11月6日、NHK週刊ニュース
ロシアの最高首脳として始めて北方領土に足を踏み入れたメドベージェフ大統領。
国後島を訪問し、住民に対しインフラ整備を約束した。
北方領土は択捉島、国後島、色丹島、歯舞群島から成っている。
第2次世界大戦にう日本が降伏した後に、ソビエト軍侵攻で不法占拠された。
終戦時日本人17000人余が暮らしていたが、ソビエトの不法占拠で引き上げざるを得なかった。
だから今は日本の領土でありながら日本人は1人も住んでいないのである。
90年代初めはインフラ整備が遅れていたが、今は生活物資も充実してきている。
青山学院大学 袴田茂樹教授は、90年代北方領土を訪問したときのことを振り返る。
「自分たちは見捨てられた棄民だといっていた。モスクワは我々に無関心。
日本の人道支援が病院・学校・発電所建設等があり、2000年代初めは
日本に返還のほうが生活はよくなる、と。」
しかしロシアは2007年から北方領土に巨額の資金を投じ開発を進めてきた。
国後島などを管制するロシア側の地区行政府の建物は新しく作り変えられ、
ほかにも空港整備、幼稚園の建設など開発が進められている。
袴田教授
「日本の人道支援よりどれだけ立派なものが作れるかというアプローチをして
誰が主人かわかったかといわんばかりの対応だ。」
メドベージェフ大統領は、“北方領土はロシアの領土だ”という強い姿勢を示した。
訪問の背景には、再来年のロシア大統領選をにらみ、
指導力誇示する内政上の狙いがあると見られる。
一方で外交をめぐる日本の政治状況も背景にあるのではないかと袴田教授は指摘している。
「日本政府は普天間問題でも迷走状態に陥っている。さらに尖閣問題。
国際的にも今の日本の政権は国家主権を守るとか、領土を守るとか、
明確な意思、戦略も何もないと、足元を見透かされている感じがする。」
前原大臣は来週横浜で行われるAPECでロシアのラブロフ外相と会談して、
大統領北方領土豊満に遺憾の意を表明するとしている。
管政権として領土交渉にしっかり取り組む方針を伝えたいとしている。
APECにはロシア・メドベージェフ大統領、中国・胡金濤国家主席が来日予定だが
管総理とのトップ会談があるかどうかも含めて、二つの国との関係をどうして行くかが
重要な外交課題となる。