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「俺たち力士が相撲を取らないでどうする」

2011-07-15 12:44:06 | 編集手帳



  7月10日付 読売新聞編集手帳


  <遂に爆発・角界革新の叫び/協会大狼狽>
  の見出しが1932年(昭和7年)1月の本紙に見える。
  待遇改善や当時の相撲協会の改革を求めた力士が、
  集団で協会を脱退した春秋園事件。
  その後相撲人気は長く低迷する。

  八百長問題で今年4月、
  一斉処分が出たことを受けて開かれた緊急力士会は、
  約80年前のこの事件同様、角界分裂の危機すら孕(はら)んでいた。
  「場所をボイコットすべきだ」の過激意見が飛び出す。
  制したのは魁皇関である。

  「俺たち力士が相撲を取らないでどうする」。  
  場の雰囲気は一変、
  全員が納得するしかなかった。
  38歳、最年長関取のひと言が、
  大相撲の信頼回復へ、
  力士の気持ちを一つに束ねたと言える。

  中学時代、相撲に興味はなかった。
  入門半年で逃げ出す。
  反省し、
  「始めたからには絶対に強くなろう」と稽古に励んだ――
  『かがやく先輩からのメッセージ』(国立青少年教育振興機構編)で魁皇関が語っている。

  「万年大関」「引退か」と言われながら、
  客席からの歓声は今も角界一である。
  通算最多の1045勝まであと1勝。
  大記録へ、
  きょう名古屋場所初日の土俵に上がる。

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