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パキスタン 「アシッド アタック」被害女性の社会的自立を

2020-10-27 07:05:52 | 報道/ニュース

10月5日 NHKBS1「国際報道2020」


新型コロナウィルスの拡大が続くなか外出制限などによるストレスから
家庭内での暴力の増加が世界的に懸念されている。
パキスタンでは女性が夫や恋人から硫酸などをかけられる
アシッド アタックと呼ばれる暴力の被害が増えている。

パキスタン東部の都市ラホール。
新型コロナウィルスの影響アシッド アタックの被害が相次いでいる。
今年6月 新型コロナウィルスの感染拡大で自宅で仕事をしていたところ
夫と口論となり硫酸をかけられた女性。
(被害にあった女性)
「息を吸うことすらできませんでした。
 すべてを忘れてしまいたいです。」
南アジア地域で多く見られるアシッド アタック。
背景には農薬やトイレの清掃などに使われる硫酸や塩酸が手に入りやすいことがある。
販売には政府の許可が必要だが違法に販売している業者も多く
アシッド アタックを助長する要因の一つとなっている。
被害が相次ぐなか支援プロジェクトに取り組んでいるのが市内の美容サロン。
支援を行なっているミスバさん。
きっかけは客としてやって来た少女の存在だった。
(美容サロン代表 ミスバさん)
「彼女がベールをとった時
 目も鼻もありませんでした。
 美容師として何もできないけれど彼女をなんとか助けたいと。」
ミスバさんの支援を受けたヒーラさん(24)。
14歳のときに両親の勧めで結婚。
しかし夫は酒に酔うと暴力を振るうようになり
5年前に些細な口論から顔に硫酸をかけられた。
(ヒーラさん)
「気絶し何が起こったのかわかりませんでした。
 目覚めてから自分の顔を見て叫びました。
 鏡を見るのがつらかったです。」
現実を受け止めることができず1年余引きこもっていたヒーラさん。
ミスバさんと出会い
プロジェクトから費用を出してもらい
やけどの跡が残る首と唇の整形手術を受けた。
しかし問題は傷の治療だけでは解決しない。
その後ヒーラさんは夫と離婚し
1人で息子を養うための経済力を身につける必要があった。
ここで大きな壁はパキスタンで根強く残る風習である。
女性が社会に出ることを良しとしない考えが根強く
女性が職を得て自立するのは非常に難しいとされている。
このためプロジェクトでは大学の奨学金支援など仕事を得るためのサポートを行なっている。
ヒーラさんは3か月の職業訓練を経て美容師の資格を取得しサロンで働き始めた。
美容師の仕事は心のリハビリにもつながっている。
訪れる客との関係が深まり同じ女性としての悩みを話すことが心の支えになっているという。
(ヒーラさん)
「当初は後遺症で手がまったく動きませんでしたが
 今は徐々に動かせるようになりました。
 私を気に入ってくれるお客さんもいて
 順調に進んでいます。」
プロジェクトを通じてこれまでに750人以上の女性たちが社会復帰を果たした。
ヒーラさんはいま
被害を受けて社会とのつながりを絶っていた自らの体験を
同じ境遇の女性たちの前で語る活動を始めている。
(ヒーラさん)
「被害者の女性たちに伝えたいです。
 “決して家に閉じこもらないで”と。
 勇気をもって社会に出れば必ず人生は変わり道は開けます。」

パキスタン政府はアシッド アタックに対する罰則として
懲役14年から
最大で終身刑を科すなどの対策を取っている。
ただ地方では親族の間や家族内で起きることが多いため警察に報告しないケースも多く
その全容は分かっていない。
このため政府はNGOなどとも連携して
社会全体で被害者の女性たちを支える仕組みづくりを急いでいる。

 

 


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