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2020年9月に読んだ本まとめ

2020年10月01日 | 映画(番外編:映画と読み物)
2020年9月の読書メーター
読んだ本の数:10冊
読んだページ数:3432ページ
ナイス数:1070ナイス
https://bookmeter.com/users/762098/summary/monthly

■ホワイトラビット (新潮文庫)
「思い描いていたのは硬派な犯罪小説」って、よう言うわ(笑)。なんすかこの変な感じはと思ったら、『レ・ミゼラブル』だったのですね。そうとわかってからは舞台劇を観ているような気分。どんだけ手の込んだ籠城事件やねんと笑いました。ここで起こる事件は決して軽くはありません。詐欺、誘拐、拉致、殺人。悪人は徹底して悪人だけど、悪事に手を染めてはいても根はお人好しという登場人物には天罰が下らない。良心を胸に、大切にすべきことを大切にして、ちょっぴり真面目に生きてみたらいいことあるかもよ。そう言われているような気がします。
読了日:09月03日 著者:伊坂 幸太郎
https://bookmeter.com/books/15995899

■掟上今日子の備忘録 (講談社文庫)
眠ればすべて忘れてしまうから、1日で片付けられる仕事しか引き受けない探偵。毎日「はじめまして」から始まるとは、映画『50回目のファーストキス』のヒロインのようですが、この探偵には忘却の人だという自覚がある。だから、体のあらゆるところに油性ペンのメモ書きが。可憐な女子がなんということを(笑)。彼女の依頼者となる巻き込まれ型男子の主人公は、彼女を思うあまり、要らんことまでする。その言動が可笑しくて憎めません。『傷物語』の映画版を観なければそのオタクっぽい表紙からずっと敬遠していたであろう西尾維新。面白いです。
読了日:09月07日 著者:西尾 維新
https://bookmeter.com/books/13003325

■TURN 東京駅おもてうら交番・堀北恵平 (角川ホラー文庫)
死神女史が登場して「お嬢ちゃん」だなんて言うものだから、デジャヴすぎてもはやどのシリーズなのかわからなくなってきました(笑)。終了した他シリーズとここまでリンクさせなくてもと思うけど、内藤さんの作品の検死官は死神女史以外ありえないですよねぇ。ウキウキしました。妊娠の事実をなかったことにするビジネス。消えた嬰児の遺体がどう利用されたのかまでは知りたくないから、克明に記されていないのが救い。お嬢ちゃんと言っても藤堂比奈子と堀北恵平は別。どうか恵平は恵平らしく。そのうち恵平も七味缶を握りしめたりしませんよね!?
読了日:09月08日 著者:内藤 了
https://bookmeter.com/books/16227539

■浅田家! (徳間文庫)
本が先か映画が先か知らないけれど、正直なところノベライズにはいい印象を持っていません。どっちも売れたらラッキー♪みたいな商売っ気を感じるから。しかしこれは監督本人によるものだし、予告編を覚えるほど観たら読みたくなるというもの。ノベライズを手に取ったときの常で冷ややかな目で読み始めましたが、意外にも笑ってしまった。妻夫木くん二宮くん演じる兄弟、平田満風吹ジュン演じる両親のやりとりを想像するだけで和む。予告編って上手く作られているものだなぁと感心し、これは絶対泣くパターンだと今からハンカチ用意しています。
読了日:09月12日 著者:中野量太
https://bookmeter.com/books/16347361

■事故調 (角川文庫)
人工海岸を歩いていた子どもがいきなり砂に埋もれてしまうなんて、恐ろしすぎる事故。市の責任が問われないように巧く工作するよう命じられた役所勤めの元警官。興味は引かれましたが、事故調とは離れた部分の話が多くて没頭できず。シリーズものなのかと思うぐらい、周囲の人物の過去にあれこれあったことが匂わされているから、頭の中で整理するのが私には大変でした。それにしても、事故発生後に役所に苦情が殺到するばかりか、被害者を責める人がこんなにも多いとは驚きます。きっと本の中だけの話ではなくて、実際そうなのでしょうね。無念。
読了日:09月17日 著者:伊兼 源太郎
https://bookmeter.com/books/16328660

■星の子 (朝日文庫)
私は凡人ゆえ、芥川賞作家の話は理解できないことが多い。でも今村さんの話はとっつきやすい。ご自身が「あまり難しい言葉を知らないので」とおっしゃっているように、平易な言葉で書かれているから。だからって、中身も平易で薄っぺらいわけではない。いつも読み終わるとしばし呆然。両親が新興宗教に走ったのは、病弱だった自分のせい。どこかおかしいことはわかっていても、両親を否定できない主人公。淡々、冷え冷えとしているのに、すっとぼけた少年のひと言に笑わされたりもして、不思議な読後感です。心に刺さったトゲは抜けた気がします。
読了日:09月18日 著者:今村夏子
https://bookmeter.com/books/14631648

■罪の声 (講談社文庫)
グリコ・森永事件をリアルタイムで知っている世代です。鮮明な記憶はないけれど、公衆電話ボックスに入るたび、怪しいジュース缶などが置かれていても触ってはいけないという意識はありました。時効が成立したこの未解決事件を著者はどんな物語に変えてみせるのか。登場人物が多くて中盤まで私は混乱気味。関係者が多すぎて、誰が誰やら思い出すのが大変。登場人物一覧の紙ください(笑)。把握できてからは怒涛の勢い。犯人を追うだけを目的とすべきではないことに気づいた記者。被害者ともいえる加害者の親族の救済に涙がこぼれそうになりました。
読了日:09月22日 著者:塩田 武士
https://bookmeter.com/books/13716284

■るんびにの子供 (角川ホラー文庫)
怖いですよねぇ、この表紙と帯。「お母さんにも見えるんですね、あの子が」って。ひ~っ。ホラーは苦手なはずが最近は好んで手を出し、怖がりですと言えば「どの口が言う」と言われそう(笑)。いずれの話もすぐに読めてわかりやすくて居心地が悪い。怪異そのものよりも、その現象を呼び込んだ人の心の闇が怖い。それより怖いのは、そんな人たちの心をわかるかもと思う自分。自身に怪異を操る力が備わっていたら、その力を使いたくなるほどムカつく相手に、きっと人生で何人かは出会う。思うだけで実際には使わないと思いたいけど。ぞわぞわします。
読了日:09月23日 著者:宇佐美まこと
https://bookmeter.com/books/16232163

■短歌ください 明日でイエスは2010才篇 (角川文庫)
わ、穂村さんの文庫新刊。笑わせてもらう気満々で手に取りましたが、私はこれまで彼のエッセイばかり読んでいて、短歌そのものが載っている本は初めて読むことに気づく。穂村さんは歌人なのに。泣ける映画が必ずしもいい映画ではなかったりするけれど、怖い映画も必ずいい映画というわけではない。でも怖い歌は必ずいい歌なのだそうです。他の感情よりも人間の深いところに根ざしているからかもしれないという推察になるほど。それにしても選出された歌の作者は皆若い。ジジババおらんし。経験値高い爺婆が恐怖について詠んだらさらに怖い気がする。
読了日:09月27日 著者:穂村 弘
https://bookmeter.com/books/16614951

■ビデオショップ・カリフォルニア (幻冬舎文庫)
日本全国の読者のうち、はたして何人がこのピンポイントすぎる舞台を知っているというのでしょうか。お好み焼き「金的」、ラブホ「シャルル・ペローの白いチャペル」、レストラン「ピエロ」、どれもこれもすべて実在。特に、今はもうない金的の名前が出たときは懐かしさに震えました。あまりにピンポイントだったから私は食いついたけれども、茨木や高槻を知らない人が楽しめるものかどうか。摂津富田になじみのある人と映画好きと巨乳好きならまぁ楽しいかも(笑)。女子はゲンナリしそうな下ネタも多くて、男子になら薦めてもいいか。おバカです。
読了日:09月28日 著者:木下 半太
https://bookmeter.com/books/14881489

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