演劇書き込み寺

「貧乏な地方劇団のための演劇講座」とか「高橋くんの照明覚書」など、過去に書いたものと雑記を載せてます。

成井豊のワークショップ-4

2009年04月01日 21時54分35秒 | 成井豊のワークショップをこう読む

身体訓練 2.ストレッチ

見本の写真のとおりにやって、うまくいった人がいたらぜひメールをください。私はうまく出来ませんでした。まあ、形にはなるのだけれど、ストレッチの効果がどうでるのかが分からない.第一、説明が読みにくい.私はスキャナーで読みこんで、2倍に拡大して、画像ソフトでノイズを消してやっと読めました.
ストレッチはもう少し一つの動作を静止させるのが長いような気がするのですが,これにはそういう指定もない.というか、たまに16秒静止と出てくる.どちらかというと、体操に近いようです。
愚痴はこれくらいにして、ここで読むべきは次の部分である。
 ”「自分の体ぐらい、自分の思い通りに操れるさ」と大抵の人は思っている。が、それはあくまでも日常生活においてであって、舞台上では全く違う。なぜなら、舞台上で行う動作は、すべて嘘だから。思わず動いてしまうのではなくて、「こう動こう」 と思って動く時、諸君の体には、ある緊張がかかる。腰が浮いたり、肩が上がったり、掌がパーかグーになったり、人それぞれだが、その時、諸君は科白やお客さんの反応に集中していて、自分がどんなに不自然な動きをしても、なかなか気づかない。”
解決方法としては、次のように言っている.
 ”身体感覚を豊かにするためには、とにかく自分の体を知ることだ。そのために、とにかく体を動かすことだ。遮二無二動かしても、意味はない。ある様式に則って、決まった動作を何度も繰り返すこと。そして、その動作をマスターすること。完全にマスターできた時、諸君の体からは、きっと余分な力が抜けている。そして、変なクセも取れている。”
困ったことに真実である.困ったことにというのは、私のような怠け者にとって,という意味だ.逆を言えば,こんなにはっきりと答えは見えている、とも言える.
昔、暗黒舞踏の「大駱駝館」の公演中、事情があって家にいづらくなったので,公演会場に居候させてもらったことがあった.(ここまでは私事で話題とは関係ありません)そこで驚いたのは、暗黒舞踏にも様式があるということだった.「獣」とか「虫」とか呼ばれているもので、バレーのような西洋的なものとはもちろん違うのだが。
この、「ストレッチ」で読むべき部分は次の個所である.
”相対評価は必要ない。自分がどうできないかを客観的に把握し、どうすればできるようになるのかを考える。そして、常に今日の自分と昨日の自分を比較するのだ.つまり、絶対評価だ.”
高校生・大学生はこれを受験とか就職試験に置き換えれば、どう勉強したらいいのかがなんとなく見えて気はしないだろうか.私達は毎日ニュートンやガリレオになって引力や加速度を最初から発見することは出来ない.ただ、それを使うことは出来るのだ.公式と様式は一音違いだが,まあ、似たようなものだ.
さて、私のように怠け者の場合、勉強がそういうものらしいと気がついたのもつい最近のことであるので,もちろんこんな様式うんぬんは一度も実践したことがない.
某劇団の練習に参加した時に、ターンの練習をしたことがあるくらいである.たった2週間程度の練習だったが、指導者が良いと練習も楽しい.アマチュアの悲しさで,本番近くなったらせっかくの基礎練習をやらなくなってしまったのも残念だった.
私からのアドバイスは、何かに通うなら一流の講師を選んだほうが良いということだ.一流になればなるほど、発言は合理的で練習も合理的になる.中味は厳しいかもしれないが,楽しいはずだ.


追記
本当はここで、取り上げたかったものに,舞踏家・田中泯の身体気象がある。25年ほど前になかいまよしこ(漢字を忘れた)さんの劇団の稽古を覗きに行ったら田中泯さんが指導していた一種のストレッチである.
通常のストレッチが一人でやるものなのに,これは二人組でやるだけでなく、相手の状態を確認する手立てが考えられている点に特色がある.残念ながら一回しか参加しなかったので,詳しく覚えていない.ホームページにやり方が示されているかと思ったが,どうやらそういうものもなさそうだ。経験されている方は結構いるはずなので,どなたかホームページ上で公開していただけないだろうか

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