夜な夜なシネマ

映画と本と音楽と、猫が好き。駄作にも愛を。

『ミッドナイト・イン・パリ』

2012年06月16日 | 映画(ま行)
『ミッドナイト・イン・パリ』(原題:Midnight in Paris)
監督:ウディ・アレン
出演:オーウェン・ウィルソン,レイチェル・マクアダムス,マリオン・コティヤール,
   レア・セドゥ,コリー・ストール,エイドリアン・ブロディ,キャシー・ベイツ他

なんばパークスシネマに行ったのは、
たぶん2年近く前、『シネマ歌舞伎 大江戸りびんぐでっど』(2010)を観て以来。
メンバーズカードの有効期限も切れているだろうと思っていたら、
「ポイントが1本分貯まっていますけれど」と言われ、なんだか得した気分。
そうか、有効期限はないのか。なんて良心的。
駅からかなり遠いイメージがあり、他劇場とハシゴするにはツライため、
敬遠しがちだったのですが、これからはもっと行ってみよう。(^o^)

さて、ウディ・アレンは、相当好き嫌いの分かれる監督でしょうけれど、
私はこの監督の作品には、「人が映画を観る理由」がいっぱい詰まっている気がします。
本作は、オーウェン・ウィルソンのなせる技か、非常にとっつきやすく、
ウディ・アレンが苦手という人にも試しに観てみてほしい感じ。
彼の監督作の中でも、本作はアメリカ最大のヒットとなったというのも納得。
第84回アカデミー賞の脚本賞受賞作品でもあります。

脚本家として成功しているギルは、可愛いイネズと婚約中。
イネズの両親がパリへ行くのにちゃっかり同行して旅を楽しむ予定。
公私ともに充実しているはずが、心はちっとも晴れない。
脚本の仕事はお金になるものの満足感は得られず、
本格的な小説を書き上げて世に認められたいと思っているからだ。

パリで両親と会食中に偶然出会った友人のポール&キャロル夫妻。
このポールがまたいけ好かないヤツで、やたら知識人ぶる。
なのにイネズはポールに心酔しているのがムカツクところ。
一緒に過ごしたくなんてないのに、この夫妻の誘いにイネズはやたらと乗る。
つまらなくてギルは先にひとりでホテルへ帰るつもりが、道に迷ってしまう。

途方に暮れていると午前0時の鐘が鳴る。そこへ現れたレトロな車。
後部座席のドアが開き、招き入れられるままに乗車すると、
連れて行かれた先はなんと1920年代のパリで……。

作家志望のギルの前に登場するのは超大物の芸術家たち。
フィッツジェラルド夫妻にアーネスト・ヘミングウェイ。
陽気にピアノの弾き語りをするのはコール・ポーター。
ヘミングウェイが、ギルの小説を読むように掛け合ってくれたのはガートルード・スタイン。
そして彼女のサロンに集う面々の中にはパブロ・ピカソ。
ほかにもサルバドール・ダリ、マン・レイ、ルイス・ブニュエルなどなど、
文豪、画家、歌手、映画監督と、後世に名を残すビッグネームばかり。
ちなみにこうして書き連ねましたが、ギルのキラキラ輝く瞳を見ていれば、
誰がどういう人物か知らなくても十二分に楽しめます。

イネズに打ち明けるも信じてもらえず、ギルは夜な夜なタイムスリップ
いつしかピカソの愛人アドリアナに恋してしまいます。
この恋が成就しないのは、人は過去に黄金期を見るから。
過去に憧れつつも今を選択するギルに共感するとともに、彼の幸せを願いたくなります。

コール・ポーターのレコードを売る女性を演じたレア・セドゥは、
『ミッション:インポッシブル/ゴースト・プロトコル』の凄腕の女の殺し屋。
映画によってこうも印象が変わるものなのですね。やわらかい。
サルコジ仏大統領夫人が美術館のガイド役で出演しているのにもご注目。
イネズの父親が「ワインはやっぱりカリフォルニアだけど」とぼやくのが耳に残った方は、
『ボトル・ドリーム カリフォルニアワインの奇跡』(2008)もどうぞ。

素敵な余韻に包まれて、しばらくニッコリしてしまう、そんな1本。
「すぐに忘れてしまうような『傑作』ばかり」みたいな台詞がありましたが、
これは忘れたりしません。まちがいなく。(^^)

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