RuN RiOt -marukoのお菓子な美術室-

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山寺後藤美術館コレクション バルビゾンへの道 (その2)

2013-11-16 21:30:00 | 美術
見てきました

Bunkamura ザ・ミュージアム

会期は2013年10月20日から2013年11月18日。

その1」を昨日書いたので、今日は「その2」
早速作品について書いていきます。

《風景と日々の営み》
風景画は物語の背景として次第に比重を増していき、17世紀のオランダで一つのジャンルとして成立します。
そして産業革命以降、ヨーロッパの都市が発展を遂げると、田園への憧れが強まってきました。
そういった中で描かれた作品が展示されています。
いよいよコローです。

ヤーコプ・ファン・ロイスダール「小川と森の風景」
17世紀オランダを代表する画家です。
木々生い茂る中に流れる川。
その川を渡ろうとする馬。
水草や野草も丁寧に描かれ、美しい景色を作り上げていました。
こういった作品を見ると、田園への憧れも理解できます。

ジョルジュ・ミシェル「夕暮れの風景」
暗い空の下、川辺で火を焚く人々。
川には船が係留されています。
火のまわりだけがポツンと明るく他は闇に包まれています。
明暗表現が劇的な作品。

ポール・ユエ「春の朝」
この作品はサン=クルー公園の夕暮れを描いたものと対の作品だそう。
明るい春の朝を描いた作品。
川で舟遊びをする人。森の小道を歩く家族、休む人々。
川には水鳥もいてのんびり過ごしています。
何より特筆すべきはその空気。
陽射しが朝霧を照らす空気が見事に表現されていました。
色彩も美しく、今回見た中ではかなり好きな作品です。

ジャン=フランソワ・ミレー「庭にて」
水彩、パステル、クレヨンで描かれたもの。
木に寄りかかり休んでいる少女はミレーの長女だそうです。
これはバルビゾンにあったミレー家の裏庭の様子を描いた作品。
同じものがボストン美術館にあり、これはミレー自身によるレプリカとのこと。
左側の奥に描かれている幼い子は次男か五女。
って、子沢山だったんですね。。
そのまわりにはアヒルかがちょうか、、鳥も描かれ、のどかな雰囲気です。

テオドール・ルソー「ノルマンディーの風景」
水浴びする牛が描かれたのどかな風景。
1831年にサロンに初入選しますが、1834年まで落選続き。
"偉大なる落選王"という不名誉な呼び名まで。。
よく聞く"無冠の帝王"とかそんなかんじでしょうか。
ただ、その後は体制が変わり入選するように。
私たちも良く知る画家となりました。

ジャン=バティスト・カミーユ・コロー「サン=ロー近くの丘と牧場」
よく知る湿った空気がたっぷりの作品とは違い、こっくりとした色で描かれた作品。
イタリアで古典絵画を習っていた成果が出されている作品、とのこと。
手間に大きな木があり、その向こうには草地が広がっています。
そこには牛。
のどかでのんびりした作品です。

ナルシス・ヴィルジル・ディアズ・ド・ラ・ペーニャ「フォンテーヌブローの森の小径」
いいよね、フォンテーヌブローの森。
一度は行きたい。
両端から伸びた木が小道にアーチを作っています。
地面には落ち葉があり踏みしめたら土の匂いがしそう。
アーチの向こうは青空。
この道を抜けてみたい。
美しい色彩と光と影が温かい世界を作っています。

ジャン=バティスト・カミーユ・コロー「水車小屋のある水辺」
大きな川、その周りには背の高い木。
一人の男性。
静かで清らかで、コロー、やっぱり好き。

ジャン=バティスト・カミーユ・コロー「サン=ニコラ=レ=ザラスの川辺」
ザ・コローな作品。
今回のチラシにも使われている作品です。
川辺に生える木とそこにいる2人の人。
水面には優しい光が反射しています。
コロー、やっぱり好き。

アントワーヌ・シャントルイユ「黄昏」
暮れ行く日の中、横に一筋の明るい光。
手前の川には水を飲む牛と牛飼い。
風にたなびく木々が繊細で美しく、また最後の光に映えています。

アンリ=ジョセフ・アルピニー「月明かりの湖」
丸く明るい月。
水面にその光は落ち、まわりを明るくしています。
岸の暗さとは対照的。
夜の静かな時間。
作者はコロー作品を熱心に研究していたとか。
うん、素晴らしい!!

アントワーヌ・ヴォロン「糸を紡ぐ女」
赤い服の女性が糸を紡ぐ緊張の瞬間を描いた作品。
黒い背景に赤い服がはえます。
右端の壁はうっすらと花模様。
これがあることですべてが張り詰めてはいない、優しさのある作品になっています。

シャルル=エミール・ジャック「月夜の羊飼い(帰路)」
月明かりの逆光の中、岐路に付く羊と男性。
月の美しさと逆光で浮かび上がるシルエットが印象的。

エメ・ペレ「羊飼いの少女」
夕暮れの黄色から赤への空の色のグラデーションがとても美しい。
その光は犬と羊飼いの娘と羊の群れと草地を照らし、影のある美しい光景を作り上げています。

シャルル=フェルディナン・セラマノ「羊の番をする羊飼い」
羊飼い3連続。
こちらは昼の様子です。
木陰で休む羊飼いと水を我先にと飲む羊たち。
その表情がかわいらしい。
水辺が手前に描いてあるのでこちらに向かってきている感じです。

《静物 ― 見つめる》
ここでは静物画が展示されています。
珍しい花が描かれた静物画は富を誇示する調度品として好まれたそうです。
その一方で、本物と見紛う描写は鑑賞者の目を欺いたり、花や果実のつかの間の美しさにより人生の儚さを暗示する「ヴァニタス」のテーマとも結びついていたようです。

エミリー・スタナード「静物」
魚介やザリガニが描かれた作品。
こういったものを台所画というそうです。
青魚のうろこがきらきらと光っていて本物のよう。
魚を表すギリシャ語がキリストの頭文字と重なる、ということで、宗教的な意味合いも含まれています。

エミリー・スタナード「静物」
こちらは艶やかな果物が目をひきます。
柘榴に葡萄、木苺など色も鮮やか。
そこにとまる蝶やてんとう虫も生き生きとしています。

オーギュスト・デュソース「花、果物、獲物、壺のある静物」
とても大きな静物画。
大きな黄金の花瓶には色とりどりの花が生けられ、テーブルの上には果物や銃。
奥にはギリシャ展でよく見るアンフォラの壺。
これぞ富の象徴、といった感じの盛りだくさんな作品です。

モデスト・カルリエ「花といちごのある静物」
ベルギー出身でパリで活動したモデスト・カルリエ。
元々は炭鉱夫でした。
小さな町でみんなが炭鉱に従事するような地域。
彼の父ももちろん炭鉱夫。
彼もそのまま炭鉱夫になりますが、社長の勧めでモンの美術学校へ。
のちにパリ国立美術学校へ入ります。
そこでみんなの憧れ、ローマ賞を受賞。
すごい出世です。
大きく咲き誇るピンクの花々。
皿に盛られた真っ赤ないちご。
背景のグリーンの布は艶やか。
それぞれの質感が見事としかいえない表現です。
これは家に欲しい。

ジャン・エティエンヌ・メジア「薔薇」
バラのいっぱい入った花かごを描いています。
花かごがあるのは屋外で、その回りにも路地植えのバラが描かれています。
奥には古代風の建物。
バラの花の色も様々で、華やかな作品です。

ジェルマン・テオデュール・リボ「ざくろのある静物」
ざくろにオレンジ、リンゴなどが描かれた静物画。
黒い背景に描かれ浮き上がっているかのように見えます。
ざくろは復活を、オレンジやリンゴは受難を示します。
その奥にはワインがありますが、ワインは血を暗示します。
これだけのキーワードが並べば分かるかと思いますが、キリストのことを示したヴァニタス画です。

とても楽しい展示でした。
最初から最後まで素晴らしい作品だらけ。
私好みも多かった~。
約80点の展示でしたが滞在時間3時間!!
じっくりのんびり何度も見てきました。
これはいつかきちんと山寺後藤美術館に行かねばなりません。



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