12月14日 キャッチ!
オーストラリアでは結婚を法的に認めてもらうためには
成人2人以上の立ち合いと
国が認める資格を持つ人に式を執り行ってもらう必要がある。
その資格がある人とは
各宗教の聖職者
州政府の役人
そして「セレブラント」と呼ばれる人たちのいずれかである。
オーストラリアの若い人たちの間では
現在は伝統的な儀式よりも思い出に残るオリジナルな指揮を好む傾向があり
セレブラントによる結婚式が人気である。
シドニー市内で行われたある結婚式。
この式を執り行ったのはセレブラントである。
オーストラリアでは年々セレブラントに依頼して結婚式を挙げる人が増えていて
2017年は12万組近いカップルのうち
過去最高の76,4%にあたる9万組余がセレブラントによって結婚した。
セレブラントの1人 ギャリー・ムーニーさん(56)。
これまでに約1,500組の夫婦を誕生させてきた。
この日もあるカップルの訪問を受けた。
花嫁の入場や指輪交換の仕方など
安心して式に臨めるようカップルとの打ち合わせも念入りに行う。
そして欠かせないのが法律上の説明である。
「誓詞には“合法的に結婚した”との文言を必ず入れます。」
結婚するふたりが立会人の前で宣誓することには
結婚の法律上の意味を理解し
それを受け入れることを証明をする意味があると言われる。
満足できる
ふたりにぴったりの式を届けたい。
ムーニーさんの思いである。
(ギャリー・ムーニーさん)
「セレブラントの仕事は
おふたりがくつろいで笑顔で結婚するお手伝いだと思っています。」
オーストラリアは世界中からの移民や様々な宗教を信じる人たちからなる国だが
異なる宗教のカップルや片方が再婚の場合などは
聖職者による結婚式が執り行えないケースがある。
そこでオーストラリア政府は
そうした人たちのためにセレブラントを法的資格者として政府のホームページなどで紹介している。
ムーニーさんの本業は航空会社の職員だが
木曜日から酒末までの4日間セレブラントの業務を行っている。
報酬は決まったものはないが一般的には約7~8万5千円ほどだと言われている。
ムーニーさんは仕事と言うよりは人々の幸せの仲介を行う名誉職だと考えている。
セレブラントになるためには
まずは関連団体が運営する研修を受講。
次に政府のインターネットのサイトで法律に関するテストを受け
敵性検査に合格すれば登録費を支払って資格を得ることができる。
セレブラントとして10年間のキャリアを持つムーニーさん。
最大の見せ所は式当日である。
笑顔とは裏腹に緊張した様子の新婦にエスコートを申し出てさりげなく話しかける。
「今日の結婚式はすばらしいものになりますよ。
花道を歩いて新郎のもとに着いたら
彼の手をつなぐだけでいいんですよ。」
いよいよ式本番。
父親にエスコ―されて新婦が入場。
緊張する新郎にもムーニーさんは笑顔で励ます。
「大丈夫
心配ない。
うまくいくよ。」
和やかな雰囲気に包まれ式はクライマックスへ。
誓いの言葉と指輪が交わされ
ムーニーさんは二人を晴れて夫婦として宣言した。
最後に婚姻届けへの署名を促し
法的な手続きを見届けると式を無事に終わらせた。
(新郎)
「特別な日になりとても幸せです。
結婚は緊張しますが
ムーニーさんのおかげで楽になりました。」
(新婦)
「彼にお願いしてよかったわ。」
(ギャリー・ムーニーさん)
「10年たって
この日が望み通りの結婚式だった
そう振り返ってもらうことが私の望みです。」
結婚という人生の門出を支えるセレブラント。
カップルに寄り添いながら幸せを届け続けている。