名馬電機社長の事業報告という名の日記

一口とか写真とかご贔屓応援とか。

海外競馬ニュース&主要レース結果 2014.11

2014年10月24日 | 海外競馬
北米
Kent Desormeaux騎手が馬に蹴られて骨折(Blood Horse)
9月28日にサンタアニタパーク競馬場でケント・デザーモ騎手が馬に胸を蹴られて肋骨を5本折る骨折。本人は4週間で復帰(BCに間に合わせる)を希望。

香港のRich Tapestryがアメリカで重賞勝ち(RacingPost)
今年のドバイゴールデンシャヒーンを優勝した香港調教馬のRich Tapestry(リッチタペストリー)が10月5日にアメリカ・サンタアニタパークで行われたSanta Anita Sprint Championship(G1)を優勝。香港調教馬として初めて北米での勝利となった。この後はBCスプリントを目標にする。

Alpha引退(Rcing Post)
Darleyの自家生産馬として2012年のTravers Stakes、2013年Woodward Stakesを勝ったAlphaが引退。特にTravers StakesはGolden Ticketとの「G1・1着同着」として話題になった。

Cigar死去(Blood Horese)
1994年から1996年にかけて北米で16連勝を記録した伝説的名馬Cigar(シガー)が24歳で死亡。連勝中はBCクラシックや第1回のドバイWCでも勝利を収め、特にドバイWCは「第1回からシガーほどの名馬がやってきて優勝した」という事で、現在に至るドバイWCというレースの格を一気におし上げる要因になったと言えよう。引退後は生殖能力に問題が有り、産駒は残せなかった。

※北米の主要レース結果はBC前エントリでまとめて紹介します。


欧州
Sea The Moon、Lanwades Studで種牡馬入り(BloodHorse)
今年のドイツダービー勝ち馬Sea The Moonの繋養先がLanwades Studと発表に。

Soviet Starが死去(RacingPost)
日本にも種牡馬として来たことのあるソヴィエトスターが30歳で死亡。

英国チャンピオンズデイのレゴを使ったプロモーション映像(British Champions Series)
近年のチャンピオンズでいの名シーンをレゴを使った映像で再現。オシャレ。

Moonlight Cloud半妹がデビュー(Racing Post)
Moonlight Cloudの半妹Stars And Cloudsが10月10日のシャンティでデビューし、見事1着。父はMakfi。

Peslier騎手、Wertheimer兄弟との専属契約解消(Racing Post)
Wertheimer兄弟の新しいファーストジョッキーにGuyon(Racing Post)
GoldikovaやSolemia、Intelloといった名馬でチームを組んできたオリビエ・ペリエ騎手と馬主のヴェルトハイマー兄弟が12シーズンに及ぶ専属騎手契約を解消することが発表された。
そして新たに発表された新しいファーストジョッキーはマキシム・ギュイヨン騎手に。またオリビエ・ペリエ騎手はカタールのファハド殿下のお父上Sheikh Abdulla Bin Khalifa Al Thaniの専属騎手に。

Treve引退からまさかの現役続行宣言(RacingPost)
一度は引退を発表したTreveが一旦引退を撤回。問題がなければ現役を続行、凱旋門賞3連覇を目指すと。

Australia引退(RacingPost)
引退レースとして発表されていた英国チャンピオンSにむけて調整されていた、今年の英愛ダービー馬Australiaが蹄の故障でレースに出走すること無く引退。

War Command引退(RacingPost)
昨年のデューハーストS勝ち馬War Commandが引退。2015年よりAustraliaとともにCoolmoreで種牡馬入り。

◆主要レース結果
・2歳
9/27 Cheveley Park Stakes(チーヴァリーパークS)  G1 ニューマーケット芝6f 牝馬
Tiggy Wiggy [J]R.Hughes [T]R.Hannon
ここまで7戦5勝2着2回と豊富なキャリアを誇るTiggy Wiggyが1番人気。そのTiggy Wiggyがスタートからハナを切ると最後まで束に先頭を譲ること無く逃げ切り勝ち。

・3歳以上
9/28 Preis von Europa(ヨーロッパ賞) G1 ケルン芝12f
Empoli [J]A.Vries [T]P.Schiergen
道中逃げ馬の直後2,3番手をすすんだEmpoliが直線一旦内を突こうとするも進路がなく、外に切り返してゴール前で逃げたEarl Of Tinsdalを捕らえて差しきり勝ち。勝ったEmpoli、父Hallingの4歳牡馬でこれがG1初制覇。

10/4 Sun Chariot Stakes(サンチャリオットS) G1 ニューマーケット芝8f 牝馬
Integral [J]R.Moore [T]M.Stoute
今年の英国1000ギニー勝ち馬Miss Franceやロスチャイルド賞勝ち馬Esoterique、上がり馬のFintryといったフランス・ファーブル厩舎の馬たちとともに人気の一角に推されていたのは地元代表、スタウト厩舎のIntegral。そのIntegralはハナを切るとファーブル勢の追撃を凌ぎ切って逃げ切り優勝。7月のファルマスSに続くG1・2勝目を挙げた。

◆凱旋門賞デイ
10月5日、ロンシャン競馬場で行われた凱旋門賞。当日に行われた凱旋門賞を含む7つのカテゴリにおけるフランス平地競馬の総決算となるG1の結果を振り返る。

10/5 Prix de l'Abbaye de Longchamp(アベイユ賞) G1 ロンシャン芝5f 2歳以上
Move In Time [J]D.Tudhope [T]D.O'Meara
オープニングを飾ったのは直線芝コースで行われる5fのスプリント戦。1番人気はキングズスタントS、ナンソープSとこの距離のG1を今年2勝のSole Power。このレースは4年連続出走だが過去3回は3,5,6着と勝利をおさめていない。
中団につけて末を伸ばそうとするも思うように進路が開かず最後に追い込んでくるも8着が精一杯。勝ったのは道中Sole Powerの一つ前のポジションにいたMove In Time。イギリスからの遠征馬ながらロンシャンの5f戦はG3にこれまで2度遠征していずれも2着と適性は示していた。重賞勝ちの実績はなくさほど人気ではなかったが、混戦を制して見事に優勝。

10/5 Prix Marcel Boussac(マルセル・ブーサック賞) G1 ロンシャン芝8f 2歳牝馬
Found [J]R.Moore [T]A.O'Brien
ここから2レースは2歳のG1。まずは牝馬のマイル戦マルセル・ブーサック賞。人気はカラのデビュー戦を勝った後、前走G1モイグレアスタッドSが3着だったAidan O'Brien厩舎のFound、フランスからは4戦3勝、前走G1モルニ賞3着のErvedyaといったあたりが人気に。
大外枠発走ながら好スタートから先頭に立ったスミヨン騎乗のErvedya、道中他馬を行かせて2,3番手からの競馬、そのすぐ後ろにFoundがつける。直線持ったままで進路を確保するとじっくり追い出しを待ってスパートするErvedyaがすっと後続に差をつけこのまま押し切るかとも思われたが、すかさずこれを目標に襲いかかるFound。残り100m地点で並びかけると最後はきっちりと差しきって1着。

10/5 Prix Jean-Luc Lagardere (ジャン・リュック・ラガルデル賞) G1 ロンシャン芝7f 2歳
Full Mast [J]T.Thulliez [T]C.Head-Maarek
3戦3勝、前走モルニ賞でG1勝ちも果たしたStarsoangledbanner産駒、Al Shaqab RacingのThe Wow Signal、デビュー戦こそ4着と敗れたものの2戦目で勝利を収めた後G3,G2,G1と連勝してきたCoolmore、Aidan O'Brien厩舎のGalileo産駒Gleneaglesあたりが人気に。
レースはThe Wow Signalが逃げる展開も直線半ばで早々に手応えがなくなりズルズルと後退。代わって先頭に立ったのはJuddmonteの2戦2勝馬Full Mast。さらにこれをめがけて外からGleneagles、内からはGodolphinのTerritories。しかし外のGleneaglesの反応がよく一気に先頭に立ち完勝、と思われたがゴール前Gleneaglesが内に切れ込みFull Mast、Territoriesが埒に押し込まれる形となり2頭の鞍上が立ち上がる格好になる不利が発生して審議。結果1位入線のGleneaglesは3着に降着、2位入線のFull Mastが繰り上がりで1着となった。

10/5 Prix de l'Opera Longines(オペラ賞) G1 ロンシャン芝10f 3歳以上牝馬
We Are [J]T.Jarnet [T]F.Head
3歳以上の牝馬によって争われた1戦、3歳勢からは今年の英国オークス2着馬で前走ブランドフォードSを勝って臨むTarfasha、サンタラリ賞を無敗で制したものの後に失格となったWe Areといった3歳勢と、4歳ながら今年デビューしナッソーSでG1制覇を成し遂げたGosden厩舎のSutanina、前走人気薄ながらジャン・ロマネ賞を勝ったRibbonsの4歳勢が人気の中心。
レースは先行したTarfashaが残り400m過ぎで先頭に立つと、直後で脚をためていたFrankie鞍上のRibbons、さらに1頭置いてその外からWe Areが襲いかかる。外の2頭がTarfashaを交わした時点ではRibbonsの方が僅かに前に出ていたように見えたが、ゴール直前T.Jarnetのひと追いでグッと前に出たWe Areが優勝。
勝ったWe Are、前述のとおりサンタラリ賞とその前走の2戦目が失格となっているのだがこれはテストステロンが異常に検出された事によるものだった。その原因としてはレース以前に受けた卵巣腫瘍の手術の結果、体内で異常に発生したと考えられるテストステロンがレース後の薬物検査で検出されたと考えられており、We Are陣営にとっては汚名を晴らすに十分な鮮やかな勝利だった。

10/5 Prix de l'Arc de Triomphe(凱旋門賞) G1 ロンシャン芝12f 3歳以上
Treve [J]T.Jarnet [T]C.Head-Maarek
初めて日本馬3頭で臨み期待も高かった凱旋門賞。現地でもハープスターやジャスタウェイは比較的評価も高く、またゴールドシップもこれまでの結果から馬場がフィットするのではという日本国内の評価であった。日本馬の評価が高かった原因として、昨年勝馬Treveの不振や有力候補Sea The Moonの戦線離脱、無敗のキングジョージ勝馬Tagh
roodaの直前での連勝ストップなど、確たる主役が不在の混戦ムードであったことが挙げられる。
ただ「どの馬にもチャンスがある」状況は「日本馬にチャンス」と必ずしもイコールとなるわけではなく、結果はそれを如実に表している。日本馬にとって決して届かない高みにあるものではないが、だからと言ってありとあらゆる手段を取りベストを尽くさず勝てるほど甘くない、というのが今年の日本馬の凱旋門賞挑戦だった。
レースの方はEctot陣営が用意したらビットのMontvironが引っ張る展開。2番手にKingston Hill、3番手は外にTaghrooda、その内にRuler Of The Worldを挟んで昨年の覇者Treveは内埒沿いを進む。フォルスストレートを抜けて直線に入るところで縦長だった隊列は一気に外へと広がる形になりポジションが後ろの馬はそれだけ外に出さざるをえない展開で、最後方にいたハープスターなどはかなりのロスを強いられる形に。そんな中、埒沿いで脚を温存していたTreveがいつの間にか開いたスペースから、いつの間にか先頭に立ったと思うと気づいた時には後続の馬たちにとっては絶望的な、そして勝者にとっては勝利を確信する差をつけてしまっていた。「終わった」とも言われた昨年の覇者を前走からの短期間で見事に立ち直らせた調教師、ある程度の位置を取りながらも脚を温存してギリギリまで溜めた上ではじけさせた騎手、そして取り巻く人びとの期待にここ一番で応えた馬。凱旋門賞連覇という偉業を達成するにふさわしいチームTreveのお見事なレースであった。

10/5 Prix de la Foret(フォレ賞) G1 ロンシャン芝7f 3歳以上
Olympic Glory [J]F.Dettori [T]R.Hannon
前走ジャックルマロワ賞でKingmanの2着に入った
Anodin、G1を3勝しているOlympic Glory、日本産馬の仏2000ギニー勝ち馬Karakontieなどが人気に。
レースはスタートから最後方を追走し、直線半ばでもまだ馬群のど真ん中で進路を探しているような状態だったOlympic Gloryが馬群がバラけるやいなや目の覚めるような末脚を繰り出し一気に先頭に立つと最後は鞍上Frankieが手綱を抑える余裕の勝利。マイルでは最後に甘いところを見せる事もあったが7fでは今回含めて重賞ばかり5戦5勝。

10/5 Prix du Cadran(カドラン賞) G1 ロンシャン芝20f 4歳以上
High Jinx [J]R.Moore [T]J.Fanshawe
スタートから積極的にハナを切っていったHigh Jinx。道中3.4馬身ほどの差をつけての逃げをうつものの直線では真っ先に鞍上の手が動き、バテるのかな、と思われたがそこから鞍上Moore騎手の激しいアクションに応えて驚異的な粘り腰を見せ、結局そのまま逃げ切り勝ち。


◆フューチャーチャンピオンズデイ
今年チャンピオンズデイの前日にニューマーケットでドバイのスポンサードによって開催されることとなった「フューチャーチャンピオンズデイ」。3つのG1を含む4つの2歳重賞を中心に6つの重賞が行われた。その中から2歳のG1競走3つの結果を紹介。

10/17 Middle Park Stakes(ミドルパークS) G1 ニューマーケット芝6f 2歳牡馬
Charming Thought [J]W.Buick [T]C.Appleby
道中3番手を追走していた、ここまで3戦3勝、G2を連勝中のIvawoodが勝負どころで持ったままで先頭に立ちこのまま押し切るかに思われた所、直後につけていたGodolphinの青い帽子青い勝負服Charming ThoughtがIvawoodに馬体を併せるとゴールまで2頭はびっしりと叩き合い、最後わずかにCharming Thoughtが先着した。

10/17 Fillies' Mile(フィリーズマイル) G1 ニューマーケット芝8f 2歳牝馬
Together Forever [J]J.O'Brien [T]A.O'Brien
人気のLucida含めてGodolphinの3頭が人気をしていたが、勝ったのはCoolmoreのGalileo産駒、Together Forever。鞍上はJoseph、管理するのはもちろんAidan O'Brien。

10/17 Dewhurst Stakes(デューハーストS) G1 ニューマーケット芝7f 2歳
Belardo [J]A.Atzeni [T]R.Varian
人気を集めていたEstidkhaarが出遅れる不穏なスタートとなったDewhurst Stakes。スタートからスタンドよりのラチ沿いを逃げていたKodi Bear以下6頭がほぼひと塊で進み勝負どころ、最後方のBelardoを除く5頭が横一列に並ぶような叩き合い。先頭のKodi Bearがラチ沿いで粘り、すぐ隣りのSecret Briefが馬体を併せに行きその外にはCoolmoreのSmuggler's Cove、馬場の真ん中を走るEstidkhaarも追いだすが末を欠く格好で結果4着。Secret BriefがバテてSumggler's CoveがKodi Bearに馬体を併せに行こうとする刹那、バテたSecret BriefとEstidkhaarの僅かな隙間をすり抜け、さらにEstidkhaarとSmuggler's Coveの間の閉じかけたスペースをBelardoが一気に突き抜け完勝。鞍上Atzeni騎手&管理するVarian調教師のコンビは今年の英国セントレジャーを勝ったKingston Hillのコンビ。来年からSpencer騎手の後釜としてQatar Racingの主戦となるAtzeni騎手が存在感を示す格好となった。

◆チャンピオンズデイ
10月18日アスコット競馬場で行われた英国平地競馬の総決算、チャンピオンズデイの結果。

10/18 British Champions Long Distance Cup(ブリティッシュ・チャンピオンズ・ロングディスタンスC) G2 アスコット芝16f
Forgotten Rules [J]P.Smullen [T]D.Weld
女王陛下の所有馬としてロイヤルアスコット開催のゴールドカップを勝ったEstimateや、昨年の英国セントレジャー勝ち馬で今年のゴールドカップ勝ち馬Leading Lightが人気の中心であったが、Estimateは直線を待たずして手応えがなくなり早々に勝負圏外、Leading Lightも不利があったとはいえその前から若干手応えが怪しくいいところなく惨敗。一方そのLeading Lightの進路をカットする形で抜けてきたのが勝ち馬Forgotten Rules。ここまで障害コースで行われた平地競走と通常の平地競走それぞれ1戦1勝ずつというわずかキャリア2戦の馬ながら、道悪で非常にタフな馬場状態を物ともせず快勝。来年以降のこの路線における活躍が期待される。

10/18 British Champions Sprint Stakes(ブリティッシュ・チャンピオンズ・スプリントS) G2 アスコット芝6f
Gordon Lord Byron [J]W.Lordan [T]T.Hogan
一直線6fに15頭が出走。全馬手前のスタンド側の埒沿い一塊でレースが進み残り3f過ぎから各馬手が動き出す。まず残り2fで逃げ馬を捕らえたのは昨年のこのレース2着馬、5歳セン馬のJack Dexter。各馬この馬を追いかける形となり残り1fで先頭に並びかけてきたのが今年のJuly Cup2着馬のTropics。残り100m、Tropicsが半馬身ほど前に出て勝負あったかと思われたが残り50mあたりのまさにゴール直前2頭の直後につけていた青と黄色の勝負服 Gordon Lord Byronが2頭の間を割ってまとめて差し切りという大どんでん返しを演じてみせた。

10/18 British Champions Fillies & Mares Stakes(ブリティッシュ・チャンピオンズ・フィリーズ&メアS) G1 アスコット芝12f
Madame Chiang [J]J.Crowley [T]D.Simcock
人気薄のWe'll Go Walkingが先手を取り序盤はペースを作る。道中はかなり後続を離す逃げを打っていたが、徐々に後続も差を詰めて馬群ひとかたまりになり、残り3fあたりでは完全に馬群に飲まれるWe'll Go Walking。変わって先頭に立ったのがGodolphinのAlbasharah。これを残り2fで外から捕まえに来たのが凱旋門賞から中一週で出走してきたChicquita。流石と思わせる末脚で一気に先頭に立ち、これは独壇場と思われたものの、徐々に外に逃げ気味になるChicquita。鞍上Josephも懸命の左鞭で矯正しようとするも、むしろそれに反抗するかのようにどんどん左へとヨレるChicquita嬢。この間隙を縫って伸びてきたのが英国オークス10着、前走ヴェルメイユ賞6着だった3歳牝馬Madame Chiang。力強く抜け出すと後は後続を突き放して完勝。Chicquitaはさらに別の馬にも差されて3着に終わった。
勝ったMadame Chiang、 血統がなかなか興味深くSpecialの5×3×4のクロス持ち(しかも定番のヌレサドのうちサドラーを持っていない!)。引退後どのような馬が配合されるのかという点も含めて楽しみな牝馬の出現であった。

10/18 Queen Elizabeth II Stakes(クイーン・エリザベス2世S) G1 アスコット芝8f
Charm Spirit [J]O.Peslier [T]F.Head
人気になったのは3歳のNight of Thunder、今年の英国2000ギニーでAustraliaとKingmanを大斜行繰り出しながら負かしたあの馬である。道中馬群の後方、手前の埒沿いにつけていたが残り3f手前で「これは進路が開かない」と判断した鞍上Hughesは馬場の真ん中に馬を誘導、馬群の外から差す作戦にスイッチ。そして外に出したその前にいたのがTulliusとCharm Spirit。先に前に出たTulliusがCharm Spiritを押し込めようとするもこれを跳ね除けるようにCharm Spiritもスパート。この二頭の後ろで機をうかがっていたNight of Thunderは再度埒沿いに進路を取るもほぼ同じタイミングでCharm Spiritも埒に向かって追い出したためかなりNight Of Thunderはかなり斜めに走ることとなりロスの大きい競馬。結局差を詰めたものの最後は Charm Spiritが押し切りNight Of Thunderは2着まで。
勝ったCharm Spiritは先日ヴェルトハイマー兄弟との専属契約を解消した鞍上Peslierが新たに専属契約を結んだ馬主さんの所有馬であり、来シーズンに向けてこのチームのアピールにもなる一勝だった。

10/18 Champion Stakes(チャンピオンS) G1 アスコット芝10f
Noble Mission [J]J.Doyle [T]L.Cecil
2011年にこのレースを制し、12年、13年と2年連続で2着となっているフランスのCirrus Des Aiglesが人気の中心に。さらに昨年2歳時Australiaに敗れるまで今年のダービー候補と言われたものの故障で春シーズンを棒に振り、前走鮮やかなパフォーマンスで復帰初戦を飾ったFree Eagle、昨年の英国ダービー馬Ruler Of The World、Frankelの全弟で今年G1を2勝しているNoble Missionといったあたりが続く人気を集めていた。
レースは自分の型である引き離しての逃げを打つNoble Missionが先頭のまま直線に入ると、それに並びかけてきたのは昨年一度は引退種牡馬入りをしながら生殖能力に問題が有り現役に復帰したAl Kazeem。一旦Al Kazeemが先頭に立ったようにみえる瞬間もあったが内でNoble Missionもファイトバック、クビ差しのいで1着でゴール。昨年Al Kazeemでブレイクし、今年からJuddmonteのファーストジョッキーになったDoyleがそのAl KazeemとのマッチレースをJuddmonteの馬(しかもそれを代表するFrankelという歴史的名馬の全弟)で制するというなんとも因縁めいた決着となった。そしてゴールした瞬間からパレードリンクに戻ってきたNoble Missionを迎える歓声や中継のアナウンサーの高揚感が「英国におけるFrankelの偉大なる影響力」を表しているように感じられた。
英愛ダービー馬Australiaの故障による戦線離脱、極端な道悪を理由に回避を決めたThe Grey Gatsbyなど、主役と思われていた馬たちの相次ぐ回避によって若干メンバーが落ちたように思われたチャンピオンSであったが、終わってみれば2頭のスリリングなデットヒートという好レースと兄弟制覇の劇的な結末という、なかなかに見応えのある一戦となった。
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする