演劇書き込み寺

「貧乏な地方劇団のための演劇講座」とか「高橋くんの照明覚書」など、過去に書いたものと雑記を載せてます。

貧乏な地方劇団のための演劇講座 はじめに

2012年04月15日 17時34分44秒 | 貧乏な地方劇団のための演劇講座

はじめに

地方で劇団活動をするということは一部の例外をのぞいては「名もなく、貧しく、美しくもない」活動をしていることだといってもいいだろう。もちろん、ほとんどの場合、収入にもならず、それどころか、世間や、親兄弟の誤解や、偏見と戦いながら演劇という高級な趣味(*00)を続けていくことになるわけで、時には、この趣味のおかげで社会的な立場すら、危うくすることもままあるであろう。
 本書は地方で演劇活動をしている人たちの参考になればと思い自分自身の狭い体験を基として書いたものである。特に、貧乏な地方劇団と限定したのは、自分自身の活動がいつも「貧乏な」状態で続けられてきたためであり、「豊かな」状態をほとんど知らないのでお金持ちの演劇については書くことが出来ないという、体験の貧しさ故に他ならない。しかしながら、旗揚げ直後の劇団は本当に「名もなく貧しく」であろうから、劇団活動をこれから始めようとする人たちには参考になるのではないかと考えている。
 冷戦構造が失われた今、戦略とか、戦術とかは時代遅れの表現となってしまったが、この稿を書くにあたっては、戦略と戦術を出来るかぎり意識しようと心がけている。つまり、戦略とは、「どのような演劇を誰のためにするのか」ということであり、戦術とは「個々の芝居をいかに上演するのか」という、役者の技術、スタッフの技術にかかわるものである。このため前半の章では、主として戦略的事項にかかわるように、後半は戦術的事項にかかわるように記述することをこころがけたつもりである。


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