goo blog サービス終了のお知らせ 

小島教育研究所

教育関連ブログです。数学を筆頭に学問全般に渡る有用な情報を提供致します。
東海生、名高生、半高生に最も読まれています。

教育再生実行会議をご存知ですか?第四次提言提出。センター試験廃止、新到達度テストを2種類用意。

2013-11-02 | 高等教育機関

 第二次安部内閣の教育改革を担う「内閣官房教育再生実行会議」が「第四次提言」をとりまとめた。(10月31日提出)

この提言を受けて、内閣は中央教育審議会にこの案件(センター試験を廃止し、新テストへ移行する)を諮ることになる。

今国会では、約10件ほどの文教関連の法案が上程されるものと見られる。(通常は1,2件である。)

今回の提言のポイントを以下にまとめる。(新聞マスコミ報道は正確さを欠いているように思うのは、私だけか?。)

まず、その趣旨から見ていこう。

 

『高等学校教育と大学教育との接続・大学入学者選抜のあり方について』(第四次提言、「はじめに」より)

 世界は、グローバル化が急速に進展し、人や物、情報等が国境を越えて行き交う大競争の中にあります。

日本が将来にわたって国際社会で信頼、尊敬され、存在感を発揮しつつ発展していくためには、世界を舞台に挑戦する主体性と創造性、豊かな人間性を持った多様な人材が、社会の様々な分野で活躍することが求められます。

また、少子・高齢化の進展に伴い、生産年齢人口が大幅に減少していく中で

 1、経済成長を持続していくには、イノベーションの創出を活性化させるとともに、人材の質を飛躍的に高めていく必要 

  があります。そのためには、教育の在り方が決定的に重要であり、若者の能力を最大限に伸ばしていくことが不可

  欠です。

  これからの世界や日本を担う人材の育成に当たっては、夢を持ち、それを強い志に高め、実現に導く情熱や力、社

 会に貢献し責任を果たす規範意識や使命感が必要であり、幅広い教養と日本人としてのアイデンティティ、語学力や

 交渉力、多様な人と協働する力を含めたコミュニケーション能力、課題発見・探究・解決能力、リーダーシップ、優しさ

 や思いやりといった豊かな感性などを培うことが重要です。


 このような力は、義務教育の基礎の上に、高等学校、大学の段階で伸ばしていくものですが、その間をつなぐ大学入

 学者選抜が、高等学校や大学の教育に大きな影響を与えています。

 すなわち、知識偏重の1点刻みの大学入試や、本来の趣旨と異なり事実上学力不問の選抜になっている一部の推

 薦・AO入試により、大学での学びに必要な教養や知識等が身に付いているかどうかを確認する機能が十分発揮され

 ておらず、

 )大学入試に合格することが目的化し、高等学校段階で本来養うべき多面的・総合的な力の育成が軽視されてい 

   る、

 )大学入学者選抜で実際に評価している能力と本来大学が測りたいと考えている能力との間にギャップが生じ、学

   生にとっても大学入学後の学びにつながっていない、などの課題が指摘されています。

  大学入学者選抜は、本来、高等学校教育を基盤として、各大学のアドミッションポリシー(入学者受入方針)の下、能 

  力・意欲・適性を見極め、大学での教育に円滑につなげていくことが求められます。このため、大学入試の仕組みの

  改善のみを問題にするのではなく、高等学校教育、大学教育、大学入学者選抜の在り方について、一体的な改革を

  行う必要があります。

教育再生実行会議では、

  ①高等学校教育の質の確保・向上、

  ②大学の人材育成機能の抜本的強化、

  ③能力・意欲・適性を多面的・総合的に評価しうる大学入学者選抜制度への転換

を提言します。

 こうした改革の一環として、高等学校段階における学習の達成度を把握し、高等学校の指導改善や大学入学者選抜に活用する新たなテストを導入する必要があると考えます。

政府においては、本提言を踏まえ、専門的・具体的な検討を行うとともに、高等学校や大学等の関係者の意見にも十分

留意し、合意形成を図りながら、丁寧かつ着実に取組を進めることを期待します。

(以上提言より)

解説:単に試験制度を変えるのではないことが容易にわかります。現状の問題点を正確に把握した上で、改革、改良する必要があります。試験制度そのものの改変だけでなく、教育内容にも、あるいは教育評価にまで踏み込んだ、教育改革を提言しているのです。まずは、じっくりと読んでください。

少し長めの文章ですが、しっかり読んでください。

 

 


  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

世界の大学授業を視聴しよう。MITの試みから10年。着実に進む、OCW(Open Course Ware)

2013-10-09 | 高等教育機関

  大学、大学院などの授業を公開するプロジェクトとしてOCW(オープン・コース・ウェア)が着実に普及し始めている。

大学等の高等機関で実施されている授業を一般公開する意義はきわめて大きい。

MITに限らず、海外の大学ではOCWが標準となりつつあります。

以前紹介したのですが、東京大学大学院の数理科学科ではもう随分前から、国内外の著名な数学者のレクチャーを録画取りして、学内で閲覧できるようになっていましたが、最近では門戸を開き、部外者でも閲覧可能となりました。広く、学問的知識を公開する大切さに大学、大学院当局が気づき始めたのです。教育の質が問われる現在では、各大学の生き残りをかけた争いが起きています。自大学、大学院の講義を広く公開することにより、教育内容、教育水準を外に対して提示することができるのです。日本でも名古屋大学の講義も「名大の授業」として視聴できるようになっています。

 これは、筆者の独断ですが、京都大学は実に多くのOCWが用意されて「います。しかし中には、明らかに視聴しづらい、工夫のない講義に出会うことも有ります。(これは反面教師として適当に飛ばしています。)

各講義には、シラバス、講義ノート、宿題、課題レポート、定期試験などがUPされており、その分野の一通りの知識が得られるようになっています。

ついでに、最近では社会人に広く門戸を開け、以前からある聴講生制度とは別に、科目等履修生という制度も普及しています。この科目等履修制度と聴講生制度との根本的な違いは、講義を受講し、レポート、テストその他をこなせば、単位を認定するのが、科目等履修生制度です。国公立、私立問わず、現在では大半の大学、大学院で科目等履修生を募集しています。検定料金、入学金、受講費とそれなりの出費はありますが、単位を認定していただけるので、その学部学科に入学すれば、既習単位として認定されるメリットがあまります。検討の価値はあります。

 

 


  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

キーワード『主専攻、副専攻』って何?『ディプロマ・サプリメント』とは?

2013-07-23 | 高等教育機関

 日本では馴染みがあまりありませんが、一部大学では、主専攻(主に専攻したもの)だけでなく、副専攻を認めるところが徐々に増えつつあります。よくアメリカなどでは、大学卒業時に主専攻(コンピュータ・サイエンス)副専攻(法学)という卒業生がいます。そうした学生は、法科大学院で、弁護士資格をとり、IT企業に勤め、企業内弁護士となって活躍したりします。つまり、将来の仕事の為に、異なる二つの専門知識を学ぶ必要があります。今の例でいえば、情報学と法学というように、2つの異なる分野を効率よく学ぶために考えられたのが、この『主専攻、副専攻』制度です。いずれにせよ、常に将来を見こして、専門分野を決めたいものです。

 では、『ディプロマ・サプリメンント』とは、何でしょか?これは、修了書のことで、「この人は、こんなことを学び、〇〇分野のことを身につけた人材であることを保証する。」ものです。今後、雇い入れの際の、重要なものとなってきます。時代のながれは、卒業証書から『ディプロマサプリメント』へとなって行くでしょう。

 


  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

OCWで有名なMIT(マサチューセッツ工科大学)。その中心人物が実は日本人の宮川繁教授です。

2013-06-27 | 高等教育機関

OCWの生みの親が日本人だったと知り、いささか驚いています。宮川先生たちの奮戦があって現在のOCWの隆盛があるのです。良いコンテンツを目指して努力される高等機関の先生方には頭の下がる思いです。インターネットは、google創始者のラリー・ペイジとセルゲイ・ブリンの目指す方向に発展しています。OCWはその良い例なのです。


  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

OECD(経済開発機構)発表。対GDP比の教育費、日本は3.7%と30カ国中の最下位。

2013-06-27 | 高等教育機関

 教育関係の各種統計調査を定期的に行っているOECD.最新の結果が発表された。それが表題のとおり。

金額ベースでは他国と見劣りしないが、国家としての教育費比率は決して高くないことを示している。国の予算ではなく、各家庭の教育費に依存する体質が現れています。高等教育にかける予算をふやし、高等教育を受けた人々の受け皿を早急に整備する必要があります。

費用対効果を考えて、しっかり高等教育予算を増額してほしい。

 


  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

東京大学、秋入学断念。4学期制への移行を予定する。社会の受け入れが容易ではない秋入学。その対策は?

2013-06-25 | 高等教育機関

 東京大学では、昨年より秋入学を検討してきましたが、社会的情勢からその実現は現段階では困難と判断し、見送ることとしました。「やはり」という結果に終わりました。秋入学実現には、社会の会計年度との「同期」が不可欠なのです。今でこそ、日本では4月入学が当たり前になっていますが、学制がしかれた明治初期からしばらく、入学は秋であったのです。明治政府が模範とした欧州各国が秋入学であったことが主たる要因でした。

しかし、国全体の会計年度は4月始まりなので、いつしか学校も会計年度を4月始まりに合わせるようになったのです。

秋入学を断念した東大ですが、留学生の便宜を図って、1年を4学期制に改めることを発表しました。これは期の半ばでの留学生の受け入れもスムーズにできますし、東大生が海外に留学する場合も、メリットが多くあります。近年、東大生の海外留学が激減していることを憂えているのは、東大の中枢部の教授達ではないでしょうか。大学院(修士課程、博士課程)を海外で体験することは、とても貴重なことです。武者就業は若いうちから始めることが重要。

海外の大学院などの高等教育機関で研鑽を積むことは、当事者のメリットばかりか、有為な人材の教育、育成の観点からも、日本にとって、とても大切なことです。

 

 

 


  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

大学の3つのポリシーについて。(アドミッション、カリキュラム、ディプロマポリシーについて)

2013-02-12 | 高等教育機関
最近は、各大学のホームページに表題のような3つのポリシーが謳われているケースが
多い。
1.アドミッション・ポリシー
2.カリキュラム・ポリシー
3.ディプロマ・ポリシー
この三つをもう少し分かりやすく言えば、
1.「アドミッション・ポリシー」とはどのような入学者を受け入れるかの方針をいう。
2.「カリキュラム・ポリシー」とは教育課程の編成方針をいう。
3.「ディプロマ・ポリシー」とは卒業認定・学位授与に関わる方針をいう。
つまり、入学者にどのような学習をしてきたかを問うのが、アドミッション・ポリシーであり、そうして入学してきた学生に対して、どのような学務内容の講義演習実習その他を授けるかの方針が、カリキュラム・ポリシーである。また、学修の成果として、終了要件を明示したものが、ディプロマ・ポリシーといえる。どのような技能を身につけさせるかを明示していることは言うまでも無い。
以上、入学、在学、卒業と各段階に対する、大学の公式な表明が3つのポリシーなのです。
参考としてください。

  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

慶應義塾大学理工学部「ダブル・ディグリー」制度をご存知ですか?

2013-02-07 | 高等教育機関
慶応義塾大学理工学部が平成17年度から行っている制度です。他大学(東大、東北大学)でも実施されているます。在学中に、他大学に学び、単位を認め、かつ卒業時に2つの大学から同時に学位が得られる制度です。慶應の場合、フランス国内に4校の協定校があります。大学3,4年次に渡仏し、いづれかの大学で学び、その後慶應の修士過程に入って、卒業すると、2大学の学位(修士)が得られるというものです。一度調べてみてはどうでっしょうか?
何かの参考になれば幸いです。

  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

高等教育機関の「質の保証」について。

2012-11-13 | 高等教育機関
ユニバーサル化した、高等教育機関(大学を含む)の質をどうやって保証するかは結構重い問題です。大学全入時代を迎え、頭数をそろえる必要のある大学は、推薦、AO、センター、一般入試と色々な募集形態で、学生を集めています。今春、約40%の私立大学では定員割れを起こしているという。大学教育以前のところでつまずきを持つ学生の教育をせねばならないケースも当然あり、入学以前に予め高等学校の復習目的の課題を定期的に課す大学もあります。リメディアル教育と呼ばれるものです。理系で言えば、数学Ⅲの微分積分の課題プリントを定期的に入学予定者に課す大学が多いという。(特に推薦入学者に対する課題がよく出されている。)
 これは、日本だけの問題ではなく、EU諸国でも同種の問題を含めて、教育の質をどう保証するかが、問われています。
 そうした中で、注目されるのが「ボローニャ宣言、ボローニャプロセス」とよばれる一連の改革です。
 ボローニャ宣言は1999年の6月にEU27ヶ国の教育大臣が欧州高等教育圏の構築を目指して締結されたものです。
 その目的は、
①欧州高等教育圏の学生や研究者の流動を容易にし、研究や雇用の促進を図る。
②ヨーロッパ高等教育機関の魅力を高め、圏外からの人材流入を図る。
③UEの更なる発展のために、ヨーロッパにおける高等教育機関が質の高い先進的な知の
 拠点となること。
 
 これらの目的を具体化するのが「ボローニャプロセス」と呼ばれる背策であり、
①明瞭かつ比較可能な学位制度の確立。
②大学教育を学士課程3年と修士課程2年の2サイクル制にする。
③ECTS(European Credit Transfer and Accumulation System)を通した単位互換制度の
 導入と普及。
④学生、教員、研究者、職員の流動促進のための環境整備。
⑤教育の質保証を目指した域内における協力関係の推進。
⑥高等教育においてヨーロッパの特徴を強化する。
 などがあげっれる。

先日の、田中真紀子、文部科学大臣の発言にある「教育の質が問われる。」とは、以上を背景にした発言だったのです。

 

  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

田中真紀子文部科学大臣の3大学認可問題について。

2012-11-08 | 高等教育機関
前回(自民党所属時代)、外務大臣を更迭された田中真紀子大臣。外務省の機密費の開示を要求したことが原因だった。(また鈴木ムネオ議員との確執もあった。)今回の発言でも、文部科学省のお役人さん(官僚)との確執が深いところであったろう。それは、実父田中角栄氏が舐めた辛酸を思い出してのことだろう。(学がなかった父を、官僚があざ笑ったことを、真紀子さんは忘れていない。)
冷静に今回の件を整理する。
大学設置設置基準の大綱化(1990年)が今回の事態の直接的原因である。
設置基準がかなり甘くなり、大学などの高等教育機関の粗製乱造が始まった。
一方、高等教育機関への進学率は67%に達しており、進学希望者と募集定員がほぼ拮抗する状態、すなわち大学全入時代を迎えている。当然、今回の真紀子大臣の発言にあるように「高等教育機関の質」の問題が問われる。つまり、大学初め高等教育機関への進学率が50%をこえることを、かつてマーチン・トゥロウは「ユニバーサル化」と表現し、教育内容はじめ質も含めて、そこでの教育内容の再検討を必要とした。
おそらく、真紀子大臣の側近の教育学者のどなたかが「高等教育機関の質の保証」を進言されたことが背景にあったのではなかろうか。実際、初年次教育、リメディアル教育の見直しが各大学で行われている。そうした中で、安易な認可はもう許されないことを、真紀子大臣は強調したかったのではないか。
大臣にお願いしたいのは、「1990年の大学設置基準の大綱化」の見直しです。
教養課程が廃止され、豊かな教養を兼ね備えた、専門人の養成がなおざりにされています。教養教育(リベラルアーツ)をもう一度検討すべき時期でもあります。
真紀子大臣、宜しくお願い致します。

(大学教養部が廃止されたことを多くの大人は知りません。)

  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする