち読みしていたシズオに啓示が舞い降りる。
漫画家になる、自分にはそれしかない。決意するシズオ。
描き上げた原稿を出版社に持ち込むと、
担当編集者の村上(濱田岳)が褒めたり励ましたりはしてくれるものの、毎回ボツ。

ファーストキッチンでバイトを始めるがしょっちゅうミス。
25歳の冷ややかな店長から怒られてばかり。
手持ちの金がなくなると静子から借り、
飲みに行きたくなれば幼なじみの宮田(生瀬勝久)にたかる。
そんなシズオに志郎は激怒するのだが、一向に漫画家デビューは訪れず……。

バイト先でのあだ名は店長(本物の店長はほかにいる)、
少年野球チームでのあだ名は監督(本物の監督はほかにいる)、
どうしようもないシズオを堤真一が好演しています。
ほかの出演者も思う存分に演技を楽しんでいるようで、終始笑ってしまいました。

生瀬勝久演じる宮田は、勤め先でそれなりに出世、
けれどもいい人すぎるからと離婚されました。
ファーストキッチンに新人バイト、山田孝之演じる金髪で無愛想な市野沢が、
なぜかシズオや宮田としばしば飲みに行くようになり、
その居酒屋の店主が蛭子能収という、愉快な設定。

基本的にとてもお気楽に観られる作品ですが、
生涯サラリーマンでいつづけるお父さんたちの大変さを思わずにはいられません。
喧嘩っ早くて仕事がつづかない市野沢が何気なく口にする、
「かっこいいですよ、サラリーマン」という言葉に、
宮田がちょっぴり救われたかのような、でも寂しそうな表情にはジワリ。
また、シズオを父親に持ちながらグレもしない静子のけなげさや、
宮田の幼い息子の子どもならではの心配に泣き笑い。

後味よし。いいんじゃないすか、ダメ男でも。

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