箕面三中もと校長から〜教育関係者のつぶやき〜

2015年度から2018年度に大阪府の箕面三中の校長を務めました。おもに学校教育と子育てに関する情報をのせています。

放っておくのがいい

2020年09月09日 08時19分00秒 | 教育・子育てあれこれ


約2カ月にわたる全国一斉の臨時休校は、子どもに長期にわたり、子どもを「ステイホーム」させました。この休校は、子どもにどんな影響をもたらしたのかを、いまあらためて考えます。

もちろんあまり目立った影響を受けず、学校生活に復帰した子どももいます。

しかし、その一方でやはり何らかの影響を受けた子どもがいました。

そもそも子どもの成長や変化には著しいものがあります。

通常の場合、たとえば夏休みを40日間だとすると、2学期に久しぶりに登校してきた中学生は見違えるようにたくましくなっていたり、背が伸びていたり、考え方が大人っぽくなっていたりします。

今回の新型コロナウイルス感染防止のための臨時休業の子どもにとっての2カ月間は、大人の場合の半年間ほどに匹敵するのではないかとまで思います。

今回の休業は、子どもの成長や変化のすべてを家庭が引き受け、家庭で終結させることになったのでした。

学校があれば、友だちと一緒に学習ができます。
学級の行事や学校の行事が間に挟まります。
友だちや先生と会話もできます。

そのような体験や時間がその子を育てるのです。

しかし、直接会うという接触ができなくなり、そういう生活が2カ月も延々と続いたのでした。

学校は、児童生徒にとって、対人関係に気をつかったり、ストレスがかかる側面もあります。

でも、同時にその子を受け入れ、承認してくれる場でもありますし、友だちとのかかわりをもてる、かけがえのない場でもあるし、息抜きができる場でもあります。

今回の学校臨時休業で、親子関係が悪化した例もあります。

母親と息子の関係が険悪になったというケースの報告がありました。

学校からの課題(宿題)をまったくしようとしない中学生の息子の様子に母親の不満が高じて、爆発したということです。

毎日、家にいてゴロゴロしている。
まったく、学習をしない。
ゲームばかりやって、それ以外は何もしない。

こんな子のために毎日、なぜ私はご飯をつくっているのか。

わたしは、出社も我慢して家にいるのに。
何を言っても、まったくいうことを聞かない。

このように母親が感じて、親子関係が険悪になりました。

親と子は近い関係であるからこそ、腹が立ったり、怒りもわきます。愛情をかけるぶん、うまくいかないと憎しみにも変わることがあります。

このような場合、母親は放っておくのがいちばんだと、わたしは思います。

子ども自身が困って、親に頼みに来ること以外はしないことです。

子どもが頼みもしないことを先回りして、親がすることはやめておくことです。

中学生にもなると、学習するのは子ども自身の問題です。
子ども自身が引き受けていかなければならない問題です。

子どもにしてみれば、学習しようと思っているところなのに、母親から「しなさい」の声がかかる。

それで、いつもやる気をそがれてしまう。

こういう状態なので、こういう親子関係の場合は、放っておくのがいちばんなのです。

ただ、学校の先生には実情を話して、子どもと面談してもらい、子ども本人が自分の力で少しでもできることを増やしていくようサポートしてもらうように頼んでおきます。

このようにして、2カ月の間に悪化した親子関係を修復していくのです。