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パキスタンの小児科医 ポリオ根絶への思い

2020-09-22 07:00:29 | 報道/ニュース

9月1日 NHKBS1「国際報道2020」


パキスタンの小児科医
ナディア・アタさん(32)。
ナディアさんはポリオを根絶するためにワクチンの接種活動にあたっている。
ポリオは幼い子どもがかかることが多い感染症で
発症すると手や足に麻痺が残ったり死に至るケースもある。
確実な治療法というのはないが
ワクチンの接種で予防できるとされている。
8月25日にはWHO(世界保健機関)が
“ポリオがアフリカから根絶された”と宣言した。
これで世界でポリオの感染が続くのは
アフガニスタンとパキスタンの2か国だけとなっている。
そのパキスタンで新型コロナウィルスの感染拡大の影響で医療現場がひっ迫するなか
ナディアさんは子どもたちをポリオから守ろうと懸命に活動を続けている。

パキスタン東部の都市 ラホール。
町の公立病院で小児科医をしているナディアさん。
ナディアさん自身も生まれて9か月の時にポリオウィルスに感染。
発症後 左足に麻痺が残った。
治療を受ける日々の中でいつしか
「自分のように苦しむ子どもたちをなくしたい」と考えるようになったという。
(小児科医 ナディア・アタさん)
「足が麻痺し幼い頃は何度もお医者さんに診てもらいました。
 パキスタンからポリオを根絶しようと決意しました。」
リハビリを続け
その後医師となったナディアさん。
10年以上にわたりポリオワクチンの接種活動を続けている。
ところが新型コロナウィルスの影響で外出制限が行われた3月以降
PCR検査などの業務が優先され
ポリオワクチンの接種活動は余儀なくされた。
(小児科医 ナディア・アタさん)
「新型コロナウィルスの感染者が急増し
 住民の命を守ることが最優先でした。
 ポリオワクチンの接種活動は中断するしかありませんでした。」
ワクチン接種が滞る中
ポリオの発症が続いている。
特に深刻なのはパキスタン北西部のペシャワール郊外である。
1歳6か月になる女の子は7月にポリオウィルスに感染したことが判明。
右足に麻痺の症状が現れた。
(娘がポリオに感染)
「外出制限が行われて以降ワクチンの接種活動は止まりました。
 娘が足を動かせず痛みを抱える姿を見るととても悲しくなります。」
予防接種を求める声が日増しに高まるなか
ナディアさんは自らの判断で活動の再開に向けた準備を進めた。
州や各地区の保健担当者から聞き取りを行い
ワクチンを希望する子どもの家庭を特定。
速やかに摂取できる体制を整えていった。
「他の地域からスタッフは送れますか?」
ワクチンを投与を行なう“ポリオマーカー”と呼ばれる女性たちに対しては
新型コロナウィルスの感染防止対策の指導も行った。
「マスクはこのように指で押さえ
 頭を布で覆ってください。」
活動再開の準備が進むなか
ナディアさんに政府からうれしい知らせが届いた。
新型コロナウィルスの感染が抑えられた地域に限定し
小規模ながら予防接種の活動再開が認められたのである。
迎えた活動再開当日。
ナディアさんがポリオワーカーの女性たちの先頭に立って1軒ずつ家庭を回る。
イスラム過激派などに襲撃される恐れがあるため警察官も同行する。
1時間に10軒ほどの家庭を訪問しワクチンを投与することができた。
(ワクチンの投与が行われた家庭)
「活動が再開し良かったです。
 子どもた接種できてホッとしました。」
「子どもがポリオに感染しないか心配でした。
 ワクチンは必要不可欠です。」
約5か月ぶりに活動の再開にこぎつけたナディアさん。
ポリオの根絶に向けて今後
他の州のNGOなどとも連携し
より多くの子どもたちにワクチンを接種していきたいという。
(小児科医 ナディア・アタさん)
「ポリオは子どもからすべてを奪うウィルスです。
 子どもたちの未来を守るためにも
 ポリオの根絶に向けて努力を続けていきます。」




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