箕面三中もと校長から〜教育関係者のつぶやき〜

2015年度から2018年度に大阪府の箕面三中の校長を務めました。おもに学校教育と子育てに関する情報をのせています。

思秋の頃

2020年09月03日 10時11分00秒 | 教育・子育てあれこれ

9月に入っても、紫外線の強さは夏の日差しのようです。

とはいうものの、夕暮れどきには、秋の虫の音(ね)が夜の静けさを深めてくれます。

そんな夜には、なんとなく落ち着いた気持ちになり、ある意味で寂しさを感じます。

これを「思秋」(ししゅう)といいます。そういえば、40年ほど前に「思秋期」という曲がリリースされました。

過去のことを懐かしく思い出し、人生の移ろいに想いを寄せる。秋はそんな季節であるのかもしれない。

B.L.M運動 「息ができない」

2020年09月03日 08時18分00秒 | エッセイ

アメリカの女性アーティストH.E.Rが
「I Can’t Breathe」という曲を出しています。

日本語タイトル名では、「息ができない」となります。

この曲は、2020年5月25日、ミネアポリス市の警官がジョージ・フロイドさんの頭を押さえつけ、死に至らしめた事件をとりあげています。

その後、アメリカで巻き起こった「Black Lives Matter」(BLM) =ブラック・ライブズ・マター運動のさなかにつくられた曲です。

悲しみを溜め、体の中から絞り出す言葉は、メロディが緩やかであるがゆえに、激しい心の叫びとして聞こえます。

歌詞の一部を引用します。

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I Can't Breathe”
                            (H.E.R.)


Starting a war, screaming "Peace" at the same time

All the corruption, injustice, the same crimes

Always a problem if we do or don't fight

And we die, we don't have the same right

〈意訳〉
争いが平和の叫び声と同じ時に幕をあけた。 
どんな腐敗も不正も犯罪も(以前と)同じだろうか。
闘うか。それとも闘わないでおくか。 
これがいつもの、変わることのない、私たちの苦しみと悩みである。
そして、私たちは死んでいく。
私たちは同じ権利をもっていないのだ。

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I can't breathe
You're taking my life from me
I can't 
breathe 
Will anyone fight for me?

〈意訳〉
息ができない。 
あなたは私のいのちを奪おうとしているのだ。
息ができない。
こんな私のために、だれか、闘ってくれないか。

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そして、曲の後半部分では、

Trying times all the time
Destruction of minds, bodies, and human rights
Stripped of bloodlines, whipped and confined
This is the American pride
It's justifying a genocide

〈意訳〉
いつもつねに、心もからだも人の権利も破壊される。
黒人である血筋をはぎ取られ、ムチ打たれ、閉じ込められる。
これがアメリカ合衆国のプライドなのか。
これが民族虐殺・粛清を正当化するアメリカのプライドなのだ。

以下略  ••••••••••••••••••••••••

だいたいこういう意味だと解します。

B.L.M運動が、抗議する人たちにとって、どんな意味を持っているかが、この曲を聴く私たちに伝わってきます。


H.E.Rは、母親がフィリピン人、父親はアメリカン・ブラックです。

ただし、アメリカン・ブラックと言っても(アフリカン・ブラックも同様)、彼女のように血筋が複数にまたがる人が、アメリカ国内ではほとんどなのです。

肌の色が濃くても薄くても、顔だちも異なっていても、ひとくくりにされた「黒人」です。

それは「白人」だって同じであり、多様性があるののに、差別の場面では、ひとくくりのステレオタイプにされ、往々にして激しい暴力を振るわれるのが「黒人」なのです。

こういう事態がいつものように存在し、人々に我慢を強いてきているのがアメリカ社会であると、歌詞で訴えています。

だから、「もう、いいかげんにしろ!」と抗い(あらがい)、多くの人びとが声を上げたのが、今起こっているB.L.M運動なのです。