『数分間のエールを』
監督:ぽぷりか
声の出演:花江夏樹,伊瀬茉莉也,内田雄馬,和泉風花他
阪神戦のチケットを譲ることになっていた人が体調を崩してダウン。
私自身が代わりに行ってもよかったのですけれど、ほかに希望者が現れる。
急だったのでチケットを郵送する暇なく、当日甲子園まで出向いて手渡し。
その帰り、私はTOHOシネマズ西宮で映画を2本ハシゴ。
毎度のことなのですが、どういう作品なのかまったく知らず。
ヨルシカのMVを手がけた映像制作チーム“Hurray!”による初の劇場アニメーションという触れ込み。
だけど私はヨルシカがなんだかすら知りません。
たいそうな人気の男女2人組バンドなのだそうで。へ~っ。
あまり見たことのない気がする絵です。
本物みたいな絵というわけでもなく、かといって子ども向けアニメの絵っぽくもない。
アニメの手法について説明されたところでわからないし、
好きか嫌いかを聞かれたら、嫌いじゃないけど特に好きでもない、そんな感じ。
男子高校生・朝屋彼方の趣味はMV(ミュージックビデオ)を制作すること。
自分がしたいことを模索していた折に、ふと好きな音楽に映像をつけてSNSに投稿したら、
思いのほかその評判がよくてのめり込んでいる。
今では軽音部の花形である先輩がMVをつくってほしいと頼んでくるほど。
ある雨の夜、街角で聞こえてきた女性の歌声に衝撃を受ける彼方。
この歌のMVをつくりたいと切望するが、その女性に話しかけようとしたところ、
脱兎のごとく逃げられてしまう。
翌朝、登校後に同級生で親友の外崎大輔に昨日の出来事を熱く語っていると、
新任教師として目の前に現れたのがまさしくその女性・織重夕ではないか。
なんとしてでも自分にMVをつくらせてほしいと夕に掛け合うのだが……。
今の時代にモノづくりを志す人に向けて発信するべく企画された作品らしい。
自分がつくったもので誰かの心を動かしたい、笑顔になってもらいたい。
そんな思いから彼方はMV制作に励んでいます。
一方の夕も歌いはじめたときの気持ちは同じ。
けれど話題になることはなく、SNSに動画をのせてもせいぜい数百人が視聴してくれるだけ。
親にも小言をいわれつづけて心が折れかけ、100曲つくって駄目だったらあきらめると決めた。
その100曲目を彼方が聴いたわけです。
しかし、モノづくりに前向きで明るい希望しか抱いていない彼方は、
夕の歌に込められた想いが理解できていません。
理解できていないことにも気づいていないから、夕の想いには沿わないMVができてしまう。
彼方よりトノこと外崎のほうが私は好きでした。
美術の才能を持ち、描いた絵を高く評価されて、絵を描きまくってはいるけれど、
自分が何をどうしたいのかはわからず、だから夕の気持ちがよくわかる。
夕の歌は始まりの歌ではなく終わりの歌だということ。
音楽の好みも本作とは違うし、こちらは人生半ばもとっくに過ぎた身ですから(笑)、刺さることはない。
けれど、いまもがいている若い人が観たら心に刺さるのではないかと思います。