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ヴェルソワ便り

スイスはジュネーヴのはずれヴェルソワ発、みんみん一家のつづる手紙。

ちょっと寄り道 ジゴンダス

2009-06-28 23:01:46 | ワイン(M氏より)
今回の南仏旅行は、「子供に世界遺産を見せることが目的だから、ワインの造り手訪問はなし」という”お約束”だったが、ファーブルの家からローヌ地方赤ワインで有名なジゴンダスの村が近いことが判明したので、”ついで”に行くことができた。
大好きなワインにもかかわらず、私はまだ一度もジゴンダスの村を訪問したことがなかったのだ。


ファーブルの家から車で20分くらいで村に着いた。南仏の田舎らしい、こじんまりとした綺麗な村だ。観光客がバスやマイカーでどんどん乗り込んできていたのに少々驚いた。


村の中心にあるレストランでは、天気が良いせいもあってみんなテラスで食事をしていて、気持ちよさそうだったので、我が家も予約なしだけど食べられるか聞いてみたら、なんとか席を確保してくれた。



ここのレストランはソムリエがしっかりしているようで、皿毎にグラスワインをサーブするシステムも選べるようになっている。ワインリストを見ると「神の雫」に載ったChateau de Saint cosmeはリストに載っているが、私のお気に入りのDomaine des Espiersがない。私はジゴンダス村のソムリエがどのジゴンダスの造り手を勧めてくれるかに興味があったので、ワインの選択をソムリエに相談することにした。

店のソムリエが一押ししてくれたのがジゴンダスの大ネゴシアンGabriel Meffre社のDomaine Longue Toque 2003。この会社は確かブドウ栽培家から葡萄を買ってワイン造りをしていると記憶しているが、このドメーヌ名を冠したワインは、自分のところで畑から醸造まですべて手がけている入魂ワインらしい。結構大きな造り手だが、あまり良い評判が聞こえてこなかったので、実際に飲んだことがなかった。
半信半疑ではあったが、ここはソムリエのお勧めに従うことにしよう。


このワイン、香りが控えめで、タンニンが思いのほか上品で奥深さが感じられる、確かに素晴らしいワインだ。2003年は猛暑の年で、ソムリエによれば南ローヌの2003年は長持ちはしないが、出来はとても良いらしい。

私にとって、ジゴンダスの一般的な印象は、黒いフルーツと甘草などのハーブの香りが豊かで、味はタンニンが強く、かつ黒果実のフルーティさが際立っていて、値段の割りにレベルの高いワインを産出するというイメージなのだ。



ちなみにレストランのほうも値段は良心的なうえ、味はかなりの高レベル。

メインの、子羊とワイルドライスのリゾット


デザートの、黒オリーヴのフラン


いくらするのわからないが、できれば数本購入したいと思い、ソムリエにどこで購入できるのか聞くと、造り手に行けば買えるはずだという。

もしかしたら急転直下、造り手訪問が実現するかも、と大きな期待に胸を膨らませてこの造り手の会社に行ってみたが、あいにく閉まっていた。残念...。

かくして、今回の南仏旅行は、当初の予定通り、造り手訪問は実現しないまま、幕を閉じたのであった。(M)
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久々!造り手訪問 Domaine Chandon de Briailles

2009-05-23 00:30:50 | ワイン(M氏より)
パリ在住のO一家がブルゴーニュ旅行をするというので、Beauneの街で合流して一緒にワインの造り手訪問をすることになった。


前日の金曜日が休日の土曜日ということで、どこもお休みだったりしてなかなかアポが取れなかったが、かろうじて一つとることができたのがSavigny-les-Beauneという、ボーヌから程近い村の造り手Domaine Chandon de Briailles。

門から中を覗く次男。

サビニーレボーヌといえば、安いわりに美味しいワインができる村という印象があるが、トロ・ボー、シモン・ビーズなど優れた造り手が多くいる村でもある。その中でも今回のシャンドン・ド・ブリアイユは私にとっては馴染みはないが、その高名ぶりは昔から気になっていた。

この造り手の建物は、村の中心のサビニー・レ・ボーヌ城の並びにある、これまた立派なお屋敷で、火山の溶岩を使って装飾した建物と、広大な庭園が特徴だ。

次男が覗いていた景色はこれ。

玄関を入っていくと子供と犬が出迎えてくれた。

番犬?よく吠えた。

ドイツ人グループと一緒のテースティング。
案内はマダムが担当してくれた。

マダム。

カーブに下りて試飲させていただいたのは以下のワイン。

(1)Savigny-les-Beaune Les Lavieres 2007
色は薄いが、香りと味が若々しく、味はミネラル感があって決して薄くない。サビニーの特徴はあるが、品格のあるワインだ。

(2)Pernand-Vergelesses 1er cru Les Vergelesses 2007
前のサビニーに比べ、力強く、タンニンも充実している。

(3)Corton Bressandes 2007
コルトン山の中腹辺りの石灰岩と粘土質の土壌が混じった畑で、バランスのよいワインができるという。ブレッサンドは通常もっと濃くて果実味があるイメージだが、ここのはワイン自体は意外に強くなく、どちらかというと繊細なワイン。

(4)Corton Clos du Roi 2007
この畑はコルトン山のかなり上の方で、急斜面な上に風も強く、あまり葡萄の実がならないそうだ。1ヘクタール当たり25ヘクトリットルのワインしか取れないというから、通常の半分程度しかワインができない計算だ。そのせいか、ものすごいコンテンツのワイン。ワインの格としては試飲した中で間違いなくこれが一番。おそらくここの看板ワインであろう。




(5)Corton Les Marechaudes 2001
ちょっと熟成したものも飲んでみようということで、開けてくれたのがこれ。
旨い。酒質が厚いというか、バターを口に含んで口の中で溶かした時のような質感がある(フランス人が表現する言葉でいうとgras)。

(6)Corton Les Bressandes 1998
10年経ったワインとしてはちょっと熟成が進んだ、弱い印象。でも、熟成したブルゴーニュのよい特徴が出ていて好感が持てた。



ここでは1995年から有機農法をはじめ、2005年から本格的なビオディナミに移行したそうだ。

ただし、ビオディナミといいつつ、全く亜硫酸(SO2)を使用せずにワインに微炭酸を残す手法を採るのではなく、最小限の亜硫酸を使用して、伝統的なブルゴーニュの造りを守っている。
この選択は個人的には正しいと思う。
やはり微炭酸を残す手法はどうしても香りに単調な印象を残してしまい、その土地の特徴を目隠ししてしまいがちだ。

ビオディナミに移行した2005年前後での特徴の違いをそれほど感じさせてくれるワインの試飲の仕方ではなかったが、やはり2007年のワインから判断するに、ここのやり方は成功しているといえるだろう。
ビオディナミに移行してから、ワインがより充実した味わいになったと言うマダムの言葉は、単なる思い込みではないと思う。

また、サビニー村のワインはもともと色のあまり出ないワインだが、これと合わせてコルトンとペルナンベルジュレスを所有しているあたりが偉大なブルゴーニュの造り手に名を連ねている理由であろう。

残念ながら試飲できなかったが、コルトン・シャルルマーニュもここの売りらしい。ここの白は、柑橘系の香りを損なわないために、発酵時の温度を20度を超えないようにしているらしい(ちなみに、赤ワインは32度までで、いずれにしても平均よりは低い)。


例によって、待ちくたびれたかと思われた子供達は、ボール遊びをしたり、広い庭園でトカゲ探しをしたりして結構楽しんでいた。

整備された広大な庭園

トカゲを探す子供たち


以前であれば、若くてもいいから、試飲した中で最も高いポテンシャルを持つワインを購入するところだが、今回はそんなに偉大な年ではないが古めのワインを購入することにした。
なんといっても、造り手がワインを瓶詰めした後、そのままそこの蔵で熟成させたワイン以上に、保存状態がいいワインなんてあるわけないのだから。


それにしても、何回やっても、造り手訪問は楽しい。(M)
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ひさびさ、ワインネタ

2009-02-08 19:15:59 | ワイン(M氏より)
出張から戻ってしばらく経つが、なかなか疲れが取れない。
以前は全く凝らなかった肩が凝り固まってなかなかほぐれなくなったのはやはり40を過ぎたせいか。

こういうときには美味しいワインを飲むしかない!ということで、一緒に出張に行った仲間たちとワイン会をやることになった。

といっても手持ちのワインはちょっと寂しいので、ジュネーブに隣接するフランスの街フェルネイのワイン屋Vinothequeに面白いワインがあるか探しに行ってみると、ちょうど店主がワイン・コレクターから手に入れた10-15年前のヴィンテージ・ワインを棚卸しているところだった。

見ると、非常に興味深いワインが良心的な値段付けで売られている。私より先に来た客が50本くらいのボルドーワインを買い占めていたが、この客はブルゴーニュワインには関心がなかったようで手が付いておらず、幸い昨年の春に訪問したMugneret-Gibourgのワイン等を手に入れることができた。

Mugneret-GibourgのVosne-Romanee97とEchezeaux98なんてなかなか手に入らないので、この際ブラインドで試してみた。

ワイン1
開けた直後は非常に控えめだったが、しばらくすると香りが立ち上がり、赤い果実のコンポートのような、それでいて熟成した香りがする。口に含むと軽い酸味と柔らかくなったタンニンが心地よい。

ワイン2
1に比べるとちょっと濁った感じで、香りは果実味とともにミネラルが感じられる。飲んでみると最初は軽い感じだが、時間とともに落ち着き、質感が感じられる。

皆の評価は1の方が美味しいというものだった。
これだからワインは面白い。私もだいぶ時間が経ってきて、2のミネラルな香りと質感がより感じられるようになるまで正直どちらが特級のエシェゾーかわからなかった。

結局、1がVosne-Romanee97、2がEchezeaux98。1は熟成がピークに達して最もいい状態で、2は飲むにはまだちょっと早く実力を秘めた状態だったということか。





もう一つは、Pavillon Rouge98年とClos du Marquis95年の有名ボルドー・セカンド対決。

ワイン3
開けた瞬間から甘いバニラ、キャラメルの香り。口に含んでも香りからの期待を裏切らない。十分な果実味もあり、酸味も心地よい。

ワイン4
香りは華やかではないが、熟れた赤や黒果実。口の中でも充実した果実味は見事だ。しかも時間とともに変化する様は飲んでいてとても楽しい。

この2つのワイン造りのスタイルは対照的で、3は新樽を効かせて誰が飲んでも美味しいと感じるようなワインに仕上げているのに対し、4はあくまで葡萄の味で勝負、樽はあくまで葡萄汁の味のアクセントに過ぎない、という造りだ。

いったいどっちがPavillon RougeでどっちがClos du Marquisなのか、目隠しをとるのが待ち遠しく感じられた。

結果は、3がPavillon Rougeで、4がClos du Marquis。





ワインの味の好みは好みとして、私個人としてはClos du Marquisの媚びないスタイルに感銘を受けた。このワインはおそらく新大陸のワインと比較したときにその偉大さが際立つワインだと思う。そして、ここの看板ワインであるChateau Leoville Las Casesへの憧憬がますます強くなった。
近年飲んでいないこのワインをなんとかまた飲んでみたい。そういう思いを残して今回のワイン会の幕が閉じた。(M)
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スイスでも葡萄摘み?

2008-10-12 22:51:28 | ワイン(M氏より)
ジュネーブから車で東に30分くらい走ったオーボンヌというところのワイン農家が葡萄の収穫をするという案内を聞いて、子供と一緒に行ってみた。

朝はものすごい霧で、大丈夫かなと心配したが、午後2時になると霧はほとんど晴れて太陽が顔を出した。

先週購入したカーナビtomtom君の指示に従ってオーボンヌの一つ手前の出口で高速を下りると、その農家まではずっと葡萄畑が広がっていて、ブルゴーニュの「特級(ワイン)通り(Route de Grand Cru)」のような美しい光景が広がっていた。
Tomtom君、ありがとう。(でも私がワイン好きってこと、インプットしていないんだけど、これって偶然?)



スイスの葡萄畑は、急斜面の畑が多くて景観が美しいところが多いが、この辺りもなかなかのものである。



農家に到着すると、まずマダムによる説明があり、その昔、この辺りで初めて手摘みではなく、機械による葡萄収穫に踏み切ったという説明を受けた。その当初、まわりの造り手がものめずらしそうにやってきて、機械が摘んだ後に残った葡萄を見てもったいないじゃないかと言われたが、それは収穫する必要のないまだ成熟していない酸っぱい葡萄で、実際残ったものは皆酸っぱかった、ということだ。

その後、畑に行って、実際に機械による収穫を見せてもらった。

この間に木を挟む形で木を揺さぶり、下に落ちた葡萄を拾う。

機械による葡萄収穫というのは、トラクター型の機械で葡萄の木をゆすってぼろぼろと落ちる葡萄の粒を拾っていくというもの。


その後、畑の葡萄をいくつか自由に取らせていただいて、袋に入れて持ち帰ることができる。また、絞りたての葡萄ジュースもいただくことができる。家からペットボトルを持ってくればそれにジュースを入れてももらえる。最後にワインを試飲させていただいておしまい。

このように、葡萄の収穫から絞るところまで目近に見ることができるのは非常に興味深い催しだと思う。
それに、フランスだと食用の葡萄のchasselaがスイスではワイン用葡萄の代名詞ともいえる地位を占めているのも興味深い。

chasselaの葡萄。フランスではこの形を競うコンクールがあるくらい美しい葡萄。

実際、葡萄は普通においしいし、ジュースもとても美味しい。子供たちも大喜びで、あっという間に飲み干した。



機械による収穫でコストを抑えて、店頭価格で1000円くらいの美味しいワインができるなら、これも一つの選択ではないかと思う。(M)
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ブルゴーニュで葡萄収穫

2008-10-03 22:07:56 | ワイン(M氏より)
いよいよ待ちに待った葡萄収穫の日が来た。

キンシャサにいるときから、この日が来るのが待ち遠しかった。
2005年以来3年ぶり、ヴォルネイ村のロシニョール・オヤジのところだ。

3年前は前日の夜からブルゴーニュに乗り込んで朝から一日中手伝ったが、今回は、当日の朝ジュネーブを出発して午後から半日だけのお手伝い。

心配された天候も、この日はご覧の通り快晴。しかも日差しが強くなくて収穫日和だ。


Volnay 1er cruというロシニョールさんの一番の畑は、残念ながら午前中に収穫が終わってしまっていたので、今回はその下に広がるVolnay villageの畑の葡萄を収穫した。

摘み食いした葡萄の味は、2005年の印象よりちょっと凝縮感と複雑さが足りない気がするが、それでも十分美味い。


聞くと、今年のブルゴーニュはずっと日照時間が少なく湿度が高かったが、収穫3週間前から晴れが続いたため、結果として長熟型の年になりそうということだ。

長男はそれなりの集中力を見せ、一応戦力としてカウントできるくらいに頑張ったが、次男は「楽しみにしている」と言っていたわりには早々に飽きてしまって適当に遊びだす有様。

ああ、情けない。



1時過ぎから6時前までほぼ4時間強葡萄摘みをしてお終い。ちょうど、トラクターの葡萄が一杯になったところで、ロシニョールさんがキリをつけた。


拡大して見てください。


葡萄摘みの後は、お待ちかねのカーブでのテースティング。

2006,2005年のVolnay 1er cruを試飲した後に、オヤジさんが奥の蔵から古いボトルのVolnay 1er cruを出してくれた。

ちょうど飲み頃になってきた感じ。蔵出しならではの保存状態のよさで、開けた瞬間からえもいわれぬ芳醇な香り。口当たりは柔らかくてかつ力強く、いろんな香りと味がぐるぐると口中を駆け巡る感じ。しかも、ほんのわずかな時間にどんどん変化していく繊細さがある。

以前、一度飲んだことがあるし、オヤジさんが傑出した年だというヒントをくれたので、自分もそれとわかった。

「1990年だ!」

こんなとっておきのワインを出してくれるなんて、オヤジさんも日本人がたくさん手伝いに来てくれたことがうれしかったのかな。

最後にリクエストで白のMeursault 2005年を開けてもらった。
ここのムルソーは存在感のある酸を感じることが多いが、2005年は上質のムルソー特有の柔らかい香りと、完熟葡萄の新鮮な味の風格漂うワインに仕上がっていた。
2005年の収穫の時にVolnayの畑にたまに混じっていたChardonnayの「こんな美味しい葡萄は生まれてこのかた食べたことがない」と感じた甘美な葡萄の味を思い出させてくれた。


その晩は、Puligny-Montrachet村のLe Montrachetというホテル・レストランで、真夜中過ぎまで食べて飲んでのお祭り騒ぎ。


ジュネーブではなんとなく落ち着かないというか、ちょっとした違和感を感じていたけれど...。
ブルゴーニュに来てみて、「やった、帰ってきたぞー!」という間投詞がようやく得られた、そんな充実した週末だった。(M)
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コルクで鍋敷きを作る

2008-07-16 09:20:30 | ワイン(M氏より)
ワイン好きの人間にとって、自分が飲んだワインのエチケット(ラベル)とコルクはなんとなく捨てがたいものだ。

遠い以前はワインのエチケットを剥がすシール(当時1枚100円もした。)で一生懸命エチケットのコレクションをしていたが、やがてきりがなくなり、大分前から気に入ったものだけ写真を撮るくらいでお終いにしている。

その点、コルクはエチケットに比べるとボトルから剥がすような面倒がないので、今でもなんとなく捨てずにワイン籠に放り込んでいる。



ワイン籠が一杯になるくらいにコルクがたまったので、休日、久しぶりに鍋敷きを作ることにした。

以前にも作ったことがあり、結構重宝していた(と思う)。
見た目だけでなく、温度を遮断し、厚みもあり軽いので、鍋敷きとしてはとても機能的。
また、コルクには造り手と畑の名前や収穫年が記されてあったりするので、こうしてテーブルに置いておくと、鍋敷きを見ながら、昔飲んだワインの記憶をたどるきっかけになったりする。



しかし、こうやって改めてそれぞれのコルクを見てみると、懐かしく思い出されるものもあれば、いつどういう機会に飲んだのか忘れてしまっているものもある。以前であれば、飲んだワインのことは結構シャープに思い出せたのに・・・。



コルクの有効利用の点からも、ワインのお楽しみを増やす点からも、コルクで鍋敷き作りはお勧め。

是非、一度お試しあれ。(M)
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久しぶりにモンドヴィーノMONDOVINOを観た

2008-07-01 01:04:46 | ワイン(M氏より)
ワインのグローバリゼーションを扱った映画MONDOVINOを久しぶりに観た。
パリにいる当時、映画館で観て結構面白かったので、キンシャサに来る直前にDVDを買っておいたものだ。

ワイン関係者のインタビュー映像の切り貼りで構成されているドキュメンタリー映画。
ハンディカムで撮影したらしく映像は終始揺れているので、映画館で観ていて目が疲れた記憶があるが、うちのテレビで観るとそんなには苦にならない。

DVDパッケージ


観てない人のために(・・・というかほとんどの人はこんなマニアックな映画は観ていないと思うし、関心もないと思うけど、気が向いたら読んで下さい。)、主なポイントを説明すると次のような話。


1.カリフォルニアのモンダヴィという有名なワインメーカーが、世界中のブドウ畑を購入してワインビジネスを成功させている。
ここが、南仏ラングドックの小さな村のMas de Daumas Gassac(ラングドックワインが高く評価されるようになったパイオニア的ワイン)を買収して更に畑を拡大しようとしたが、その土地に合ったワインを造り続けたい造り手と、森林伐採とグローバリゼーションに反対する村長(当時フランス国内で唯一の共産党出身の村長)らが団結してこの買収に”Non”と言った。

モンダヴィ親子は、「我々は世界中でワイン造りに成功しており、南フランスへの進出が失敗したのは、偏屈なフランス人が我々の成功に嫉妬したせいだ、我々が投資すれば地域も潤ったはずなのに全く馬鹿げている、我々はどこに行ってもワイン造りを成功させる自信がある、将来、月でさえワイン造りを成功させてみせる。」なんてことを口にする。

(経済的な利益以外のことを大切にする人々と、自己の野心的な願望にしか関心のない人々との滑稽なまでに噛み合わない議論。)


2.ワインに100点満点で点数を付ける評価方法で一世を風靡したアメリカのワイン評論家ロバート・パーカー。

彼が、あまり評価してこなかったワインがある時一気に90点以上の高得点を取り、「シンデレラ・ワイン」ともてはやされ、値段が2倍3倍につり上がる。

その裏には、ミッシェル・ロランという仏人ワインアドバイザー(世界11カ国に100以上の顧客あり)が、パーカーから高得点が得られるように、その土地の特徴を無視して、色が濃く力強いワインを造るようにアドバイスしているという事実。

しかも、パーカーとロランは、なんと“お友達”!


3.ブルゴーニュの造り手ユベール・モンティーユ氏と息子のエチエンヌ氏の話。

親が作るワインは厳格(rigoureux)で現代の消費性向に合わないと言って、今すぐ飲んで美味しいワインを志向していく息子達。

その息子達の姿を見て、ユベール親父が、「自分のワインは15年後に飲むために造っている、お前たちはCompetent(ワインを売るという意味で有能)だが、pas serieux(ワインを造るという意味で真面目でない)」と苦言を呈す。

(個人的にはこの場面が最も切なかった。)


4.アルゼンチンの貧しい農村で、ロランの教えを請い、いきなりパーカーから91点を得て貧困から脱却した造り手と、そのすぐ近所の造り手で土着の葡萄で美味しいワインを作っているが貧困に喘いでいる農民とを対照的に描いた場面もある。

ここでは、そこまですべてインタビューに答える登場人物だけにコメントさせていたが、さすがに感情移入したのか、監督自らが貧困農民が造る土着ワインを飲んで「すごく美味い」とコメントしている。


視点が一方的で偏っていると批判されそうな映画だが、ワインの世界で起こった現実の一面をうまく捉えていて興味深い。



“ワインのグローバリゼーションは是か非か?”

言い換えると、グローバリゼーションの結果、ワインの味が皆が美味しいと思う最大公約数的な味に世界的に均一化していくのは良いことか?
各国、各地域のそれぞれの文化ともいえるワイン造りを、ビジネスの理論で画一化してしまっていいのか?


この映画が扱っているテーマは、ワイン愛好家にとって興味の尽きない主題である。


この映画が実際にワインを造る人々にどれくらいの影響を与えたかを私は知らない。
でも、フランスでその土地の特徴を出すために伝統的な造り方をしていると強調する造り手が増えているような気がするし、昨今の流行であるビオワインも、健康に害のある物質を極力使用せず、土地の特徴を出すことを志向しているという意味でこの流れに沿うものといえるだろう。


そして、ワインを飲むときにパーカーの点数がどうのこうのという議論をあまり聞かなくなったのは、私が最果ての地キンシャサにいるという理由だけではおそらくないだろう。(M)
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さすが大御所 Domaine Bruno Clair

2008-05-12 22:09:00 | ワイン(M氏より)
Bruno Clairは、ブルゴーニュワインの大御所Joseph Clair-Dauの孫。大きな造り手なのでアポを取り付けることは無理かと思われたが、奥さんのイザベルからOKの回答をもらった。



ドメーヌに着くと、醸造責任者のPhilippe Brun氏が我々を迎えてくれた。ブドウ栽培はBruno Clair氏が担当し、醸造は彼自身が担当している。
彼の案内ですぐに地下の蔵に通され、まず、乳酸発酵が終わったばかりのBonnes MaresやChambertin Clos de Beze等の2007年を樽から試飲させていただく。総じて力強く、タンニンが濃い。これからさらなる樽熟成を経て、タンニンがそぎ落とされて透明感のあるワインになっていくわけだが、瓶詰めする頃にはどんなワインになっているのかなと考えると、楽しみだ。

次に瓶詰めされたばかりの2006年のテースティング。彼によれば、2006年はピノ・ノワールの特徴(透明感と繊細さ)が良く出ているそうだ。

○Morey-Saint-Denis En la rue de Vergy 格付けは村名ワインだが、特級畑のBonnes Maresの斜め上にある畑。力強いタンニンと濃い味。
○Vosne-Romanee Les Champs Perdrix 樹齢65歳。ロマネコンティのすぐ上の村名ワイン。こんなワインがあったのか。素晴らしいフィネス。
○Savigny-les-Beaune 1er cru La Dominode 樹齢105歳。25hl/ha。私のサビニィに対する既成の認識を覆すワイン。硬い。

この3つの畑の説明を聞きながら、さすがに歴史のある造り手は持っている畑が違うと思った。こんな情報はラベルを見ただけではわからない。これからはこの畑の名前は覚えておくことにしよう。


Philippe Brun氏

次はGevrey-Chambertin村の1級畑3つと特級の2006年比較試飲。もう圧倒されてしまった。

○Clos de Fontenay (Ruchotte Chambertinの隣)香りが強い。味もわかりやすい。
○Cazetiers (次のClos St Jacquesの隣)タンニンが丸い。色がきれい。これまでこの畑にもっていた印象とは異なるもの。
○Clos St Jacques エレガント、閉じている感じ。Brun氏はこのClos St Jacques を特級に格付けされるべきワインと言って特に評価した。
○Chambertin Clos de Beze  もう幸せ。とにかく美味しく、味が濃くて複雑。

もうこれで十分ですという感じだったのに、古いヴィンテージから次の2本。

○Gevrey-Chambertin Clos de Fontenay 2000 ものすごくやわらかい。色は透明感があり、味が濃い。
○Gevrey-Chambertin Cazetiers 1992  私がブルゴーニュ地方に住んでいた記念の年だからといって開けてくれたワイン。バラの花びらの香り。繊細で、はかない感じ。急速に味が変化していく。やはり造り手の蔵に瓶詰めしたまま保存・熟成されたワインは素晴らしい。

Brun氏が「自分は、ワインの試飲を白ワインで終えることにしている、口の中がタンニンで真っ赤になって終わるのは特に女性にとっては気持ちのいいものではないでしょう」と憎いことを言って開けてくれたのがCorton-Charlemagne 2001。
自然な感じ。硬くなく、ミネラル感もそれほど感じられないが、とろとろ感がある。

当初、これほどのワインを試飲させてくれるとは想定していなかった。もう少し立派なお土産を持ってきた方がよかったかな。
試飲が終わって地下の蔵から上がったところで、Bruno Clair氏がやってきたので記念撮影。

右がBruno Clair氏

ここでは今でも収穫の時には桶ごとに屈強な男2人が入って葡萄を踏み潰しているそうで、多くの報道関係者が取材に来るそうだ。万が一葡萄の中に落ちると炭酸ガスで窒息死してしまうのでとても危険なのだが、できるだけ機械を使いたくないからだそうだ。

男2人が入って葡萄を踏む桶

次は収穫の時期に来て、その模様を是非とも見てみたい。でも、命がけなら葡萄踏みはちょっと遠慮させていただこう。(M)

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ヴォルネイ村のオヤジ Regis Rossignol-Changarnier

2008-05-11 10:24:17 | ワイン(M氏より)
この造り手は2005年の葡萄の収穫を手伝ったところなので、そろそろ2005年が買えるかなと思ってアポを取って行ってみた。
しかし、2005年は今年の秋、葡萄の収穫が終わったら売り始めるので、今は売れないとのこと。・・・そんな殺生な。

3年前にVolnay 1er cruの畑の葡萄を収穫しているとき、「葡萄の状態が1999年よりもいいぞ」とおじさんがうれしそうな顔をしたのを思い出す。この時つまみ食いした葡萄の美味しかったこと!こんな美味しい葡萄は今まで食べたことがないと心底思った。

2005年9月の収穫時の葡萄

その葡萄の味がワインになるとどうなるのか興味津々で、秋までとても我慢できない。そこで、葡萄の収穫を手伝ったことを言い訳にして試飲だけでもさせてもらえるようにお願いしてみると、快く応じてくれた。
喜び勇んで飲んでみると、香りも味もまだ硬く閉じていて、こなれるには時間がかかりそう。これは今後が楽しみだ。

レジスおじさんが熱心に試飲させてくれたのは2004年のワイン。彼にとって2004年はうれしい驚きのようだ。
確かに、Beaune 1er cruはBeauneらしい果実味と開いた香りが心地よい。
Pommardもタンニンが強めでスパイシー。ここのワインは概して長熟型だが、特にPommardは驚異的だ。
Volnay villageはバランスが取れていて非常に美味しい。
Volnay 1er cruに至ってはその果実味とスパイス感が絶妙で、その愛らしさは飲む者を魅了する何かがある。

どんどん開くボトル


そのあと、Volnay village 2003とVolnay 1er cru 2002を立て続けに開けてくれ、最後に、奥の蔵からラベルの付いていないカビ(?)のついたボトルを出してきてくれた。


奥の蔵 白っぽいカビのようなものは、おじさんの説明ではカビではなくてシャンピニョン(キノコ?)だそうだ。触るとふわふわ柔らかくて確かにカビではない。



このワイン、自分は香りの特徴からBeauneだと思ったが、結果はSavigny-les-Beaune 1988。一緒に試飲したワイン商のおじさんは見事に畑と年を当てていた。こういう人たちの存在がフランスワインの偉大さを支えているのだろう。
すごいですね、といわれると、ちょっと前に同じ年を飲んだから、と答えていた。
一般的に、1988年はタンニンが強く、若い時には収斂性があり、時間が経つとタンニンが乾いた感じといわれるが、この1988年のワインはそうした感じがなかった。


それにしても、レジスおじさんには、彼のワイン同様、いつもすっかり魅了されてしまう。自分のワインを振舞って来訪者を喜ばせることが何よりも楽しいとでもいうような、そんな感じを受けてしまうほどだ。

レジスおじさん

次にここの葡萄収穫の手伝いができるのは、どの年になるのかな。(M)
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15年ぶりの訪問 Domaine Mugneret-Gibourg

2008-05-10 11:18:58 | ワイン(M氏より)
1993年にここを訪問して以来、実に15年の歳月が過ぎた。

最初に訪れたときは、88年に亡くなられたジョルジュ・ムニュレ氏の未亡人ジャクリーヌさんが娘2人と一緒に我々を迎えてくれた。マダムの静かで上品な歓迎ぶりは我々の胸を打った。そして、そのワインが畑ごとの特徴をとてもよく捉えていたことが印象的だった。

当時は、アメリカ人のワイン評論家ロバート・パーカーがボルドーに飽き足らずにブルゴーニュワイン等を含む他の地方の本格的な評価をしだしたところで、多くの造り手が彼の評価と嗜好に翻弄され、新樽の使用比率を高めて強くて濃いワインを志向していた時代である。また、ブルゴーニュの有名な造り手は畑の特徴よりも造り手の特徴が強くでているところが多く、畑の名前を言い当てるよりも造り手の名前を言い当てることの方が容易な場合が多い中で、この造り手のスタイルは私の目(鼻と舌?)に新鮮に映った。

こうした当時の印象は、時間とともに色褪せることなく、ワインを取り巻く環境の変化とともに、より一層価値的なスタイルとして自分の中での位置づけが大きくなっていった。

機会があれば是非もう一度訪問したい!そう念願していた造り手をついに再訪する時がきた。今回は、パリ在住の友人S氏一家と我が家との”二家族合同ブルゴーニュ旅行”と相成り、S氏の運転する車でパリからブルゴーニュを目指す。(旅の詳しい模様はS氏のブログで。)


あいにくの曇天だが、高速沿いにも広がる菜の花畑が美しい。

今回は、ジャクリーヌさんの長女マリ・クリスティーヌさんが迎えてくれた。

ボーヌ・ロマネ地区の地図を見ながら説明するマリ・クリスティーヌさん


彼女に主にワインの醸造に関する説明をしてもらいながら、試飲させていただいたのは次のワイン。

○Vosne-Romanée village 2006
 この作り手の家のすぐ東に隣接する畑を含む3箇所の畑の葡萄を混ぜたもの。透明感のある色。心地よい酸。乳酸発酵の特徴。全体として華やかな印象。今飲んでも美味しい。2006年は偉大な年ではないが、ブルゴーニュらしいワインができた年なのだそうだ。

隣接するVosne-Romanée village の畑

○Nuits-Saint-Georges 1er cru Les Chaignots 2006
 色が濃いが透明感あり。スパイシーでタンニンが感じられる。しかしこのタンニンがやわらかい。

○Chambolle-Musigny 1er cru Les Feusselottes 2006 
 抜栓直後は香りが控えめ。しかし、時間とともにぐんぐん香りが開いてくる。口の中でとろけるようなタンニン。フィネスを感じるワイン。

○Echézeaux 2006
 果実味溢れる口当たり。エレガント。マリ・クリスティーヌさんからは5-10年後に飲むべきワインとのコメントあり。

○Ruchotte-Chambertin 2005 
 2005年は非常に良い年でその特徴を掴んでもらいたいといいながら開けてくれたのがこれ。濃くてとろけるようなタンニン。スパイシーだがエレガント。15年前もこのワインが最も美味しいと感じた記憶があるが、その期待どおりの素晴らしいワイン。葡萄の木がウィルスにやられて3分の1しか収穫できず、4-5樽分しかないとのこと。

 最後に、乳酸発酵が終わっていない2007年のNuits-Saint-Georges 1er cru Les Chaignotsを樽からテースティングさせてくれる。通常、乳酸発酵を終えた後でないとワインの味が安定しないため、試飲させることを躊躇するものだが、NSGはタンニンが強く特徴がでているし、いい経験だから、といって飲ませてくれた。




今回の訪問で15年前の感動を追体験させてもらうことができた。
彼女の醸造の話を聞いていて、ここのスタイルである畑ごとの特徴を活かすためのポイントは、(1)発酵の時の温度を人為的に操作しない、(2)他方で土着の酵母が死滅してしまう36度に温度が上昇しないように用心する、(3)ワインにフィルター等をかけない、(4)新樽の比率をワインの格ごとに若干低めに設定する、という点ではないかと感じた。

自分の敬愛するワインの造り手の蔵で、造り手の説明を聞きながら、その造り手の醸したワインを飲む―。
ワインを愛する者にとって、これほど幸せな瞬間はないと思う。(M)
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