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2023年11月に読んだ本まとめ

2023年12月01日 | 映画(番外編:映画と読み物)
2023年11月の読書メーター
読んだ本の数:8冊
読んだページ数:2062ページ
ナイス数:810ナイス

■みかんとひよどり (角川文庫)
グルメ×ミステリー小説が溢れるなか、どのジャンルの料理を取り込むかはある種のニッチ産業のように思います。そうだ、ジビエ料理は今までにない。料理学校では優等生だったのに、いざシェフを任されると次々と店を潰してしまう主人公・潮田。ジビエを偏愛する女性オーナーの目にとまったものの、やはり閑古鳥。猟に入った山で遭難しかけたときに助けてくれたのが無愛想な猟師・大高。なんとも美味しそうな数々の料理。だけど予想していたよりもずっとミステリー。鹿の出没にうんざりするわが家の周辺ですが、本作を読むと少し見方が変わる。 
読了日:11月02日 著者:近藤 史恵

■銀座「四宝堂」文房具店 (小学館文庫 う 15-2)
なにせ一年半前まではガラケーすら持ったことがなく、弟の闘病をきっかけにようやくスマホを買った私は、いまだに電話よりも手紙を書くほうが気分的に楽です。特に文房具に思い入れがあるわけではないけれど、字は万年筆で書きたいし、ノートも絵葉書も常備アイテム。文房具店が舞台という小説は結構ありますが、本作は文房具店のオーナーが客に出すお菓子や、オーナー行きつけの喫茶店、あるいは客が勤める店の一品が登場する合わせ技が駆使されていて飽きません。特に好きだったのは最終章のメモパッド。わが家のメモパッドも勿論ずっとロディア。
読了日:11月06日 著者:上田 健次

■契り橋 あきない世傳 金と銀 特別巻(上) (ハルキ文庫 た 19-31)
スピンオフも2本立てですか。なんといってもいちばん知りたかったのは、あのとき消息を絶った惣次がどこで何をしていたのか。それが明かされる第1話を読むと、やっぱりこの人は悪人なのか善人なのか判断しかねます(笑)。善人なのに、あまりに出来る女房をもらったせいでひねくれちゃったのかしらん。罪作りな幸。佐助どんのご縁が嬉しく、お竹さんの老眼に失礼ながら笑う。しなびた大根が人の肌に似ているとは知らず、それで縫う練習とは驚いた。ずっと気になっていた賢輔がついに伝えましたね。スピンオフの最後に来る話かと思ったら、ここよ。
読了日:11月08日 著者:髙田 郁

■売春島~「最後の桃源郷」渡鹿野島ルポ~
海沿いの町の売春宿ということから映画『ブロー・ザ・マン・ダウン 女たちの協定』を思い出しつつ読む。しかしこの渡鹿野島は、1軒だけ売春宿があるなんてものではなく、島全体が売春に関わり、それで潤った島。借金の形に連れて来られた女性もいるけれど、進んで金を稼ぎに来た女性もいる。暗くて痛々しいイメージしかなかったのに、一度行ってみたいとすら思わされます。性風俗にまつわるノンフィクションを読むときは、私には好奇心しかないわけですが、その好奇心を十分に満たしてくれる1冊。だけどこんな感想を持っていいのかどうかは疑問。
読了日:11月14日 著者:高木 瑞穂

■しかもフタが無い (ちくま文庫 よ-32-1)
ヨシタケさんが絵本作家としてデビューしたのは2003年。そのデビュー作を筑摩書房が文庫化しちゃいましたというもの。ひとつひとつに脈絡があるのかないのか、なんとなくこちらは戸惑う。添えられた字も今と変わらないように見えつつも、上手下手とは関係なくちょっぴり読みにくかったりして、うん、確かに若かりし頃の作品だろうと思わされます。今よりもほんの少し悪意を感じる一節もある(笑)。だけど若くてもやっぱりヨシタケさんはヨシタケさん。いくつかはその言葉に感じ入り、いくつかはふきだしてしまう。そして切ない。そこが好き。
読了日:11月15日 著者:ヨシタケシンスケ

■刑事さん、さようなら (中公文庫)
『ぼくと、ぼくらの夏』にハマって大人買いしたけれど、積んだままにしているうちに著者が亡くなってしまった。そんな歳でもなかったのに。10年前に刊行された本作を読みはじめたら、そうそう、私はこの丁寧さが好きだったと改めて思う。若干の知的障害があるとおぼしき彼のワイズクラックな話し方には『枯葉色グッドバイ』を思い出したりも。小説家としてなかなか芽の出なかった著者が自宅で亡くなっているところを発見されたと聞くと、悲しい人生を想像してしまうけど、幸せかどうかは人が決めることじゃない。本作のヨシオを見てよりそう思う。
読了日:11月20日 著者:樋口 有介

■動機 (文春文庫)
余談ですが、父の蔵書を整理し始めました。たいした数ではなかろうと思っていたのに、数千冊は下らない。大型チェーンと老舗の古書店へ査定に出したものの、ネットでも読める今、小説は特に売れないそうで。これはそんな中の1冊で、父が21年前に読んだ印が。スマホもなかった頃に書かれたミステリーは、いま読むと時代遅れの感がありつつもなんだか安心できます。しかし今の時代の小説とは異なる暗さがあって妙に悲しくなる。そうか、本作はあの『64(ロクヨン)』と同じD県警の話か。『64』ですら刊行は10年前。感慨深いものがあります。
読了日:11月24日 著者:横山 秀夫

■こちら空港警察 第3話 【単話】こちら空港警察 (野性時代連載)
映画を観に劇場通いする日が続いていたらほとんど本を読めず、冊数稼ぎのためにこのシリーズに着手したのに、第2話まで読んだきりになっていました。読むのが速くない私でも15分あれば1話読了できるだけあって、たいした話じゃありません(笑)。でも第3話まで来ると、成田空港グランドスタッフの咲良がビビる仁志村署長にも興味が湧いてくる。第2話までに仁志村の外見についての描写ってありましたっけ。冴えないオッサンをイメージしていたらイケメンらしい。彼に目をつけられるとどんな人物も完全犯罪不可能と思われます。続きに急行する。
読了日:11月30日 著者:中山 七里

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