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『ミケランジェロの暗号』

2011年10月17日 | 映画(ま行)
『ミケランジェロの暗号』(原題:Mein bester Feind)
監督:ヴォルフガング・ムルンベルガー
出演:モーリッツ・ブライブトロイ,ゲオルク・フリードリヒ,ウーズラ・シュトラウス,
   マルト・ケラー,ウーヴェ・ボーム,ウド・ザメル,ライナー・ボック他

前述の『ゴーストライター』の1時間後、同じ劇場で。

第二次世界大戦下のウィーンを舞台にしたオーストリアの作品。
原題は“Mein Bester Feind”で、英語タイトルは“My Best Enemy”。
この邦題は客の興味はそそりますが、内容とは合致していません。
謎とか暗号とか言われたら観たくなるものだけど、ちょっとずるいど。

1938年のウィーン。
画廊を営む裕福なユダヤ人、カウフマン家の一人息子ヴィクトルは、
毎日丹念に画廊の手入れをしているが、
ユダヤ人ゆえに嫌がらせを受けることも増えてきた。

そんな折り、兄弟同然に育った使用人の息子ルディが久々に現れる。
ヴィクトルがルディを自宅に連れ帰ると、両親もルディとの再会に大喜び。
昔話に花が咲き、上機嫌のヴィクトルは、一家の秘密をルディに明かす。

その秘密とは、国宝級の逸品であるミケランジェロの素描を持っているということ。
世間にその存在は知られているが、数百年前にローマ法王のもとから消えたまま、
どこにあるのかわからない、もはや幻の作品。それがこの家にあるというのだ。

他言一切無用と両親から言われていたにもかかわらず、
ルディに見てみたいと懇願され、隠し部屋へとこっそり案内するヴィクトル。
その様子を知って、「欲は人を変えてしまう」と悟りきった顔の父親。

父親の予想は的中し、ルディはナチス親衛隊に密告。
ヒトラーからムッソリーニにミケランジェロの素描を進呈すれば、友好の証となる。
密告が事実だと判明したあかつきの昇進を確約され、自ら入隊したルディを従え、
ただちにカウフマン家と向かう親衛隊。

わずかながら良心の呵責があるルディは、
素描と引き換えにカウフマン一家をスイスへ亡命させることを上司に約束させていたが、
見事にその約束は破られて……。

悲惨であるはずの話にユーモアを交えて、テンポよく見せてくれます。
監督は、クエンティン・タランティーノから多大な影響を受けているらしく、
確かに本作にはタランティーノの『イングロリアス・バスターズ』(2009)の色が見え隠れ。
親衛隊の上官は『イングロリアス』の大佐をちょっとおとなしくした感じ。
オチはかなり早いうちから読めてしまい、スリルという点でもいまひとつ。

それでもコンパクトにまとまっているため、退屈はしません。
ラストシーンのウィンクはお茶目で小気味良く、
ざまぁみろ!と喝采を送りたくなるのでした。
そのときのヴィクトルとルディの表情を見れば、原題がしっくり来ます。

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