2021年1月5日 NHK「おはよう日本」
アメリカのバイデン次期大統領の就任を特別な思いで見守っている人たちがいる。
それはきつ音に悩む人たちである。
会話の際に言葉が出てこなかったり詰まったりするきつ音。
バイデン氏も子どものころから向き合ってきた。
バイデン大統領の誕生に希望を見出している。
バイデン氏のビデオメッセージを送る少年。
「バイデンさんは
僕たちは同じクラスの仲間だと教えてくれました。
僕たちはきつ音なんです。
ぼくと同じような人が副大統領になったなんてすごい。」
2020年8月 民主党全国党大会で紹介され全米に発信された。
メッセージを送ったハリントンさん(13)。
幼い頃からきつ音に悩んできた。
そのハリントンさんがバイデン氏と知り合ったのは2020年2月。
父親に連れられて訪れた集会でバイデン氏から声をかけられたのである。
(バイデン氏)
「私もきつ音のとき
こういうふうに話していた。
練習が必要だったが約束する。
君にはできる。
きつ音に将来を決めさせてはいけない。」
これをきっかけにバイデン氏との交流が始まった。
(バイデン氏)
「何万人もの人々の前に立ち
私に話しかけ励ましてくれることがいかに難しいか。
きつ音でなければわからない
とても勇気がいることだ。」
ハリントンさんがバイデン氏からすすめられたことがある。
詩の朗読である。
バイデン氏が子どものころ重いきつ音に苦しんでいたときに実践した発声の練習法だった。
それ以来ハリントンさんは詩の朗読を続けている。
交流を通じてきつ音と向き合う勇気をもらったというハリントンさん。
将来 同じ悩みを抱える子どもたちを助ける仕事に就きたいと考えている。
(ハリントンさん)
「将来は言語聴覚士になりたいと思っています。
きつ音の子どもたちを助けたいからです。」
バイデン大統領の誕生に社会の変化の兆しを感じる人もいる。
雑誌記者のララットさん(44)。
きつ音が原因で
仕事で出演していたラジオ番組の放送中に突然追い出された経験があり
社会に受け止められていないと感じてきた。
以来 SNSなどできつ音のことを発信してきたララットさん。
バイデン氏の存在は大きなたすけになるという。
(ララットさん)
「彼は我々に誇りを与えてくれました。
きつ音のことをまだ多くの人が知らないのが現状ですが
きつ音を抱えるバイデン次期大統領のおかげで認識が高まりつつあります。」
支援の現場でも変化への期待が高まっている。
きつ音の研究者でセラピーを行なっているテキサス大学のバード博士は
これが正しい理解を広げるきっかけになればと願っている。
(セラピーに参加した学生)
「きつ音についてみんなに分かってもらいたいのは
その人の知性や学習能力とは関係がないことです。」
(テキサス大学オースティン校 バード博士)
「見方を変えて
きつ音は障害とみなされる必要はないと理解することです。
私たちは今
きつ音者が大統領になる世界を目の当たりにしています。
私がバイデン氏で伝えてほしいメッセージは
きつ音があってもいいということです。」
きつ音と向き合う多くの人たち。
アメリカを率いることに安るバイデン氏の姿にいま
新たな希望を見出している。