白昼強盗

　今日たまたまボンド・ストリートを通りかかったら、警察官からビラを手渡されました。中身は今月６日に有名宝石店Graffで起きた白昼強盗の目撃情報を募る内容でした。



　数々の世界的有名ブランドのお店が軒を連ねるこの通りの一角にあるセレブ御用達の宝石店Graffは、実は2003年にもPink Pantherという国際窃盗団による被害に遭っており、その金額は2,300万ポンド（今のレートで約37億円）だったと言われています。
　この金額がこれまでのイギリス犯罪史上の最高被害額だったのですが、今回の被害はなんと4,000万ポンド（約65億円）と言いますから、一気に記録を塗り替えたことになります。



　客を装った２人組の男は、拳銃で店員を脅かして宝石を奪った後、女性店員を人質に逃亡し、途中で発砲もあったものの怪我人はなかったというのが、せめてもの救いでしょうか。
　その様子は防犯カメラにも写っており、TVでもしきりに流れていました。

　ところが今日の夕方の新聞（大衆紙なのでいまいち真偽は明らかではありません）によると、このふたりの顔が変装したものだというのです。しかもまるで映画の特殊メイクのようにラテックスまで使った本格的なもの。新聞も“まるで映画の『Mission Impossible』のようだ”と表現していました。
　このメイクを引き受けたメイキャップ・アーティストによると、このふたりはPop Videoに出演するので、それ用のメイクをと依頼したというのですが、当日の３時までかけてやったという証言は、４時４０分に起きたこの強盗事件との時間的辻褄は合います。

　あんなにたくさんの人が集まるボンド・ストリートで、白昼堂々強盗が押し入り、発砲まであった上、メイキャップも施されていたなんてなると、もう現実離れし過ぎていて、その場に居合わせたとしても映画の撮影かなんかだと思ったんじゃないでしょうか。
　まぁ、現実離れって意味では、被害の金額だけじゃなく、こんな店に入ることからして僕にはあまりリアリティがないですが。