「シェルブールの雨傘」で有名な監督の奥さんが撮った作品。
実は、フランス映画は苦手で、「シェルブールの雨傘」も最初で挫折して、最後まで観たことがない。
「トリュフォーの思春期」ぐらいしか、最後まで観た記憶がない。実はジャック・ドゥミが誰かも分からずに、このポスターに惹かれていく観たのだった。
観ているうちに、シェルブールの雨傘の監督だ、というのは分かったのだが、「七つの大罪」「ロバと女王」などは観ていないので、なぜここにこんな形でインサートされるのか、理解するのに時間がかかった。
まあ、観つづけられたのは、少年時代の10歳くらいまでを演じる男の子が可愛かったからだ。疎開してきた少女とお医者さんごっこをするシーンなどは、微笑ましくて笑ってしまった。
半分が戦争中の話なのに、あまり戦争を感じさせないのはなぜなのだろうか。食事も服も戦争の悲惨さを感じるようなものは、ほとんど画面には見られない。
ジャック・ドゥミ自身のシーンがなければ、もっと観やすいのにと思ったが、それではこの映画の意味がなくなってしまうのだろう。
1962年の映画「奇跡の人」。
東京演劇アンサンブルの舞台を見たのが1971年。冒頭のヘレンがシーツの間を遊ぶように歩いていく姿と、ラストシーンでヘレンの手だけをピンスポットで追いかけていくシーンが素晴らしく印象的な舞台だった。
その直後に映画版も見ているはずなのだが、今回見直して印象が全く違うのに気が付いた。昔観た「奇跡の人」はシーツのシーンから始まっていた記憶があるのだ。
あと微妙に記憶にないシーンが多い。
昔観たのはカットされたものだったのかもしれない。
さて、久しぶりに見て驚いたのは、パティ・ディユークのうまさだ。目が見えなく、耳も聞こえないのだから、演技の中心は口になる。その口の表現の変化が素晴らしい。
他に気が付いたのは、身長152.5㎝のパティ・ディユークが7歳の子供に見えるように、他の役者が高身長だということだろうか。
昔観たときには、物語に心が行って、こういうところが見えなかった。
パティ・ディユークがサリバン先生をやったバージョンもあるようだが、検索しても日本語吹き替え版しか出てこなかったので、こちらは見ていない。
WIKIに日本での上演が記載されているが、確か奈良岡朋子がサリバン先生の舞台もあった気がする。
実話であるということと、極めてよくできた脚本であるため、数多く再演されているのだろう。ただ、舞台を観に行くのはなかなか大変だが、映画はこういう時に助かる。特に、DVDになってからは昔の名作が比較的簡単に観られる。お勧めです。