夜な夜なシネマ

映画と本と音楽と、猫が好き。駄作にも愛を。

2024年3月に読んだ本まとめ

2024年04月01日 | 映画(番外編:映画と読み物)
2024年3月の読書メーター
読んだ本の数:13冊
読んだページ数:3328ページ
ナイス数:880ナイス
https://bookmeter.com/users/762098/summary/monthly/2024/3

■52ヘルツのクジラたち (単行本)
【再読ではなく、映画版を観たので書き込み】公開2日目に鑑賞しました。読了から約2年半経っているせいで記憶がおぼろげ。どれくらい原作に忠実かわかりません。映画版の上映時間の半分以上はキナコの話。原作はもうちょっと少年とのシーンも多かったかしらなどと思うのですが、それは単なる印象でしょうか。『パーフェクトワールド 君といる奇跡』のような恋愛もののヒロインを演じるときの杉咲花には違和感がありますが、『市子』や本作のような、凄絶な過去を持つ女性を演じるときの彼女には圧倒されます。52ヘルツのクジラの声、聴きたい。
読了日:03月05日 著者:町田 そのこ
https://bookmeter.com/books/15533416

■テロリストの家 (双葉文庫 な 47-02)
息子にかかる容疑は違えども、映画『望み』(2020)を観たときの気分にさせられました。あちらは「息子は殺人犯なのか」。こちらは「息子はテロリストなのか」。もしもそうなら、いっそ死んでくれたほうがいいという思いもよぎる父親と、どうであっても生きていてほしいと願う母親の姿が似ていて。妹がいるところまで同じだったからデジャヴに思えたほどです。このまま終わるわけはないと身構えてはいたけれど、残り10頁ほどで大どんでん返しを披露する七里センセ、やっぱり凄い。でもこれはいつになく嫌な終わり方。これからどう生きますか。
読了日:03月05日 著者:中山 七里
https://bookmeter.com/books/21730943

■変な家
へ〜、去年いちばん売れた小説なんですね。今まで怖くて手を出せず、しかもこんな話だとは想像もしていませんでした。何かがあるとおぼしき歪な間取り図が並んでいて、どこが変なのかを解説してくれる本だと思い込んでいたのです。全然ちがった(笑)。何しろ『近畿地方のある場所について』を読んだ後だから、いちばん怖かったのは柿が出てくるシーンです。柿を勧められると何かが起こるの!?って。とにかくこれなら、怖くてパスしようと思っていた映画版も耐えられそう。桃弥くんに泣かされかけたけれど、嫌なオチだなぁ。これってホラーですか。
読了日:03月10日 著者:雨穴
https://bookmeter.com/books/21776893

■木になった亜沙 (文春文庫)
芥川賞作家の頭の中はどうなっているのかわからなくて、たいてい私はついて行けずに疑問符だらけで読了します。だけどこの作家だけは怯むことも愕然とすることもなく読める。自分が手渡したものを誰にも食べてもらえない少女。的にされるのに絶対に当たらない少女。ずっと寝そべって暮らしてきた女性。今村さんの表現はいつもやわらか。彼女らを描写するとき、難しい言葉はちっとも使われていなくて、もしかしたら私にでも書けるのではと思うほど。でも絶対に書けない。やはりこの人の頭の中がどうなっているのか不思議。それでいて吸い込まれます。
読了日:03月11日 著者:今村 夏子
https://bookmeter.com/books/20770857

■四月になれば彼女は (文春文庫 か 75-3)
私はたぶん川村元気をやっかんでいます。手がけた作品は常にヒット。小説を書けば映画化確実、人気俳優を起用して大ヒットを飛ばす。『億男』なんて、億万長者のあなたが書いてもねぇと嫌みを言いたくなる(笑)。本作も間違いなく映像化ありきの小説。出てくるアイテムがとにかくお洒落で、住まいはタワマン、リーデルのグラスを傾けてミモレット、猫の名前はウディ・アレンかよ。焼酎飲みながら畳敷きの部屋で読んだらあかん気までしてきます。それでも映画は楽しみ。今まで敬遠していた藤井風なのに、『満ちてゆく』は聴くだけで泣きそうになる。
読了日:03月14日 著者:川村 元気
https://bookmeter.com/books/13885820

■ファミレス行こ。 上 (ビームコミックス)
映画『カラオケ行こ!』がツボにハマり、ついでに本作もポチッと。中学生だった聡実が大学生になっているのを見るだけで、保護者になったような気分で感慨深い。狂児に対してだいたいは「ですます」調でしゃべっているけれど、たまにものすごくくだけた感じになるところは笑ってしまう。「プレゼントがあるねん」とか。そうそう、もう親戚のおっちゃんだなぁ。狂児のキャラも相変わらず。漫画家先生のファンの真相にはふきそうになりました。漫画を読むこと自体、この間まで久しぶりだったのに、こんなにハマってしまうとは。下巻も楽しみです。
読了日:03月15日 著者:和山 やま
https://bookmeter.com/books/21573707

■変な家
【再読ではなく、映画版を観たので書き込み】公開初日だった昨日レイトショーで観ました。シネコンで客ひとりということも年に何度かあるなか、本作は大人気で8割の入り。原作よりもビビらせ要素が多い。調査を開始した雨宮が首を突っ込まぬように警告を受けるシーンなんて、ホラー苦手な私は直視できず。お面が怖いのよ。なのに雨宮と柚希と栗原は片淵家の間取り図を見て想像するだけではなく、現地に乗り込んじゃいます。いやいやいや、無謀やろ(笑)。案の定、洗脳された村人たちから襲いかかられる展開。最後はやっぱり嫌なオチが待ってます。
読了日:03月16日 著者:雨穴
https://bookmeter.com/books/21776893

■事故物件探偵 建築士・天木悟の執心 (角川文庫)
『変な家』を購入したさいにこれも目に留まってなんとなく。軽いけれど、ほどよい怖さのホラーでした。主人公は、中学生のときに修学旅行先の町で住宅地に迷い込み、目の前に現れた家に一目惚れ。その建築士に憧れて大学の建築学科に進みます。憧れの相手の特別講義を聴講する機会に恵まれたというのに、壇上の君にかぶさる幽霊。嬉しくもない「見える」能力のせいで、図らずも建築士の事務所でバイトをすることに。またシリーズものに手を出してしまったわけですが、心理的瑕疵物件の話にもかかわらず、心理的負担はなく読めそうなのがありがたい。
読了日:03月19日 著者:皆藤 黒助
https://bookmeter.com/books/21660960

■四月になれば彼女は (文春文庫 か 75-3)
【再読ではなく、映画版を観たので書き込み】予告編を観たときからキャストにものすごく違和感がありました。佐藤健35歳の元カノが大学時代の後輩で森七菜22歳って。佐藤健の今カノは長澤まさみ36歳。原作を読んだときには気にしないようにしていましたが、映画を観るとやっぱり無理。原作のタワマンもお洒落なつまみもなければ、お色気たっぷりの妹はパチンコ店勤め。竹野内豊が見られるのは嬉しいけれど、この役が必要だったかどうか。ラストシーンはちょっと素敵。個人的にはそことエンドロールの曲だけがよかったという結果になりました。
読了日:03月23日 著者:川村 元気
https://bookmeter.com/books/13885820

■俺と師匠とブルーボーイとストリッパー (角川文庫)
久しぶりの桜木紫乃に、あぁやっぱり私が読みたい作家だと思っていたのに、しばらく進むと桜木紫乃を読んでいるということを忘れてしまいました。まるで高殿円の『グランドシャトー』を読んだときと同じ高揚感に駆られる。博打のためなら女房も売るような人でなしの父親が死に、母親とも離れてキャバレーに勤める章介。わずかな喜怒哀楽を表す場面もなかったような日々が、ドサ回りの芸人3人とひと月共同生活を送るうちに変わります。楽しくて、切なくて、永遠に読み終わりたくない気持ちに。北の国のキャバレーの話も最高だ。人生って、悪くない。
読了日:03月25日 著者:桜木 紫乃
https://bookmeter.com/books/21662385

■藩邸差配役日日控
時代小説に対する苦手意識はなくなったとはいえ、まだまだ自分から積極的に手を伸ばすほどではありません。それを知っている人なのにわざわざ貸してくれるのは、相当良い本ゆえのことでしょう。江戸藩邸の差配役が主人公。「何でも屋」と陰口を叩く者がいるとしても、『勤め』はおしなべて誰かが喜ぶようにできているものだという言い草に思わずにっこりしてしまう。聡い若君とのやりとりも楽しい。明るい話ばかりではなく、物騒な事件もたまに起きたりして、硬軟のバランスがちょうどいい。四季を通して藩邸を見ていたような気持ちになりました。
読了日:03月26日 著者:砂原 浩太朗
https://bookmeter.com/books/20918244

■おばあちゃんは猫でテーブルを拭きながら言った 世界ことわざ紀行
ヤバイヤバイ、今月も10冊読めるかどうかの瀬戸際よと思っていたら「これどう?」と職場の先輩が貸してくれる。おおっ、すぐ読めるとときめきつつ開くと、ことわざのアタマの言葉とカラフルなイラストから成る目次からして楽しすぎる。どの国にもほかにいくらでもことわざがありましょうが、ここで取り上げられていることわざはホンマかいなと言いたくなる楽しげなもの。トップバッターが「表面に振りかけたパクチー」ですからね。どういう意味を想像されますか。冊数を取り繕うにも最適な絵本(笑)だけど、覚えておきたい名句多数。とても素敵。
読了日:03月27日 著者:金井 真紀
https://bookmeter.com/books/20439667

■オーシティ 負け犬探偵 羽田誠の憂鬱 (幻冬舎文庫 き 21-22)
木下半太に品を求めるつもりはないけれど、いつもこんなに下品でしたっけ(笑)。のっけから万力でキ○タマ潰されて、潰される痛みは女の私にはわからず、でも潰されても生きていられるものなんだわと妙に感心。想像したくないシーンの連続なのに、大阪生まれは惹かれるロケーションと、映画ネタも多ければ桂米朝の落語を聴く盲目の少女の登場にずるずると引きずられて最後まで。お宝の耳が何たるかを知らずにはやめられない。インドの天才数学者と聞けば映画『奇蹟がくれた数式』を思い出し、それも絡ませたわけじゃないよね半太、と思うのでした。
読了日:03月30日 著者:木下 半太
https://bookmeter.com/books/20272904

この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« 『アメリカン・フィクション』 | トップ | 『FLY!/フライ!』 »

映画(番外編:映画と読み物)」カテゴリの最新記事