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ロンドンから徒然に

ロンドン・アストリアの取り壊し

2008-10-20 | 音楽
 中国に行くとその開発の凄まじさに驚くことがあります。それと同時に古い建造物等が平気で壊されるのを見て残念な気もします。イギリス人はどちらかというと歴史のある伝統的なものを大切にする気風があるのですが、この10年間の景気の良さ(昨年末あたりから世界の例に洩れずおかしくなっていますが)は、金儲け優先の風潮を少しだけ生み出したような気もします。
 それでもやはり古い建造物を大切にしようとする法律はあって、“listed building”に指定されたものは許可なく壊したり拡張したりはできない仕組みになっています。
 トッテナム・コート・ロードTottenham Court Roadにあるセンター・ポイントCentre Point(3月5日のブログ参照)を快く思っていないイギリス人も「あそこはlisted buildingに指定されているから簡単に壊せないんだ」と皮肉交じりに言います。

 そのセンター・ポイントの向かいにありながら、listed buildingに指定されていないビルの取り壊しが問題になっています。ミュージシャンのライヴの場として活躍してきたロンドン・アストリアLondon Astoriaです。
 1927年に映画館としてオープンしたアストリアは、その後劇場となり、そしてライヴ会場となってからはローリング・ストーンズ、U2、ニルヴァーナ、レイディオ・ヘッド、オアシス等錚々たるミュージシャンのパフォーマンスが行われてきました。
 もちろん(一部の特殊な目的を除き)彼らが超ビッグになる前のライヴですが、そのことで分かるように、新人~中堅バンドのライヴの場として、ロンドン中心部にある狭過ぎず広過ぎずの会場(キャパシティ2,000)が重宝がられてきたわけです。



 そのアストリアが、Crossrailという新たな鉄道敷設に伴う周辺の開発計画のために取り壊し必至というニュースを聞いたのはもう何年も前のことです。その後反対運動の盛り上がりもあり、ロンドン市としてもライヴ会場の消滅というのを文化面から重く見ている節もあって、延び延びになっていたのですが、結局取り壊し決定というのがこの春に決まりました。

 取り壊し前に一度入っておこうと思い、昨晩シャーラタンズCharlatansのライヴに出かけました。メンバーの登場と同時に、大歓声の観客の飛び跳ねる振動で床が大きく揺れます。これじゃ取り壊し以前に自然に壊れるんじゃないかと心配になるほどでした(笑)
 本来ならそんな観客の中に溶け込むところだったのですが、昨晩はどうしたことか体調が優れずに、この床の揺れやスピーカーからの大音響やぎっしり詰まった観客の熱気に負けて頭痛がひどくなってきて、結局途中で夜気の中に抜け出してしまいました。



 ところでこの取り壊し、本来だったらもう始まる頃なのですが気配がありません。結局また結論が翻ったか、それとも何らかの事情で延期されているのでしょうか。
汚さも含めて(?)いかにもロンドンっぽいイメージの場所ですし、これと同じくらいのキャパのものを新たに中心部に作るとなると今では不可能な気もするので、残せるものなら残してほしいですけどね。

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2 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
ASTRIA (Goteauxsson)
2008-10-22 00:54:27
こんばんは。ASTRIAは僕は行ったことこそありませんが、STONESがそこでGIG、それも比較的小規模なのをやって、日本からわざわざ見に行った熱心なファンもいてうらやましいなぁ、と思いましたね。たしかCDかDVDになってたんじゃなかったでしたっけ?そんな古臭いがいかにもロンドンな建物でSTONESを見るってのはきっと格別でしょうね。ブリュッセルに住んでいた時にSTONESファンには有名なFOREST NATIONALEに行ったとき、これがあの建物か~!と感動したのを思い出します。そのときのTOP BILLはエアロスミス、前座がブラック・クロウズというこれまた贅沢なものでした。ではまた!
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Stones (Max)
2008-10-22 07:08:29
 Stonesは確かに数年ほど前にAstoriaでやっていますよ。同時期にWembleyかどこか広いところでもやったはずなので、意識的に狭い小屋をチョイスした特別なライヴだったんでしょうね。その場にいた人はこの上なく幸せだったと思います。噂によるとダフ屋のチケットがケタ違いの値段だったとのことです。
 それにしてもキャパ1,500~2,000のところを“狭い”と言えるバンドは羨ましいですね(笑)
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