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ロンドンから徒然に

ジェントルマンの死

2016-03-10 | 音楽
イギリスでは“紳士”が街に溢れているという嬉しい誤解はさておき、そもそものgentlemanの定義を辞書で引くと“a man who is polite and well educated, who has excellent manners and always behaves well”とあります。多分イギリス人自身に言わせると、ここにwith good humourと付け加えるかもしれません。
僕のこの人に対する勝手な思い入れ(彼こそ正真正銘のジェントルマンだ!)は当たっていたと思います。初対面のほんの何分かでそれを確信しました。

ジョージ・マーティン。
世の中にthe fifth Beatleと呼ばれる人達は何人か存在しますが、ポール自身がブログで認めているように、彼ほどその呼称がぴったりとする人はいないでしょう。その“5人のビートルズ”のメンバーのうちの3人目の訃報になってしまいました。



既に引退(1999年)から長い時間が経っていたし、年齢のことは漠然と頭にあったので、先日のデヴィッド・ボウイの時のような唐突でショッキングな感じはしませんでしたが、逆に今じわじわと悲しみが積もってきています。

ちなみに引退された時の理由が聴力の衰えでしたが、僕がお会いしたのはその何年か前。でもその時既に普通の会話にも少し苦労されている様子で、横に若い男性(今考えてみたら、もしかしてあれは息子のジャイルズだったのかな?)が付いて、皆との会話を手助けしていました。

それでもやはり、身長は高いし、姿勢はしっかりしているし、声は落ち着いているし、物腰は柔らかいし……一言でいえば「カッコいい!」存在でした。

ビートルズのやんちゃぶりと天賦のオリジナリティ、そしてジョージ・マーティンの紳士的な姿勢と音楽の深い素養が深く結びついて、あの唯一無二の素晴らしい楽曲達を次々と生み出していったんでしょうね。

あんまり詳しくは言えないんですが、お会いした後にある企画(ビートルズとは全然関係ありません)を立ててイギリス人の音楽関係者に制作の手伝いを依頼した時に、ジョージ・マーティンを迎え入れるという案が出てきたんです。もう嬉しくて小躍りしました。でも、諸事情あってこれは没に。
あぁ、無理してでもやっておくんだった。

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