まつお文庫からのご案内

仙台市若林区中倉3-16-8にある家庭文庫です。水・土の3時~6時(第2土は休み)どなたでも利用できます(無料)。

新しく買った本 6月

2024-06-17 18:24:55 | 文庫のページ
①『のんびりおじいさんとねこ』 西内ミナミ/わかやましずこ 福音館書店 2010 
 1972年7月号の「こどものとも」で出た絵本です。<「こどものとも」人気作家のかくれた名作10選>の1冊として出版されました。一人暮らしの漁師のおじいさんと猫の愉快な話です。
 毎日アジのしっぽをもらう猫は、たまにはおいしい身をたらふく食べたいと言います。そこでおじいさんは猫のために大きな魚を釣ると約束。小さくてもいいから早く魚を食べたい猫と、釣った魚をエサにしてもっと大きな魚を釣りあげるというおじいさんのやり取りが楽しいです。とうとう大きなカジキマグロを釣りあげる場面は迫力があります。
 月刊誌「こどものとも」で和歌山さんが初めて描いた絵本です。
②『ぎょうれつ ぎょうれつ』(1986) マリサビーナ・ルッソ 青木久子訳 徳間書店 1994
 子どもの遊びの世界を豊かに描いたすてきな絵本です。
 自分の部屋で遊んでいたサムは「お昼ごはんですよ」と台所で呼ぶお母さんの声を聞き、「ちょっとまって」と言って、積み木を並べ始めます。次は本やおもちゃを並べ、行列は続きますが、台所にはまだたどりつけません。お母さんの声がまた聞こえます。次は何を並べようか、必死で考えるサム。サムの長い行列がやっと台所に到着したその時、待ちきれずに台所から出てきたお母さんと対面します。その対面の仕方が愉快です。遊びの世界を存分に楽しんだサムを抱き上げて「すごいわね」というお母さんもすてきです。
③『ウィリーをすくえ! チム 川をいく』(1969) ジュディ・ブルック 秋野翔一郎訳 童話館出版 2004
 小さな野ねずみのチムの大きな冒険の物語です。
 チムは、ハリネズミのブラウンさんと一緒に、ドブネズミに捕まったカエルのウィリーを助けに行きます。ウグイに案内してもらって、いかだに乗って、ドブネズミの隠れ家めざして川を下ります。ついにドブネズミの隠れ家を発見。高いびきをかいて眠っている恐ろしいドブネズミが目を覚ます前に、ウィリーを助け出せるかどうか、時間がありません。チムはひとり、隠れ家に突入します。勇気あるチムの活躍にドキドキさせられます。
 いかだで下る川岸ののどかな景色が美しいです。カラーとモノクロのページが交互に出てくるのも楽しめます。
 初版は1979年、冨山房から出版されていますが、訳者も題名も変えて2004年に復刊。
④『シーリと氷の海の海賊たち』(2015) フリーダ・二ルソン/アレクサンデル・ヤンソン よこのなな訳 岩波書店 2023
 たくさんの島が点在する氷海に年老いた父と妹と3人で暮らす10歳のシーリの海を舞台にした冒険の物語です。
 だれもが恐れる海賊シロガシラにさらわれた妹を取り戻すため氷海のどこにあるかもわからないシロガシラの島を探す過酷な旅に一人で挑みます。シーリの勇気に大きな感動をもらえる作品です。
 シーリと同じく妹をさらわれたフレードリクとの出会いは、途中で離れ離れになりますが、シーリをずっと力づけます。海が凍り付く極寒の地で懸命に生きる人々に命を救われたり、人魚の坊やに出会ったり、悪意に満ちた乱暴な海の男たちに命を狙われたり、シーリの冒険には終始ハラハラさせられます。ついにシロガシラの島を発見し、シロガシラとの対決の時がやってきます。悪に向かって毅然と立ち向かっていくシーリが印象的です。シーリの勇気と知恵が勝利を導く結末は予想外の展開もあり、感動的です。
 登場人物を描いた挿絵はどこか幻想的で、印象深く、物語を深めてくれる氷海の地図も興味深いです。2015年、スウェーデンで出版の350ページを超える大作。
(これは日本子どもの本研究会の機関紙『こどもの本棚』のために書いたものです。5月発行の6月号に掲載されましたので、そのまま使わせていただきました。)
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