MELANCOLICO∠メランコリコ!

ゆめと心理と占いのはなし
Por donde, amor, he de ir?
 Rosalia de Castro

行方不明者

2011-07-23 18:27:14 | 日記
東北の震災の行方不明者がついに5,000人を切った。その分死者の数が増えているので痛ましさはそのままなんだけど、どこかでホッとしている自分がいる。知り合いの警察官が、がれきを除けていたら下に下着姿の白骨化した遺体が見つかって、自分は仲間を呼ぼうと叫んでいるんだけど、遺体はフィルムでくるまれて時間が止まって、すべてを拒絶しているような感じがしたと言っていた。きっと行方不明者は0にはならないのだろうと思う。引き波で持って行かれた人のことを思うと、ダイビングで体験した海底のことを思い出して、祈るに祈れず、思考が停止してしまう。

夕暮れ、外に出るのが苦手になった。あの日、電車が止まり、車も渋滞で止まってしまい、外の空気が冷たくなって、日が落ち始め、ぼくは舗道を、動かなくなった車を尻目に4時間近く歩いた。東北で地震があったことはわかっていたけど帰るまで津波のことは知らなかった。携帯電話はずっと圏外だった。家でパソコンメールを開いたら外国から心配してメールが届いていた。ぼくは「何十人か死者は出ているみたいだけど東京は大丈夫だ」と返事した。それからウェブで検索していくうちにだんだん被害の実態が分かってきて、津波が陸を駆け上がっていく映像を繰り返し見ながら、愕然として明け方まで眠れなかった。

あの日、自分が知らないところで2万を超える人が命を落としていたことを想像すると、いたたまれなくなることがある。今はまだ暑いからいい。でも、またあの日と同じ冷たい風が吹く夕暮れ時を外で過ごすことがあっら、どうなるか自信がない。最近、暗がりというものになぜか不安を感じるようになった。大きな建物に入っていくと、節電で必ず廊下やエレベータホールの片隅に暗がりがある。今までは、仮にそんな薄暗がりがあったとしても何も気にならなかったけど、先日、ジムの廊下で、ビクッとしてそのあと暫く口が聞けなかった。何か、震災の日のこと、あの日の風景、その後の2,3週間の出来事を受容していく経路が、どこかで詰まってしまったような、そんな気がして、気持ちが沈殿している。

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