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観光客急増の弊害 “観光”か “生活”か

2018-11-17 07:00:00 | 報道/ニュース

10月22日 国際報道2018


去年 世界で海外旅行をした人が過去最高の13億人を突破するなか
各地でさまざまな弊害が起きている。
観光客が増え過ぎたことによりさまざまな問題が発生する状態
オーバーツーリズムである。
かつて“アジア一美しい砂浜”と称されたフィリピンのボラカイ島ではホテルなどが乱立。
汚水が原因で大量の藻が発生。
ビーチが閉鎖される異常事態に。
いま日本にもオーバーツーリズムが押し寄せている。
オーバーツーリズムが世界中で問題となっている背景にはいくつかの要因が指摘されている。
まず旅行者数の増加である。
去年 世界で海外旅行に出かけた人の数は過去最高の13億2,600万人。
2000年の6億8,000万人と比べると約2倍に増加。
途上国の経済成長で中間層が増え
より多くの人たちが海外旅行に行けるようになったためだと考えられている。
また国連世界観光機関は
格安航空会社が増えたことで大陸間を移動しやすくなったことの要因の1つだと指摘している。
こうして海外旅行に行く人が有名な観光地に集中することで発生する
オーバーツーリズムが問題になっている。

水の都イタリアのベネチア。
建物よりも高い大型観光船が連日のように入港する。
人口5万余の街に多い時には1日6万人が訪れ大混雑が生じる。
地元住民が怒りの抗議デモを行なう事態に。
(地元住民)
「地元の人は“こんなところもう住めない”と言っています。
 悲しいです。」
オーバーツーリズムは日本を代表する観光地でも問題となっている。
年間5,000万人以上が訪れる京都。
バス待ちの長い列はすっかり日常の風景である。
清水寺近くの大通りではバスが観光客でいっぱいなため
市民が乗れないという事態がたびたび起きている。
春・秋のシーズンは慢性的に交通渋滞も発生し市民生活に支障が出ている。
(地元住民)
「バスがすごいです。
 乗れないことはしょっちゅうあります。」
また観光客の増加で民泊が増え
騒音が問題となっている。
京都市の中心部は隣の住宅とのすき間がほとんどない町屋が今も多く残っている。
こうした地区の民泊で外国人が夜間に騒ぐことが住民から問題視されている。
(地元住民)
「夜12時過ぎてわーわーわーわー言われてごらん。
 ここらへん家がみんなひついてるでしょ。」
こうした混乱をどう解消するのか。
京都市は観光客の分散を進めている。
(京都市 門川大作市長)
「混んでるときに混んでる時間に混んでる場所に行って混んでるというのを
 いかに分散化していくか。
 これが大きなテーマだということで
 頑張っていきたいと思います。」
京都市がまず行ったのが時間の分散。
京都を代表する世界遺産 二条城。
夏の混雑を緩和するため開場時間を通常より45分早い午前8時に設定。
さらに料亭が監修した朝食の提供を行なったところ
早朝からの集客に成功した。
(観光客)
「京都ってやっぱり ざわざわしたイメージがあったんですけど
 きょうはすごく落ち着いた感じで
 気持ちのいい朝ごはんをいただけています。」
もうひとつの対策が場所の分散である。
外国人観光客が比較的少ない市の南部に誘導しようというのである。
誘導する先は伏見稲荷大社のある伏見区。
地元の商店街や旅行業者などがアイデアを出し合い
外国人が興味を持ちそうな場所を考えた。
(商店街理事長)
「観光のお客さんの分散化は
 伏見区としては至上命令を受けているみたいで
 京都駅から南にいかにインバウンド(外国人)の方が入ってくれるか。」
(旅行業者)
「酒どころとしての伏見は
 外国人旅行者の中であまり大きく認知されていない。」
伏見区は京都の中でも有名な酒蔵が立ち並び
酒どころとして知られている。
酒蔵を英語で案内するガイドツアーを企画した。
利き酒も行ない
日本酒に合う楽しみ方も教えてもらう。
混雑した観光地と違う魅力を体験してもらった。
(イスラエルからの観光客)
「酒蔵に行けたことはとても良い経験でした。
 市の中心部とはひと味違った体験でした。」
「すいていて観光客も少なくて良いです。
 また来ます。」
しかし京都市を訪れる外国人の宿泊観光客は2011年以降 急激に増加を続けている。
市民は市の分散化の取り組みに効果を感じていない人もいるようである。
(地元住民)
「目立った効果はあんまりないですけど
 改善はしてほしいけどね
 どうしたら改善できるのか。」
再来年の東京オリンピック・パラリンピックを控え
混雑が予想される日本の観光地。
観光と市民生活の両立を目指すなかでジレンマを抱えている。




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