夜な夜なシネマ

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『幸せへのまわり道』

2020年09月30日 | 映画(さ行)
『幸せへのまわり道』(原題:A Beautiful Day in the Neighborhood)
監督:マリエル・ヘラー
出演:トム・ハンクス,マシュー・リス,クリス・クーパー,スーザン・ケレチ・ワトソン他
 
終業後になんばまで出向き、なんばパークスシネマで2本。
 
本作もブラックリストに入っていた脚本なのだそうです。
 
フレッド・ロジャースという人を私は知りませんでした。
アメリカでは知らない人がいないほどの有名人で英雄。
国民的子ども番組の大人気司会者らしい。
本作を観ると信じがたいぐらい善人で、その役を演じるトム・ハンクスがピッタリ。
 
雑誌『Esquire』の記者ロイド・ボーゲルは、優秀ではあるが辛辣。
そのせいで、彼の取材を喜んで受ける人などいない。
 
そんな彼に編集長のエレンが命じた仕事は、
英雄特集で取り上げるミスター・ロジャースことフレッド・ロジャースへの取材。
写真に添えるキャプションもどきの文章を400語にまとめろと言う。
この俺に提灯記事を書けというのかとロイドは憤るが、
「あなたのイメージを変えるために必要な仕事」だとエレンは言う。
 
仕方なくフレッドに取材を申し込み、ピッツバーグまで会いに行ったロイドは、
善人すぎるほど善人のフレッドの様子を目の当たりにして驚く。
多忙のフレッド相手にインタビューを始めるが、逆にフレッドから質問される始末。
初対面にもかかわらず自分が抱える問題を見透かされているようで落ち着かない。
 
居たたまれずにその場から飛び出したところ、
後日フレッドのほうからロイドが暮らすニューヨークへ会いに来ると連絡が入り……。
 
子ども番組のセットの中のシーンから始まって不思議な感じ。
このセットは、そうだなぁ、『さんまのまんま』みたい(笑)。
街並みが映し出されるシーンもセット中のミニチュアが使われていて、
いったいこれはどういうタイプの映画なのかと興味を惹かれます。
 
ロイドは妻アンドレアと生まれたばかりの息子ギャビンに囲まれ、
穏やかな暮らしを送ってはいるものの、
幼い頃に家族を見捨てて家を出た父親ジェリーのことがどうしても許せない。
自分から連絡を取る気はなくて疎遠になっていたのに、
そのジェリーが突然目の前に現れます。
 
過去のことを詫びるつもりもない様子のジェリーにまた腹を立て、
どうにも気持ちをコントロールできずにいるロイドにフレッドが掛ける言葉。
こんなにも出来た人間が世の中に存在するものだろうかと、
ちょっぴり意地悪な見方をしてしまうほど、フレッドは素晴らしい人。
 
言葉にできることならば人は対処できる。
やっぱり、言わなわからんということですよね(笑)。
 
誰かと疎遠になって、言いたいことがあったのに言わないまま。
そんな相手がいるならば、生きているうちに会って。後悔のないように。
 
ちなみにハシゴの2本目は、本作鑑賞後に別スクリーンへ猛ダッシュ、
『思い、思われ、ふり、ふられ』で話題になっていたやつです。
これは何度観ても凄いけど、爆音上映だとさらにイイ。サイコーでした。

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