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キャッシュレスの衝撃 ②先進地スウェーデン

2018-03-12 07:00:00 | 経済フロントライン

2月3日 経済フロントライン


スウェーデン ストックホルム。
「現金は持っていません。
 現金はなし。
 カードだけです。」
「カードやスマホ決済ができない店はあまりないので
 支払いに困ることはないです。」
2016年 GDPに対する現金流通量 1,4%。
流通する現金の割合は先進国の中で最も少ないスウェーデン。
街中では“現金お断り”を掲げる店があちこちで見られるようになった。
(パン屋の店員)
「支払いはスウィッシュとカードだけ。
 現金は使えません。
 安全のためです。
 強盗が入っても大丈夫ですし
 現金は数えるのが手間なんで。」
スウィッシュ(SWISH)とは銀行が開発した現金を使わない決済システムである。
スマホに電話番号など支払先の情報や金額を入力すると送金ができる。
スウィッシュは個人間のお金のやり取りにも使われている。
買ってきてもらったランチの支払いもスウィッシュで送金。
相手の口座に直ちに入金された。
(エドヴァルド・フリートウッドさん)
「この支払ボタンを押して暗証番号を入れれば1秒以内で彼女の口座に入金されます。
 とても便利です。」
スウィッシュは6年前に複数の銀行が共同で開発しサービスを始めた。
その理由は現金を扱うコストを削減するためだった。
(スウェーデンの銀行 SEB キャサリン・ウーベルさん)
「現金の取引には厳重な警備が必要だしリスクにもなります。
 輸送にもお金がかかるので
 現金を取り扱うとコストがかさみます。」
この銀行では国内120店舗のうち3分の2で入金や引き出しなど現金の扱いをやめた。
現在の主な業務は貯蓄や資産運用の相談である。
銀行が現金を扱わないことには高齢者を中心に不満の声もあるが
銀行側はさらにキャッシュレス化を進めていきたいとしている。
(スウェーデンの銀行 SEB キャサリン・ウーベルさん)
「高齢の方々にも定期的に最新のサービスの説明をしています。
 スウィッシュはどこの銀行でも誰に対しても使うことができます。
 これは誰にとってもメリットがあると思います。」
キャッシュレス化の広がりはスウェーデンの産業に大きな広がりをもたらしている。
スウェーデンはかつて自動車などの製造業が盛んだった。
しかしリーマンショックのあおりを受け衰退。
そんな中で始まったキャッシュレスの動き。
新たなイノベーションを生み出そうという機運が国全体で高まっている。
その1つがベンチャー企業が開発した長さ1cmほどのチップ。
親指と人差し指の間に埋め込む。
手をかざすだけで認証され
スマホがなくても支払いができる仕組みである。
すでに鉄道の運賃の支払いなどで3千人以上が利用している。
(バイオハックス CEO ヨワン・オスタールンドさん)
「キャッシュレス化が進むいいタイミングだったから
 私たちもこの大きな時流に乗ることができたのだと思います。」
合理化に成功した銀行では新サービスの開発に人材や資金を振り向けている。
バーチャルリアリティーで住宅の内覧ができるシステムは銀行員が自ら開発した。
住宅ローンを借りる顧客からは好評だという。
(SEBイノベーションラボ マート・マージックさん)
「銀行にはすばらしい才能の持ち主がいます。
 アイデアを試すチャンスを与えれば
 より良いサービスを提供できる銀行になります。」
スウェーデン王立工科大学 ニクラス・アービットソン准教授は
キャッシュレス化はスウェーデン経済を成長させる役割を果たしていると指摘する。
(スウェーデン王立工科大学 ニクラス・アービットソン准教授)
「キャッシュレス化でサービスを開発する新たな会社も出てきて
 ベンチャー企業が誕生し
 経済にポジティブな影響を与えます。
 社会にとっても産業にとっても
 現金をなくすことは大きな変化なのです。」


 

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キャッシュレスの衝撃 ①中国キャッシュレス社会

2018-03-11 07:00:00 | 経済フロントライン

2月3日 経済フロントライン


中国上海。
市場の店先のあちこちで目に付くのはQRコード。
魚屋さんにも
肉屋さんにも。
ものを買うときにはこのQRコードをスマホで読み込む。
これはお店の口座情報である。
金額を打ち込み送信すれば支払い完了。
慣れればほんの数秒で終わる。
人々が支払いに使うのが
アリペイやウィーチャットペイと呼ばれるスマホ決済のサービス。
2つのサービスの利用者数を合わせると中国国内で延べ13億人にのぼる。
(利用者)
「現金は持っていません。
 このスマホだけです。」
「現金だと財布を持たなくてはいけないし
 銀行口座から降ろさなければならないので不便です。
 それにお店もお釣りを出すのは面倒でしょ。」
スマホ決済を使うのは若者だけではない。
73歳の女性。
遊びに来た孫へのお小遣いは・・・。
慣れた手つきで送信ボタンを押すと約1,700円が孫に渡った。
この女性がスマホ決済を利用するようになったのは
孫に「現金は不便だ」と言われたことがきっかけだった。
孫に一から使い方を教わった女性。
今では毎日のようにスマホで支払いを行なうと言う。
「現金で渡せなくてもさみしくないです。
 すごく楽しいし便利です。
 お互いに便利です。
 孫がありがとうとお礼を言ってくれてうれしい。」
スマホ決済サービス アリペイを起ち上げたのは中国では誰もが知る巨大企業
インターネットの巨人アリババグループ。
中国ではもともと偽札への警戒心が強く
スマホ決済の方が安心できると
この3年ほどで急速に普及した。
利用者の負担はゼロ。
お店側の手数料も最大で0,6%という破格の安さが普及を後押しした。
サービスを充実させ
次々と利用者を獲得してきたこの会社。
客の利用データをビッグデータとして分析すれば
相手が欲しい商品を予測し
効果的なマーケティングが可能になると言う。
(アントフィナンシャル スポークスマン 沈楽さん)
「データを分析した結果から得られるのはユーザーの人物像です。
 ユーザーの好みや何を欲しているのかが分かります。
 今はデータの時代になりました。
 データをいかに活用するかを考えることが企業が利益をあげることにつながるのです。」
このサービスには利用者を夢中にさせるある仕組みが組み込まれている。
飲み会の席でスマートフォンを見せ合う若者たち。
表示されているのはアリペイの利用履歴をもとに算出される点数“ゴマ信用”である。
(利用者)
「はじめは500点くらいだったけど
 使っているうちに700点を超えたわ。」
ゴマ信用のランク(アリペイより)
 700-950点 極めて優秀
 650-699点 優秀
 600-649点 良好
 550-599点 普通
 350-549点 劣る
利用者に350~950点の間で毎月示されるゴマ信用。
若者たちの間では点数が高いほどステータスがあると言われていて
自慢の材料にもなっている。
点数が高い人は
家賃が割り引かれたり
ローンの金利が優遇されたりする。
結婚相手を探すサイトにはゴマ信用が表示され
点数が高い男性ほど人気だという。
このゴマ信用が人々の行動を大きく変えようとしている。
会社員の庄婷さん。
優遇措置を得るために点数を上げたいと考えている。
アリペイではゴマ信用の算出方法を詳しくは明らかにしていない。
庄さんが手掛かりにするのはアリペイが示す大まかな基準。
その1つが“交友関係”である。
庄さんは
友だちと積極的にお金のやり取りをすれば交友関係も高く評価されるのではないかと考えた。
そこで大手企業に勤めている友だちと週に3回はお茶をし
なるべくアリペイで割り勘にし
記録を残すようにしている。
現在ゴマ信用は736点の庄さん。
5つある区分の中では最も高いクラスである。
(庄婷さん)
「中国ではゴマ信用が高いと快適に生活できます。
 できるだけアリペイで支払いをして
 ゴマ信用を上げたいです。」
ゴマ信用は中国の人たちのマナーにまで影響を与えようとしている。
たとえばアリペイを使って貸し出されるシェア自転車。
駐輪禁止の場所に停めるとゴマ信用が下がると言われている。
(利用者)
「白線の内側に駐輪すればゴマ信用は減点されません。
 日常生活のルールを守ることで原点を防ぐことができます。」
便利に買い物できるだけでなく
人々のものの考え方にまで大きな影響を与え始めたスマホ決済。
運営する会社では
今後さらにサービスを充実させていきたいという。
(アントフィナンシャル スポークスマン 沈楽さん)
「我々が目指す道のりを100とすると
 まだ10にも届いてません。
 これから私たちはずっと先へ進みます。」



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稼げる農業 ②女子力活用で稼げる農業! 

2018-03-06 07:00:00 | 経済フロントライン

1月27日 経済フロントライン


東京日本橋のデパート。
青果コーナーのひときわ目立つ場所にあるのがフルーツトマト。
甘くて美容成分も豊富。
女性を中心に人気を集めている。
(購入した客)
「ファンなんです こちらの。
 おいしい。」
「いつもこれを買いに来ます。」
お値段は1パック約600円と少々高めだが
それでもひと月1,500パック売り上げている。
(室町万屋 三越日本橋店 店長 八木英雄さん)
「大量に売れてますので売り場の面積も拡大して販売している。
 なくてはならない商品。」
このフルーツトマトを栽培しているのが茨城県水戸市にある農業法人である。
去年の売り上げは約3,000万円。
前年と比べ2倍以上に増えている。
その原動力が女性従業員。
8人の従業員全員が女性で
大半が子育て中の母親たちである。
代表の三浦綾佳さん(28)。
自身も3歳の娘を育てる母親である。
三浦さんは女性の視点を生かすことで売り上げを伸ばしてきた。
(ドロップ 代表取締役 三浦綾佳さん)
「商品を選ぶ最終的な決定権は女性が握っていることが多い。
 消費者目線が社内にあるのはすごく強み。」
この会社では商品を売るときのパッケージやキャッチコピーは自分たちで考える。
たとえばのデパート用のパッケージはスイーツのような高級感のある形だが
スーパーでは従業員の提案で商品の中身がよく見えるデザインにした。
「スーパーでは必ずトマトが割れてないか腐ってないか見るはずだと。
 パッケージを裏返してみたときにトマトの状態が見えないのはデメリット
 という意見を言ってくれた授業員がいて
 確かにその通りだと思って
 そこは自分では気づかなかった部分だった。」
こうした女性の視点を生かすために
三浦さんは子育て中のパート従業員でも働きやすい仕組みを整えた。
もともとは1人分の仕事を2人で分担。
1人あたりの働く時間は減るが
子どもが熱を出すなどして出勤できないときは別の人がカバーに入りやすいようにした。
(小学生と幼稚園児の母親)
「子どもが病気のときもお休みをいただいている。
 すごく働きやすい。」
(小学生の母親)
「農業はやったことはなかったが
 こういった形のスタイルでやっているので
 できそうかなと思って 自分にも。」
さらにこの会社では
直接女性の客と接点を持つことで新たなニーズを掘り起こそうとしている。
(客)
「男性よりもなじみやすい。
 スッと入っていきやすい気はする。」
女子力を武器に成長を続けるこの会社。
今年の夏には農園を2倍に拡大する予定である。
(ドロップ 代表取締役 三浦綾佳さん)
「継続的に農業をやっち校と思うと
 結果的に稼げる農業でないといけない。
 アイデアを出せるのは女性だと思う。
 これからの農業は女性が鍵を握っている。」



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稼げる農業 ①若者活用で稼げる農業!

2018-03-05 07:00:00 | 経済フロントライン

1月27日 経済フロントライン


今若い人たちが集まって“稼げる農業”が次々と出現している。
背景には農業法人
企業としての農業への参入が容易になったことがある。
農業法人の数は年々増えて
新たな就職先として若い人が集まっている。

宮崎県最南端にある串間市。
ここに毎年売り上げを大きく伸ばしている農業法人がある。
作っているのはサツマイモ。
その多くが海外に輸出され
海外向けだけで利益の半分を生み出している。
特に売れているのが香港。
1袋約300円と安くない値段だが
“甘くておいしい”という評判で
ある店だけで1週間で1万袋売れることもある。
去年 優秀な輸出事業者として農林水産大臣賞を受賞した。
(くしまアオイファーム 社長 池田誠さん)
「私の夢はサツマイモ王になること。
 弊社の最終的な目標は
 ドールさんとかゼスプリさんとか
 ひとつの品種で世界に冠たる企業になること。」
社長の池田誠さん(47)。
4年前に農業法人を設立し
現在約70人の従業員が働いている。
池田さんはサツマイモ農家の4代目。
あるとき自分で作ったサツマイモが海外で10倍以上の値段で売られていることを知り
大きなビジネスチャンスになると考えた。
(池田誠さん)
「私だったらもっと違う流通ができるだろうと。
 輸出商社に電話して“俺と組みませんか”と。」
品質の高さに加え袋詰めして出荷するサービスが海外で評判になった。
しかし売り上げが増えるとともに
少ない人数で生産から販売まで担うことに限界を感じるようになる。
池田さんはあえて農業以外の分野で働いたことのある若者の採用を始める。
販路を拡大するには農業以外の知識が重要だと考えたからである。
海外での営業の経験者やメーカーの元社員を次々と採用した。
(池田誠さん)
「私は出来ることが限られていると。
 もちろんいろいろなことができるように努力はしますけど
 得意な人間がした方がいいと本気で思っている。」
そして導入した機械は
自動車部品メーカーで生産管理を担当していた社員の提案がきっかけだった。
最新の光センサーを使ってサツマイモの密度を測る。
サツマイモのは中に空洞ができて商品にならないものもある。
それを出荷前に見分けることができ
クレームを大幅に減らすことにつながった。
さらに地域の農家からサツマイモを集めることで輸出量の拡大に成功した。
(池田誠さん)
「通常の農業の業界にどっぷりはまっている人材は
 青果物の流通の常識をまず考える。
 私はもう農業の業界にどっぷり入っているので
 私以上に今の彼らの方が柔軟。
 だから面白い。」
若手の発想を重視する池田さんは社員の提案はほとんど採択する。
同時に厳しい目標も課している。
下出淳平さん(30)は
サツマイモを包む袋を従来の5倍の価格のものに変えたいと提案した。
冷蔵して輸出するサツマイモ。
実は気温の高い輸出先では結露が起こり商品が劣化。
30%以上が廃棄されるという問題があった。
下出さんが考えたのは目に見えない小さな穴が開いている袋を使うこと。
コストがかかっても結露を防ぐことが大事だと提案したのである。
(下出淳平さん)
「輸出を伸ばしていくなら新しい袋を武器に試してみて
 これを使うことでどう変化するかやってみましょうと。」
池田さんはこの提案を採択。
一方で「売り上げが増えなかったらすぐに撤退する」と伝えた。
(池田誠さん)
「どうしてもボリュームがないと
 その分の袋のコストを吸収しきれなくなる。
 絶対条件として
 必ず売り上げを倍々増やすことと言った。」
結果は想像以上のものだった。
廃棄率が30%から10%以下に減少。
売り上げを大幅に増やすことができた。
(下出淳平さん)
「意見はみんなぶつけていく。
 代表も“イエスマンが一番面白くない”と。
 “最悪はおれが責任取ってやる
 だから好きなようにせい”と言ってもらえる。
 だから思いっきりできる。」
きびしい目標を課す一方で
池田さんは常に若手の話に耳を傾けチャレンジを後押ししている。
社員の提案を受け止め
自分たちで会社を変えられると実感してもらうことが大きなやりがいと結果につながっている。
(海外事業を担当 奈良迫洋介さん)
「こんな面白いことをやってる会社があるんだと。
 化けるな 化かすな 化かしたいと思って。」
(池田誠さん)
「信頼できて
 だから任せられる。
 また新しいことをやっていこうという流れになっている。
 今いる社員の幸せ
 会社の成長
 地域の成長
 地域の創世のためにも
 農家さんのためにも
 多種多様な人材をもっと集める。」




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世界で加速 スタートアップ争奪戦

2018-02-11 07:00:00 | 経済フロントライン

1月20日 経済フロントライン


いま日本の大企業の間では
自前主義から脱却して
「スタートアップ」と呼ばれる企業と提携する動きが広がっている。

未来のアップルやグーグルを夢見て多くの起業家が集まるシリコンバレー。
ここに拠点を置く日本企業の1つ 富士通。
1年前から駐在している牧田浩幸さん。
いま強化しているAIの技術で提携できるスタートアップを探している。
この日会ったのは通信の暗号化で高い技術を持つ企業である。
交渉を重ね初めてトップとのミーティングが実現した。
「自分たちだけですべては出来ないので
 提携が必要だと考えています。
 スタートアップへの投資など思い切った取り組みを検討しています。」
牧田さんはこれまで1,000社以上をリサーチし
約150社から直接話を聞いた。
しかし相手の経営状態も詳しく調べなければならず
契約には時間がかかると言う。
(富士通 サービステクノロジー本部 技術戦略室 牧田浩幸さん)
「やはりすんなりとはいかない。
 『いいものはいいわ』とか
 『彼らのとがっている部分はとがっているからそれは使おう』という判断をしていく。
 いつまでも自分一人で出来ると思ってやっていると
 “ゆでガエル”ではないが
 気付いたときには孤立してしまっている。」
こうした日本企業を支援する会社もある。
多くのベンチャー企業に投資してきた ドレイパー・ネクサス社である。
この会社では日本企業にオフィスを提供し
有望なスタートアップの紹介を行っている。
日本の大手企業5社(IHI 京セラ 清水建設 クラレ みずほフィナンシャルグループ)が常駐している。
受け入れを行っているドレイパー社のトップは
日本企業がスタートアップに選ばれる存在になることが何より大事だと言う。
(ドレイパー・ネクサス 共同創業者 北村充崇さん)
「日本企業はスタートアップのことについてあまりにも知らなすぎる。
 地球人が初めて火星人に会って初めて会話をして
 全然違う人種がいるんだ。
 どうやって一緒に付き合うためにやっていくか考えて話をする。
 世界の競争の中でスタートアップ企業にどうやって選ばれる存在になるか。
 それが今ものすごく重要なポイント。」
ここではスタートアップにもオフィスを貸し出している。
パソコンモニターを片手に現れた男性。
スタートアップを志す若者が続々と集まってくる。
「素晴らしいスペースですね。」
「私たちの製品を世界中で使ってもらいたいです。」
こうした野心的な企業家が次々とイノベーションを生み出していくのである。
有望なスタートアップに提携先として選んでもらえるかどうか。
カギを握るのがスピードである。
大手機械メーカーIHIは
シリコンバレーで3年前に起業したスタートアップとともに倉庫などで使うロボットを実用化した。
形や大きさがバラバラで無造作に積み上げられた箱。
ロボットに搭載されたAIがひとつひとつの箱を正確に認識し自動で仕分けを行なう。
AIの技術はスタートアップが担当し
IHIはロボットを制御するシステムを開発した。
(IHI 多屋公平さん)
「人力で段ボールを降ろす作業をしている。
 ニーズに合った商品が出来ると思った。」
完成までの期間はわずか1年。
スピードアップの決め手となったのがもともと用意していた契約書のひな型だった。
交渉の入り口で手間取る秘密保持契約。
自分たちが最大限譲歩した内容で
事前に本社の決済を取ったものである。
何度も行なっていた本社とのやりとりが不要になり
最短1週間で契約が可能になった。
(キネマ・システムズ CEO サチン・チッタさん)
「IHIは非常に戦略的に私たちの技術を評価してくれました。
 彼らの対応はとても早かったです。」
(IHI 多屋公平さん)
「『この企業はスタートアップに対していろいろな工夫をしてくれる』と
 この人たちとならスピーディーにと思ってくれる。」
今や大手企業になくてはならないスタートアップの提携。
その世界の潮流について行けるのか
日本企業の覚悟が試されている。




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“少数”の不満からヒットを生み出せ

2018-02-10 07:00:00 | 経済フロントライン

1月20日 経済フロントライン

東京新宿にあるベンチャー企業。
インターネットを通じて消費者から日々の不満を募っている。
・午前中指定のものが1時間半遅れで届いた。
 できれば遅れる旨電話1本欲しかった
・炭酸が抜けると飲めたもんじゃなくなる
 炭酸が抜けても美味しくしてほしい
こうした書き込みを1件につき最大10円で買い取る。
集めた不満は730万件。
なかでもこの会社が商品開発のため重視するのが少数意見である。
(インサイトテック 伊藤友博社長)
「商品に対する直接的な不満・クレームだけではなく
 ちょっとした不満に新しいビジネスチャンスがある。」
この日は食用油メーカーからの依頼で
揚げ物にどんな不満があるのか検討することになった。
コンビニなどで売られている揚げ物について調べた結果が画面に投影される。
「値段」「衣」「味」など不満が多いものは大きな字で。
一方「大きさ」や「時間」など不満が少なかったものは小さな字で表記される。
少数の不満の中でもさまざまな年代から出てきたのが「時間」というキーワードだった。
さらに細かく分析すると
揚げてから時間が経った食べものの品質に不満が集まっていることがわかった。
「コンビニなどの中食だと
 揚げた時間がわからない前提で買わざるを得ない。」
「長持ちできる価値を油で出せるか。」
この会社では少数意見の中から導き出した結論をメーカーに報告。
“時間が経っても品質が落ちにくい油には消費者のニーズがある”
という内容だった。
(J-オイルミルズ ソリューション企画部 袴田一彦部長)
「今回を出発点に新しい検証やいろいろな仮説の検証につなげられる。」
少数の不満の分析からヒット商品も生まれている。
大手寝具メーカーはベッドに関する不満の分析を依頼した。
すると少数ながら20代の人から“コンセントが使いづらい”という不満があがっていたことがわかった。
メーカーではすでに枕元にコンセントが付いたベッドを発売していたため
予想外の意見だった。
(フランスベッド デザイン課 永井英之課長)
「就寝前にスマホでSNSとかゲームをする方が非常に多い。
 タブレットで動画を見て過ごすという生活シーンが見えてきて
 そういった意味でコンセントが多ければ多いほどいい。」
そこで枕元に2つコンセントを設け
左右どちらに向いていても充電できるベッドを作った。
さらにスマホでSNSをしながら動画を見る若者向けに
タブレットを立て掛けられるようにした。
このベッドは同じ価格帯の商品と比べて1,5倍を売り上げるまでになっている。
(フランスベッド デザイン課 永井英之課長)
「寝具メーカーとしてマットレスの寝心地を非常に大事にしてきたが
 今回はフレームをクローズアップした。
 不満は問題解決の鍵になるので非常に参考になった。」

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注目される消費者の“隠れたニーズ”

2018-02-09 07:00:00 | 経済フロントライン

1月20日 経済フロントライン


ごはんにかけて食べるために作られたシチュー。
去年夏の販売開始からわずか4か月で400万個以上売り上げるヒット商品になった。
・カレー ハヤシに続き簡単レパートリーが増えた
・シチューにはパン派 でもこれならごはんでいける
・これを考えた人 リスペクト
大手食品メーカーでこのシチューの開発を指揮した宮戸洋之さん。
開発のきっかけはシチューの売り上げの減少だった。
調査会社を通じてアンケートを行なったが原因は分からなかった。
(ハウス食品 食品事業2部 宮戸洋之部長)
「お客さんの食べる頻度が減っているところまではマーケティングデータでつかむことができたが
 なぜ減っているのかわからないままだった。」
宮戸さんが頼ったのは
ネットを通じて消費者の隠れたニーズを知らべるベンチャー企業だった。
この会社が運営するサイト。
顧客の企業から受けた依頼に基づき
一般の人たちが気楽に投稿できるよう“お題”を出す。
たとえば
新婚さんの料理にまつわるあるあるエピソード。
そのときどんな商品やサービスがあったら助かる?
これは食材を宅配する会社の依頼に基づき作った“お題”である。
シチューの売れない原因をさぐるために設定された“お題”は
シチューにまつわる「モヤモヤ」を大募集!
いったいどんな「モヤモヤ」でどうすれば解決できる?
この“お題”に応えた人がいる。
主婦の堂瀬麻紀子さんである。
このサイトのファンでこれまで16の“お題”に投稿してきた。
シチューについてのモヤモヤを書き込んだのは
手間の割にはメインになってくれない・・・
しかも
ご飯との相性ももうひとつ・・・
なので
それならカレーを作ろう!になっちゃう
(堂瀬麻紀子さん)
「主婦としては短い時間の中でごはんを作っていろいろするので
 シチューだともう1品なにか作らないといけなくなる。
 同じ売り場に並んでいるんですけどカレーの箱を取ってしまう感じです。」
この投稿をきっかけに別の人たちが次々と書き込んだ。
・「シチュー=ご飯と合う」という文化を作ってはどうでしょうか?
・カレーライスみたくシチューライスがあっても良い気がします。
まるで井戸端会議のようにすすむ書き込み。
サイトにアイデアを書き込んでも報酬はないが引き込まれるという。
(堂瀬麻紀子さん)
「いろんな人が身近な商品について話しているのを見たら
 ついつい私も口を挟みたくなるというか
 こんな意見もあるよと言いたくなるのがちょっと楽しい。」
調査を依頼した食品メーカーではサイト上の議論にヒントを得て新商品を開発。
ごはんにかけて食べやすいように味を濃くしてとろみを出したところヒット商品になった。
(ハウス食品 食品事業2部 宮戸洋之部長)
「シチューをご飯にかける人がいることは分かっていましたけど
 それが我々の課題の本質だと思っていなかった。
 これが本質的な問題だったんだなということで
 戦略にの置き換えて商品を発売した。」
一般の人たちが井戸端会議風に参加できる感覚がウケて
このサイトの会員は今や2万人を超えている。
(サイト運営会社ブラポ 坂田直樹CEO)
「企業の会議室で担当者が商品開発をしているというより
 会議室のドアが開いていて全国の生活者がふらっとオンライン上で入ってくる。
 生活者が企画者になって企業の商品開発に参加できることが一番大きな特徴。」
サイトを利用する企業も増えている。
コンビニ大手もその1つである。
激しい販売競争が続くなか新しいタイプの店舗を開発できないかと利用することにした。
“お題”は
あなたがコンビニに感じてるちょっとした気持ちと
こんなお店だったらいいなって?

品揃えに対する意見が大き家と思いきや
・1回5分100円で携帯電話が充電できたら使いたい
・傘を貸してもらえたら嬉しいなぁ
「多分キーワードになっているのが買いに行く場所じゃなくて
 借りるとかシェアするみたいな
 なにかしらのサービスなんでしょうね。」
「“物売り”だけではなくて
 日々の生活の中であったら便利だとかそういうサービスだったりとか。」
このコンビニ大手では今後“お題”を追加し店舗開発のヒントに貸したいと考えている。
(ローソン 商品戦略部 荒井淳司部長)
「お客様との距離がこの取り組みは近いと思っている。
 商品開発面だったりお店を作るということに関しても
 いろいろな領域で取り組みは生かせるので
 コンビニに染まり過ぎている僕たちからすると
 新しい情報もたくさんあって新鮮な意見がありました。」




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注目!養殖ビジネス ②魚が取れないなら・・・沖合へ陸へ

2018-01-11 07:00:00 | 経済フロントライン

12月2日 経済フロントライン


大手水産会社が通常は養殖が難しい沖合でサーモンを育てるビジネスを始めている。
鳥取県境港。
海岸から約3km。
沿岸より海が荒れやすい場所での養殖である。
鍵となるのが自動餌やり装置。
海が荒れて人が生けすに近寄れなくても魚に餌を与えてくれる。
この装置はただ餌をあげるだけではない。
じつは魚の食欲をはかるためのある仕組みがある。
「魚が餌と間違えてピッと引くとカチンカチンとスイッチが入る。」
この装置の先には疑似餌が付いている。
魚がつついたときは餌を欲しがっている証拠。
その都度 餌を貯蔵庫から送る。
生けすの魚が疑似餌をつついた回数が多いときは
食欲が旺盛なため餌を多く出し
効率的な成長を目指す。
(日本水産グループ 弓ヶ浜水産 鶴岡比呂志社長)
「世界的にはああいう形で魚の食欲をはかるような技術はない。
 無駄なくしっかり餌をあげる。
 ちゃんと成長させるという面では
 いい手応えは得ている。」
難しいとされてきた沖合での養殖だが
出荷する時には従来のサーモンの2割以上体重を増やすことができた。
この会社ではサーモン以外の魚にも利用できないか検討を進めることにしている。
(日本水産 前橋知之執行役員)
「いろいろな種類のものにチャレンジしないとチャンスがつかめない。
 いくつかの魚種をターゲットに養殖事業を広げていきたい。」
海に新たな養殖場を作るのが難しいなか
陸上で魚を育てる施設も稼働を始めている。
今年7月鳥取県琴浦町にできたサーモンの養殖場。
直径14mの水槽が4基。
ふ化から1年経ったサーモン85万匹を育てることが可能である。
これまで陸上養殖には大量の水を確保するのが難しいという課題があった。
そこでこの会社では
同じ水を循環して使えるよう
魚の排せつ物を浄化するシステムを10年ほど前から開発してきた。
(鳥取林養魚場 萩原岳人代表取締役)
「こちらのフィルターはドラム式になっていまして
 24時間ずっとゴミをとり続ける仕組みになっています。」
決め手となったのがバクテリアである。
水の中でバクテリアが繁殖する方法を確立し
魚の排せつ物などから発生する有害物質を分解することに成功したのである。
さらに狭いスペースでも多くの魚を育てる仕組みも開発した。
(鳥取林養魚場 萩原岳人代表取締役)
「こちらの画面では各水槽ごとの酸素濃度を確認できます。」
常に水中で大量の酸素を送ることで魚が酸欠で死ぬことを防ぎ
85万匹のサーモンを同時に養殖できるようになったのである。
このシステムにはいま全国各地から問い合わせが相次いでいるという。
(林養魚場グループ 林慎平会長)
「水が少しあればいい。
 消費地に近いところ
 街の中でも養魚場として魚工場として作ることができる。
 これからは明るく楽しく元気に喜びながら
 もうかる商売を皆さんに提供しようじゃないか。
 その先駆をやっていくのがこのシステム。」


 

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注目!養殖ビジネス ①魚が取れない・・・そこに商機が!?

2018-01-10 07:00:00 | 経済フロントライン

12月2日 経済フロントライン


日本の漁獲量は下がり続けている。
全体が減っているうえに安定して獲れないという問題もある。
今年の場合は
秋サケやサンマ スルメイカが不漁。
一方でマイワシや場所によってはブリやタコが豊漁となった。
そこで注目されるのが養殖である。

10月10日 北海道釧路沖で秋サケ漁に向かう漁船。
(幌内漁業部 川原田良己代表)
「秋サケ漁はあと10日で終わりだから
 出るたびに期待してるけど。」
漁を指揮する川原田良己さん。
この道30年のベテランである。
この日 漁に出るのは4日ぶり。
燃料費や人件費を節約するため漁の間隔を開けざるを得ない。
期待していた水揚げである。
しかしいつも以上に少なく
この日取れたのは63匹。
採算をとるのに必要な300匹にはまったく届かなかった。
30年の漁師人生の中でも今年の不漁は最も深刻で
廃業する人が出かねない状況だという。
(幌内漁業部 川原田良己代表)
「はっきり言って赤字だよ。
 本当に魅力が亡くなっちゃった 漁師の。」
秋サケの不漁は地元経済も圧迫している。
市内にある水産加工会社。
パートも含め約100人の従業員でサケの切り身やイクラのしょうゆ漬けなどを作ってきた。
秋サケの不漁でイクラの生産量が去年の7割ほどに減少。
サケだけでは仕事にならないため
今年からイワシの加工の分量を増やした。
(阿部商店 阿部英晃社長)
「イワシとかサバとかでなんとか補おうとはしていますが
 サケのマイナスをカバーできるまでは至らないと思う。」
秋サケが不漁の中で攻勢に出ている企業がある。
この日スーパーで行われていたのは“北極圏サーモン大試食大会”。
このサーモンを生産したのは大手商社三菱商事が買収したノルウェーの企業である。
現地で経営を指揮する佐藤裕会長)
ノルウェーから一時帰国し自ら先頭に立ってアピールした。
(客)
「養殖ものでもあまり気にしたことない。
 おいしければいい。」
(ノルウェーの養殖会社 セルマック 佐藤裕社長)
「特に今年は不漁で天然のサーモンがない中で
 安定的にノルウェーから養殖のサーモンを持ってくることで
 味にも変わりはないし
 皆さん喜んでいただいて非常にうれしい。」
日本の商社が大きなチャンスととらえているノルウェーのサーモン。
日本から飛行機を3度乗り継ぎ
さらに船でノルウェーでも最も北の北極の近くにある養殖場に向かう。
養殖場にある生けす。
直径は51m。
直径だけでも日本にある生けすの2倍以上の大きさである。
管理しているのは生けすのすぐ横にある施設。
サーモンを監視しているのはたった1人である。
モニターで78万匹のサーモンの様子を見続ける。
コントローラーを使って生けすの水中カメラを操り
サーモンが泳ぐ水深をチェックする。
餌を求めて水面近くに上がってきたら
餌をまくアイコンをクリック。
魚が餌を欲しがるときにすばやく与えることで効率の良い成長が可能となる。
(餌やり担当者)
「ここで毎日 餌やりを監視している。
 魚が毎日満腹になることが一番重要だ。」
水揚げは網ではなく巨大なパイプを使う。
生きたまま船に吸い上げる。
画像認識の技術を使って魚の数や大きさを計測。
どのサイズの魚がどれだけ肥えたのか分かるので
顧客への売り込みもスムーズにできるという。
加工の作業も省力化が進められている。
たとえば選別作業。
1箱22キロに自動でまとめられていく。
加工場に搬入してから2時間後には日本やヨーロッパなど世界に向けて出荷されていく。
さらに常に計画的に魚が取れるようにと
この会社では去年70億円を投資した。
淡水で稚魚を養殖する最新鋭の施設。
水温などをコンピューターで管理することで強い稚魚を生産できると言う。
安定した生産のためには卵から稚魚へと上部に育てる必要がある。
成長に最も適した環境を24時間制御。
水温は0,1度単位で一定に保つことができる。
「水温が低ければ魚の成長が遅くなり
 高ければ健康に育ちません。
 元気に成長しないで死ぬ魚が増えるのです。」
この会社では来年さらに新たな施設を作り
切り身の加工も計画している。
(セルマック 佐藤裕会長)
「サーモンに対する需要がさまざまに広がっていて
 それに応えるべく
 なおかつ安心安全でサステイナブル(持続可能)な商品の需要に応えるべく施設を作って
 要望に応えていこうというのが私たちの考え方。」

 

 

 

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売れてます!米粉製品

2018-01-09 07:00:00 | 経済フロントライン

12月2日 経済フロントライン


12月1日
日本の食品の輸出を増やそうと重点を置く7つの品目が決まった。
その1つが米粉。
日本の主食 米。
これを挽いて作るのが米粉である。
秋田県大潟村にある米の生産者で作る会社。
この会社では50種類の米粉製品を生産している。
去年売り上げが大きく伸び
海外からの注文も増えたという。
(大潟村あきたこまち生産協会 涌井徹社長)
「マーケットは世界に無限にあるということ。
 日本の米作り農家は最大のチャンスの時期を迎えている。」
売り上げが増えたのは“グルテンフリー”という言葉を打ち出したのがきっかえだった。
グルテンフリーとは
小麦に含まれるたんぱく質「グルテン」が入っていない食品のことである。
欧米ではダイエットなどで人気が高まっている。
プロテニスプレーヤーのノバク・ジョコビッチ選手が食事に取り入れたことで
日本でも広く知られることになった。
都内にあるイタリア料理店。
この店では9年前から米粉を使ったグルテンフリーの料理を出している。
店内で製麺する自家製の生パスタは米粉と水だけで作られている。
小麦に比べて水分が多くもっちりとしたパスタ
米粉のペペロンチーノ。
米粉のグラタンはマカロニやホワイトソースが米粉でできている。
グルテンフリーの人気が高まるなか
売り上げが前の年と比べ10%以上伸びたという。
(米粉パスタの専門店 引間みずき店長)
「“グルテンフリー最近はやっているよね”
 “ゆるいグルテンフリー始めた”という人が周りに増えてきたという実感もあります。
 お客さんもやっぱり気にして。」
政府が設立したJFOODOは
世界で広がるグルテンフリーフードをにらみ
7品目に米粉を入れた。
今後アメリカとフランスで試食会をするなどして
米粉の輸出拡大を後押しすることにしている。
(JFOODO 大泉祐樹事務局長)
「世界の小麦粉市場は日本の米の国内需要の100倍くらいの規模。
 1%だけでも日本産の米粉が代替できれば
 日本もハッピー
 世界もハッピーになればいい。」


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“IoTでサービス業へ” ものづくり最前線 ③IoT活用で進む製造業のサービス業化 

2017-12-06 07:00:00 | 経済フロントライン

11月11日 経済フロントライン


神奈川県にあるお菓子の卸売業者の物流倉庫。
仕分けの際に欠かせないのが出荷先を印刷したラベル。
しかし大きな課題があった。
プリンターを一定量使用すると
印字するプリントヘッドなど部品が消耗し印刷ができなくなるのである。
メーカーが交換するまでは出荷も止まっていた。
(山星屋 情報システム部 吉田翼さん)
「出荷が止まると流通業の基本である顧客への納品が遅れる。
 時間内に届けられないというような信用低下にもつながる。」
ラベルのプリンターを生産しているメーカーでは
この問題に対応するためにインターネットを活用した新たなサービスを始めた。
プリンターの使用頻度など離れた場所から見守る。
数値が100に近づくと交換のサイン。
担当者が現場に向かう仕組みである。
(サトーホールディングス 松山一雄社長兼CEO)
「顧客がたぶん求めているのは24時間365日止まらないプリンター。
 私たちのエンジニアが顧客の現場に常駐しているような環境をつくれば
 それがいいサービスになるのではないか。」
プリンターを遠隔で見守るシステムを導入したことで
顧客だけでなくメーカーの側にもメリットが生じている。
プリンターが止まる前に交換にまわることで
トラブルが起きて突然顧客に呼び出される回数が以前の4分の1に減少した。
メーカーではこのシステムを顧客全体に広げて効率化を進め
2020年までにエンジニアが保守に架ける時間を3割削減する計画である。
その空いた時間でプリンター以外のオフィスの困りごとを発見し
新たなサービスを提案していいたいと考えている。
(サトーホールディングス 松山一雄社長兼CEO)
「顧客に何か新たな価値を生めれば
 次の一手としておもしろい。
 現場を進化させるためにパートナーになるというような
 本来あるところにいける。」



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“IoTでサービス業へ” ものづくり最前線 ②寝具メーカーが仕掛ける“ねむり”のコンサル

2017-12-05 07:30:00 | 経済フロントライン

11月11日 経済フロントライン


最新の技術を活用し顧客との関係を長く続けていこうというメーカー。
大手寝具メーカーでは今年3月から“ねむり”についてアドバイスを行うサービスを始めた。
都内に住む会社員の松宮弘樹さん。
寝てもなかなか疲れが取れないと相談に訪れた。
(スタッフ)
「1週間つけていただいた活動量計をお借りしてもよろしいですか?」
松宮さんが手渡したのは
24時間 体の向きや動きを記録するセンサーである。
データはAIが医療機関のビッグデータと照合し
専門のスタッフが分析してくれる。
(スタッフ)
「寝返りが少なめなのが気になるポイント。
 仰向けが多い。
 平均的に6~7時間寝た場合
 20~30回寝返りを打てるのが理想的と言われている。」
睡眠のデータを見てみると
約5時間半の睡眠で9回寝返りをしていることがわかった。
寝る姿勢のほとんどが仰向けだということもわかった。
このデータをもとにおすすめの寝具は何かアドバイスを行う。
(スタッフ)
「枕もしっかり高さを合わせると寝返りがしやすくなる。
 枕とマットレスのバランスも重要になってくる。」
データの計測とアドバイスにかかる費用は1回1,000円。
これまでに約500人が利用していると言う。
(睡眠の相談に訪れた松宮弘樹さん)
「自分の行動データは日頃見ることができない。
 そこは大きい。
 購入を考えようかな。
 妻の了解を得ないといけない。」
メーカーでは1人1人の睡眠のデータを蓄積し
継続的にアドバイスをすることで
長期間にわたって自社の製品を使い続けてくれることを期待している。
(西川産業 竹内雅彦執行役員)
「寝具という領域から睡眠の環境全体をサポートして
 睡眠の質を上げていくビジネスに転換期を迎えている。
 寝室環境を整えるさまざまなアイテムの開発につながっていくと
 まだまだビジネスは拡大できる。」




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“IoTでサービス業へ” ものづくり最前線 ①繊維メーカーが仕掛けるマス・カスタマイゼーション

2017-12-04 07:00:00 | 経済フロントライン

11月11日 おはよう日本


IoT = nternet of hings (すべてのモノがインターネットにつながること)

製造業から見れば
より細かい顧客のニーズに応じることができるようになる。
つまり製造業がサービス業化しようとしている。
各国の企業が製品やサービスにどれほどIoTを導入しているか。
すでに導入していると答えた企業は
アメリカ   33,3%
ドイツ    20,6%
中国    17,6%
日本     9,8% 
大手スポーツ用品メーカーのアディダスはドイツの企業だが
シューズを使う1人1人の体重のデータを即座に工場に送ることで
オーダーメードと言っていいようなソール(靴底)を作るというサービスを始めると発表。
1人1人のニーズに合わせて最新の技術を使って
安く
そして短期間で製品を作る。
こうしたサービスはマス・カスタマイゼーションと呼ばれている。

11月に行われた東京モーターショー。
自動車以外で注目を集めていたのが
自分好みに色・柄・素材を選ぶことができるシート。
シートなどに加えてパネルなどの内装も変えることができる。
その組み合わせは1億7千万通りにのぼる。
開発したメーカーは
規制品とほぼ変わらない価格で提供することを目指している。
(セーレン 車両資材部門 商品開発部 宮越新司部長)
「大量生産と同じスピードで一脚分からできる生産体制を持っている。
 十分実現可能だと思っている。」
この繊維メーカーでは顧客の好みに応じた“マス・カスタマイゼーション”をすでに店舗で始めている。
店員はまずお客さんを専用のカメラで撮影する。
すると
「いま選んでいただいたのがこちらなんですが
 柄はいろいろと変えられる。」
撮影した写真に合わせてさまざまな服を試すバーチャル試着ができる。
タブレット端末を操作しながら形や色 デザインを選択。
47万通りの中から思いどおりの服を作ることができる。
親子で訪れたお客さんは
「楽しい感じがする。」
「すごく気に入ったものがあったとしても色が微妙に違うとか
 そういうところをこの店では調節できる。」
タブレットで選ばれたデザインは瞬時に生産現場へ送られる仕組みになっている。
ここでカギとなるのが
自社開発のマス・カスタマイゼーションに対応したプリンターである。
シルクや綿 ポリエステルなど
どんな生地でも印刷することができる。
実際にはないポケットをリアルに表現することも可能である。
「通常のデニムに見えるかと思うが
 ナイロンのストレッチ素材。
 シワ感 洗いざらし感をデジタルで表現している。」
ワンピース1着にかかるプリントの時間は約3分。
その後 機械で裁断。
縫製すれば完成である。
繊維メーカー会長の川田達男さんは
大きな在庫を抱えていた現状を変えたいと
ネットと生産現場の連動を考えたという。
(セーレン 川田達男会長)
「繊維業界は作ったモノのうち60%売れれば大成功。
 40%売れないという前提でモノを作っている。
 売れるか売れないか分からないモノを作るから大量の在庫。
 どうしても解決しないと21世紀 繊維業界は生き残っていけない。」
47万通りの中から自分好みの服を作るこの仕組み。
価格はワンピース1着3万円からだが
利用者は8,000人を超えている。
(セーレン 川田達男会長)
「今までのモノづくりに対する考え方が
 IoT IT ビッグデータ含めて大きく変わっていく。
 モノの買い方 流通が全く今までと違った形になる。」




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若者に大人気 “ゲーム実況”とは

2017-11-17 06:00:00 | 経済フロントライン

10月21日 経済フロントライン


大きな広がりを見せている“ゲーム実況”。
ネット環境が向上して
ゲームをしている様子をそのまま配信する“ゲーム実況”がブームとなっている。
ある調査では
10代の男性の46,2%がゲーム実況を週1回以上見ていると回答。

東京都内にある動画配信会社のスタジオ。
ゲームをする様子を実況しているのは「よんたの」というセミプロのグループである。
プレイしているのは人気ゲーム「マリオカート」の最新作。
画面の中央に彼らの姿も表示される。
平均6~7時間かけてゲームを行い
彼らの声はすべて視聴者に届く。
見る人が多いほど報酬が増える仕組みである。
「よんたの」のゲーム実況をほぼ毎回見ているという大学生。
実況を見ながらコメントを打ち込むことも出来る。
レース中盤
画面右上の4人の中で一番後ろを走っていた選手がアイテムを投げると
左下の1位の選手を直撃。
順位が入れ替わると
“なんで巻き込んだの今!”
白熱するレース展開に視聴者からのコメントも盛り上がりを見せる。
(視聴者)
「うまくないプレーがあると“何してんの”みたいなコメントで
 リスナーのみんなでいじったりする。
 リスナーと“よんたの”は距離が近いのが魅力のひとつ。」
このゲーム実況は運営する企業にも大きな利益をもたらそうとしている。
「よんたの」の動画を配信する会社。
運営するサイトにあるチャンネルは約1万。
ゲームのうまい人が攻略法を教えるものや
初心者が挑戦する様子を実況するものなど
さまざまなジャンルがあり
月に1度以上見たという人は200万人にのぼるという。
この会社は視聴者が実況を見るときに表示される広告によって収入を得ている。
人気のある実況者を確保し
多くの視聴者に見てもらうことでこの会社の収入も増えているという。
(CYBERZ OPENREC事業部 事業開発局 局長 兵頭陽さん)
「視聴者の数が増えると比例どころではなく2乗になって広告価値が上がってくる。
 ゲーム実況自体の市場が広がり
 盛り上がってくると思う。」
ゲームを販売する企業からは
実況で直接ゲームの魅力を伝えてほしいという依頼も舞い込み始めている。
この日は
スマートフォンで対戦する陣取りゲームの魅力をアピールしてほしいという依頼が
「よんたの」にあった。
いつもよりゲームのルールやキャラクターの紹介に重きを置いた実験である。
配信を終えた後はサイトを運営する会社の担当者が直接アドバイスし
実況の質を高めようとしている。
「企業の担当者はみなさんの配信をふだんから見ているわけではない。
 ある程度 線引きしておく方がいい。
 自由にやっていいと言われても。
 今日のは全然大丈夫。」
(CYBERZ OPENREC事業部 佐藤瞭さん)
「ある意味 広告的な役割にゲーム実況者がなっている。
 活動の幅を広げてファンの数を増やすことをチャレンジしていきたい。」
大手芸能プロダクション吉本興業はこのゲーム実況に本格的に乗り出した。
京都で開かれたイベントでゲーム実況を体感できるブースを出展。
プロの芸人が人気アニメのキャラクタ-に扮して実況を行った。
動画配信サイトを運営するベンチャー企業と提携。
独自のコンテンツを次々と出していこうとしている。
Q.吉本興業が本格的にゲーム実況に参入するが
  意気込みは?
(吉本興業所属 R藤本、こりゃめでてーな伊藤)
「もちろん俺たちがナンバー1だ。
 ほかのやつらには譲らんぞ!」






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“する”から“見る”へ!変わるゲームに商機あり  ②“eスポーツ” 広がるビジネスチャンス

2017-11-16 06:00:00 | 経済フロントライン

10月21日 経済フロントライン


日本でも年々注目が集まるeスポーツ。
企業も大きなビジネスチャンスととらえている。
東京ゲームショーで使用された格闘ゲームを販売するメーカー。
eスポーツにソフトの販売だけでは得られない大きな可能性を見出している。
(カプコン 広報IR部長 田中良輔さん)
「今までゲームを売って収入を得ていたのが
 ゲームの収入に加えてeスポーツの大会の収入
 2つを獲得できる。
 日本においてeスポーツ元年になるように積極的にすすめていきたい。」
eスポーツにはゲーム業界以外からも熱い視線が注がれている。
マンションで共同生活を送るプロ選手のチーム。
5人1組で戦うゲームに勝つためにチームワークを磨いている。
過去4度日本一になったこのチームの広告効果に期待して
14社がスポンサー契約を結んでいる。
今年3月にスポンサー契約を結んだ大手食品メーカー。
去年エナジードリンクの分野に参入した。
新商品をコンビニなどに置いてもらう活動に加えて
ゲーム関連の市場にも販路を広げようとしている。
(大塚食品 製品部課長 小林一志さん)
「プロゲーマーが使用しているパソコンの周辺機器などを扱っている家電量販店
 実際にオンラインゲームをする場所
 インターネットカフェなど
 まさに今が攻め時と考えている。
 eスポーツ業界と共に成長していきたい。」




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