箕面三中もと校長から〜教育関係者のつぶやき〜

2015年度から2018年度に大阪府の箕面三中の校長を務めました。おもに学校教育と子育てに関する情報をのせています。

子どもは権利の主体

2022年05月05日 08時23分00秒 | 教育・子育てあれこれ
今日はこどもの日です。

15歳未満の子どもの人口が1465万人となり、41年連続して減り続けています。
 
新型コロナウイルスの感染が拡大し、出産不安が広がったことも一つの要因として、総務省は発表しています。

1999年以来、22年間ですべての都道府県で子どもの数が前の年から減少しました。



さて、今年の4月に、子どもの権利について総合的に定めた「子ども基本法」案が国会に提出されました。

じつは、日本は1994年に国連の子どもの権利条約に批准しています。

しかし、国内での法律が整備されていないまま30年近くがすぎてきました。



子ども基本法が成立・施行されれば、子ども自身の権利・利益が法で守られるだけでなく、子どもについての政策が進展します。

さらに大人の意識や行動が進化することになります。

法というものは、それほどの影響力をもっています。


日本では伝統的な考えとして、子どもは未熟で、弱いもの。なにもできないし、ものごとをわかっていないというきめつけがあります。

だからおとなが守り、大人の庇護のもとで、ときには大人が子どもの声を代弁し、大人が育てるべき存在である。

子どもの権利条約は、そういった日本の伝統的考えや子どもの社会の中での位置づけにNOと言っています。

【子どもの権利条約の4つの原則】

・生命、生存及び発達に対する権利(命を守られ成長できること)
すべての子どもの命が守られ、もって生まれた能力を十分に伸ばして成長できるよう、医療、教育、生活への支援などを受けることが保障されます。

・子どもの最善の利益(子どもにとって最もよいこと)
子どもに関することが決められ、行われる時は、「その子どもにとって最もよいことは何か」を第一に考えます。

・子どもの意見の尊重(意見を表明し参加できること)
子どもは自分に関係のある事柄について自由に意見を表すことができ、おとなはその意見を子どもの発達に応じて十分に考慮します。

・差別の禁止(差別のないこと)
すべての子どもは、子ども自身や親の人種や国籍、性、意見、障がい、経済状況などどんな理由でも差別されず、条約の定めるすべての権利が保障されます。


子ども基本法には、子どもを権利の主体と位置づけ、
生きる権利
育つ権利
守られる権利
愛される権利
などの規定があります。

さらに、意見表明権や参画する権利が明記され、そしてなによりも、子どもにとっての最善の利益が優先して考慮されることになります。



いま、学校教育のなかでは、まちづくりや公園のデザインにこどもの発想をとりいれる学習を行っている学校があります。

また、18歳成年問題を学習する学校もあります。

このように、まちづくりや環境問題、18歳成人問題など、子どもが自分自身の問題について意見を聞かれ、大人といっしょに行動することは、少子化のなかで次世代がこれからの社会をつくっていくために、とても大切なことです。