箕面三中もと校長から〜教育関係者のつぶやき〜

2015年度から2018年度に大阪府の箕面三中の校長を務めました。おもに学校教育と子育てに関する情報をのせています。

子育ては「予定調和」しないもの

2020年09月26日 07時46分00秒 | 教育・子育てあれこれ
飛行機に乗ると、到着地の天候だけでなく、「予定どおり〇時〇分〇○空港に到着予定です」とCAさんがアナウンスしてくれます。

新幹線や電車に乗ると、「終着の〇〇駅には、〇時〇分に到着します」と車掌さんが車内放送してくれます。

忙しい現代人ですから、予定通りに着くことは、かなり重要です。

時間刻みで仕事をしている人も多いから、なおさらです。

いまの人びとは、「予定通り」「時間通り」「スケジュール通り」であることを、重く考えます。


あるとき、私は学校にイランの人に講師として来てもらい、生徒たちにイランの文化について話してもらう授業を計画しました。

事前の打ち合わせでその女性に直接会い、
「学校には、当日13時にお越しください」と言いました。

その人は、「はい、わかりました」と返事されました。

ところが当日、13時前から待っていたのですが、いっこうにあらわれず、13時半ごろ来られました。

ある人に聞いたら「イランでは時間の感覚がルーズなので、それぐらいの遅れはありますよ」ということでした。

私は、「イランの人は・・・」と国に分け、ひとくくりにして、「その国の人は・・・」とステレオタイプ的に「みんながそうだ」と特徴づけるのは、まちがっていると思います。

人は国ではなく、人は多様でそれぞれだからです。

ただ、わが国の場合、「日本人はみんな・・・」というつもりはないのですが、多くの現代人にだいたい共通しているのは、「時間通り」「計画通り」をかなり重く考える点でしょう。

自分の人生を思うようにコントロールしようという思いが強すぎると思います。


そのため、仕事はもちろん、人生や生き方にも最適の選択をして、失敗せず、ねらいとすることにたどりつく。

そのことに価値を置き、そんな意識の強い人が多いように思います。

悪いことではないとは思います。でも、時間通り、予定通り、計画した通りにものごとは進みません。

人生も同じで、なかなか思い通りには行かないのです。


子育てや教育も同様です。子どもはなかなか大人が思うようには育ってくれません。

思い通りいかなくても、「まあ、しかたないか」と思い、子どもの姿を限定して育てないことです。

限定しすぎると、思い通りにいかないことが多いので、子育てが楽しくなくなってしまいます。

人生や生き方を限定してしまわないのがいいと思います。

人生は、予定調和するよりも、予定調和でないからおもしろい。子育ても同じだと思います。