HOBNOBlog

ロンドンから徒然に

バイト時代

2009-03-19 | 旅・イベント
 学生の頃、“弾き語り”のバイトをしていました。つまり、お酒の供されるお店の片隅のステージ(といっても形ばかりのものですが)に陣取ってギター1本で(たまにはピアノで)歌うのです。
 三ヶ所でやっていたのですが、場所が違えば客層も当然異なり、求められる歌の内容も変わってきます。自分と年齢の近い層の時は比較的楽で、まるでライヴハウス感覚で客をのせることもできて楽しいのですが、おとなばかりが集まって、どちらかというと隣にいる女性の方にしか神経がいっていないような場合は(笑)あくまでBGMに徹しなければならず、これは選曲も含めてけっこう辛いものがありました。

 それでもバイト料としては、“普通の”(というのが何を指すかはともかく)学生のバイトの何倍ももらえたので、まぁ良い身分ではありました。
 傑作なのは、自分のことを“先生”と呼ばれることで、ある時なんて昼の街中で常連さんにばったり会って“先生”と声をかけられて、なんとも恥ずかしかったのを覚えています(笑)

 たいていは25分がワンステージの契約です。2軒かけもちの時は、5分間で次の店まで移動し、また25分やって...の繰り返しです。週に3日間だけでしたが、8時から12時までの合計8ステージ、土曜日はこれが終わってさらにもう1軒真夜中の2時まで。その間歌いっぱなし。
 若かったとはいえ、よく身体がもったものだと、今から思うと呆れてしまいます。

 たまに臨時で契約のバイト以外の祇園のど真ん中のクラブなんていくと、そこはもう別世界で、TVでよく見る顔だとか、見るからに仕立ての良いスーツに身を包んだ人たちが、これまた凄い美人を連れていたりします。
 もう僕の普段の持ち歌からすると、何歌っていいやら戸惑うばかりでした。

 ......あれやこれや書き始めると、きっと何ページにも渡るくらい様々なことがあった時代で、今でも祇園界隈を歩く度に複雑な感情が渦を巻きます。
 あの頃“おとな”に思えた年齢に、自分がとっくになってしまっているのに、ふと気づいて驚いてしまいます。