マルチ商法の中でも、「投資マルチ」は、最近SNSを介して、若い人の間で広がっているマルチ商法のことです。
2021年8月には、大阪府の22歳の女性が「投資マルチ」の被害にあって、悩んでうつ病になって自ら命を絶ってしまったというショッキングな事件がありました。
友人や知人、SNS上で知り合った人から、「投資の儲け話があるんだけど」と声をかけられます。
つぎに「個別で話したい」誘われ、対面で話す場では、説明役と勧誘役の二者がいて、契約を迫ってくるというやり口の被害に遭います。
そもそも、今までは未成年の人が行った契約は、保護者が同意していないのなら、取り消すことができました。民法で定められていました。
ところが、今年の4月から成人の年齢が20歳から18歳に引き下げられました。
だから、18歳からは成人扱いなので、保護者の同意していない場合でも、契約を取り消すことはできなくなります。
また、今までは20歳にならないとクレジットカードをつくることができなかったのですが、18歳からつくることができるようになります。
また、18歳からスマートフォンの契約ができるようにもなります。
それとともに、消費者トラブルに巻き込まれないよう、とくに高校では「消費者教育」の重要性が増しています。
大人も巻き込まれるインターネット通販のトラブルに遭わないように、高校生が活用できる知識をもつことが問われてきます。
今年度の1年生から実施される高校の学習指導要領でも、文科省が消費者教育を充実させているのがわかります。
消費者教育で重要なのは、リアリティがあることだと思います。
その点で、日常生活の中で起こりうるトラブルを扱った動画を視聴して学習するのは効果的です。
もちろん、学習したからといってトラブルに遭う生徒がゼロになることはないです。
でも、学習した知識が、いざというとき役立つことがあります。
「あっ、そういえば授業で言ってたことがこれかもしれない」と思い出され、ストップやブレーキがかかることがあるのです。
事実、私が教頭をしていた中学校で3年生を対象に消費者教育を、消費者センターの職員に来てもらい行いました。
卒業してから、消費者トラブルに巻き込まれそうになったとき、「クーリングオフ」ができることを思い出したそうです。
成人年齢の引き下げは心配もありますが、自己決定権を尊重するものであり、若い人の社会参加を促すというメリットを損なわないようにしたいものです。