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政権の椅子取りゲーム

2012-01-28 14:58:16 | 編集手帳



  1月25日付 読売新聞編集手帳


  源義経が平家の軍に夜討ちをかけようとしたが、
  暗くて道が見えない。
  義経が
  「例の大松明(おおたいまつ)はどうだ」
  と問い、
  家来が
  「その手がございました」
  と答える。
  『平家物語』巻九の一場面である。

  義経一行は道沿いの民家に火を放ち、
  火事の明かりを頼りに山を越えていく。
  暗くなったら、
  また次の民家に火をつける…。
  松明がわりに家を燃やされる農民は、
  たまったものではない。

  政権奪取に至る暗い夜道にも、
  「大松明」が要るのかどうか。
  政権交代の前も、後も、
  通過する軍勢に家を燃やされる気分がつきまとって離れない。

  交代前は民主党が自公政権に「解散を!」と迫り、
  交代後は自公両党が民主党政権に同じ文句を突きつけている。
  つまるところ物事は動かず、
  老後の安心も国の財政も炎上に至ったのは見ての通りである。
  通常国会が開幕した。
  同じ火ならば、
  法案を照らすロウソクの炎がいい。
  与野党が額を寄せ、
  より良い案に練る。
  政策を壊し合うのではなく作り合うなかで、
  政権担当能力の優劣は競えるはずである。

  「民意を問う」という美名に名を借りた椅子取りゲームで、
  国を灰にされたくはない。

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