井の中の蛙、カイラス山巡礼に挑む!

夢のカイラス巡礼を終え、登山を再開しました。山岳信仰の延長上に四国遍路、カイラス山巡礼があり、原点の登山に戻ります。

宿願の知床夏山縦走・1日目

2012-07-14 20:57:02 | 知床山系・斜里岳・阿寒の山
 私にとって夏山の知床縦走は長年果たせなかった縦走の一つでした。

 高校時代は山岳部に在籍していましたが、私の学校では夏山合宿を大雪山と知床の縦走を交互に行っていました。
 1年生の時の夏山合宿は大雪山の黒岳から入山してトムラウシ山までの縦走の予定でした。
しかし、悪天のため黒岳石室に2泊、旭岳と白雲岳のキャンプ地にそれぞれ1泊して赤岳へ下山するという散々な縦走でした。

 そこで2年生となった私達は夏山合宿の行き先を再度大雪山の縦走として知床縦走をあきらめることにしたのです。

 この時の大雪山縦走は入山口を愛山渓、下山口は天人峡としました。
しかし、この合宿でも後半部分が悪天のためトムラウシ山は山頂に立つことが出来ませんでした。でも、高根ヶ原から見たトムラウシの山容は大きく、大雪山を満喫できた満足のいく合宿だったのです。大雪山の大きさを肌で感じることのできた合宿でした。

 この後も羅臼岳と硫黄山に登ったことがありますが、なぜか羅臼岳から硫黄山の縦走を行うことが出来ずにいました。

 昨年で日高の夏道をほぼ歩き終えました。
今年の夏は時間が出来たので今年こそ知床の縦走を何としても行いたいと考えていました。
いつものメンバーを誘ったのですがそれぞれの都合で参加が出来ず、今回は単独での縦走となりました。

 6月6日(金)の朝に札幌を発ち、午後3時には岩尾別にあるユースに到着。
今夜はこのユースで1泊します。

 夕方ユースの前を散歩していて戻ろうとしたときのことです。
ユースの横にある山の斜面でガサガサと音がします。
鹿が餌の草でも食べているのだともってそちらを見ると、何と熊ではありませんか。
私と熊との距離は約10メートル、熊は一心に草を食べています。
私は熊の方を見ないようにしてユースの玄関へ向かったそっと歩きます。
熊の方も私の存在に気が付かないように草を食べ続けています。
お互いの存在に気づきながら何事もないように別れます。

 玄関に入り、ユースの女性にすぐ横に熊がいたことを告げましたが、「最近よく出るのですよ!」と特段びっくりすることもありません。
 これが、知床で野生動物と接する感覚なのかと改めて考えさせられました。

 6月7日(土)

 朝4時に目を覚まし食堂でカップ麺とおにぎりで朝食とします。
ユースから4キロほど先の登山口となるホテル地の涯へ向かいます。

 ホテルの駐車場で沢山の登山客が体操をしています。
羅臼岳登山を行うツァー客の皆さんのようです。
その合間を縫ってホテルの横へ進みます。
木下小屋の前にある駐車場はすでに満杯なので邪魔にならないように幅を寄せて通路に車を駐車します。
   
   木下小屋です。この小屋には温泉があります。

 4:40分、準備が出来たので私も出発します。
天気はあまりよくありません。
雲の中なのか乳白色で視界もあまりありません。
しかし、空気がしっとりとしているので呼吸は楽です。

 しばらく振りに1泊装備を背負っての登山ですが、ピリカヌプリへ行ったときと比べるとザックが軽いので気持ちも軽くなります。

 寝不足気味の身体ですのでゆっくりゆっくりと言い聞かせて登ります。
程なく団体さんに追いついてしまいました。
   
 ラストを歩いているガイドさんに「先に行きますか?」といわれましたが、もうすぐ休憩すると思いましたので、「いいえ、気にしないでください」といって、後を歩きます。

しばらく後ろについて歩いていると団体さん土地が休憩に入ります。
この隙に追い抜きます。

 狭い登山道で団体を追い抜いたりすれ違うときには神経を使います。
気の利いたガイドなら自分の客を止めて通してくれたりするのですが、それがなければ我慢して休憩するまで後ろを歩かなければなりません。

 560m岩峰手前の標識です。
   
この標識を見ると知床へ来たんだな~ぁと思います。

   
   6:05分、弥佐吉の水場です。
 ここまで快調に歩いています。
ガスの中ですが、結構汗をかいています。
給水に気を付けて十分に弥佐吉の水を飲みます。

   
   6:55分、銀明水です。

   
  ここから羅臼平までは大沢の雪渓を歩きます。

 ガスで先が見えません。
それほどの傾斜でないので持ってきた軽アイゼンは使わずに登ります。

 7:40分、羅臼平に到着です。
   
相変わらずガスの中です。
ここからはザックを置いて空身で山頂を目指します。

 すでに咲いている高山植物の花々が目を楽しませてくれます。
 
 
 
 
 

     
  岩清水です。
岩から細い流れとなって水が落ちています。
この水は美味しかったですね。
この水で力をもらい最後の登りを頑張ります。

 
 

 最後の雪渓です。
   
    この雪渓の上からは岩が折り重なった岩場となります。
   
    山頂がうっすらと見えています。

 途中で見つけたイワヒゲの花です。
   
    私の好きな花です。

 最後の岩を越えると山頂です。
 8:50分、羅臼岳の山頂に着きました。
   
    一昨年のGWに南西ルンゼから登った以来の山頂です。
しかし、残念ながらガスの中です。
眺望はゼロです。
しかし、山頂は風もなく穏やかです。
20分ほど滞在して下山します。
   

 9:25分、羅臼平に戻りました。
さあ、ここから硫黄山に向かって縦走の始まりです。
まずは三峰に向かって樹木の覆い被さった登山道を登ります。
登るとほどなく灌木に付いている水滴で全身ずぶ濡れになります。
靴の中にも水が入りグチャグチャですが、気温は高く風もないのでそのまま歩きます。

 9:55分、ガスの中ですが三峰のキャンプ場に到着です。
    
 三峰のキャンプ場からサシルイに向かう登山道が分かりづらいです。
視界がないので何本かある枝道のうちサシルイに向かっていると思われる細い道を進みます。 

 10:25分、サシルイ手前で休憩します。
一人で歩いているとついつい休憩を取らずに歩いてしまいます。
今日のようにガスの中だと眺望もないので先を急いでしまいます。
こんな時には高山植物の花を写して歩を止めます。

   
    サシルイとオッカバケの中間にある沼です。

   

  11:25分、オッカバケ山頂付近で休憩します。
    
    

 サシルイの降りとオッカバケの降りに大きな雪渓があります。
この雪渓には神経を使いました。
というのは、雪渓を降っていると雪渓の下部にある登山道を見つけるのが難しいのです。
今日は、誰か歩いたトレースがあるのでそのトレースを上手く見つけながらルートを外さないようにします。

 11:50分、二つ沼のキャンプ地に到着です。
 
 二つ沼には先行者のグループが休んでいました。
男性3人、女性1人の4人グループです。

 前泊は三峰だといいます。
丁度、昼食を取っているところでした。

「今日はここでキャンプですか?」と聞きますと、「三峰からだからもう少し先まで歩きます。硫黄山の第3火口でキャンプの予定です」と教えてくれます。

 私の予定は、この二つ沼でのキャンプです。
時計を見るとまだ12時ですが、ここでキャンプすることにしました。
それは、このまま私も硫黄山のキャンプ地まで歩くことはできると思いましたが、そんなに先を急ぐ必要のないこと、明日は天気が回復するかもしれないと思ったためです。

 二つ沼から4人組のグループが立ちます。
しかし、ルートが見つけられないようでウロウロしています。
やっとルーツが見つかったようです。
それは、私の張ったテントの先にある上の方から川のように水が流れている場所がルートのようです。
鈴の音がドンドン小さくなっていきます。

 後は鳥の声が聞こえるだけです。

 私は、濡れた服を脱いで着替えてからテントの中で寝袋に足を入れてウトウトしていました。
ラジオを聞いたりして時間を潰します。
時々テントに陽が射してきます。
するとテントの中の気温が一気に上がります。
その暖かさを背中に受けて冷えた身体を暖めます。

ガスが晴れてきました。明日は晴れるかな?

 5時半過ぎに夕食を終えてテントの中でボーッとしていました。
すると、人の声が聞こえてきます。
最初は空耳かと思っていました。
もうすぐ日暮れをむかえる時間です。
こんな時間に来る人がいるはずがありません。

 しかし、声が大きくなってきます。
それも数人の声が聞こえます。
どうやら、硫黄山方面から二つ沼に降ってきているようです。
直ぐ近くでコースを見失っているようです。

 そこで、「こちらへ向かってきてください!」と声を掛けます。
水の流れているところを降ってきてくださいというとやっとルートが分かったようです。
半信半疑で川に沿って降ってきます。

男性3人、女性1人のグループでした。
朝8時過ぎに硫黄山の登山口から出発して来たようです。
知円別分岐で少し迷ったようなことを言っています。

 でも、日没間際に何とかこのキャンプサイトに到着できたのは良かったです。
日没になれば適当な場所を探してビバークせざるを得ないとこでした。

わたしも一人でこのサイトに1泊するのは熊のこともあり心細かったのでホット一息です。

これで、安心して寝られます。
明日の天気を期待しながら寝袋のジッパーを閉めます。

最新の画像もっと見る

コメントを投稿